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箱根ラリック美術館

今年の夏と秋と、楽しく廻ったこちらの美術館。

私は、工芸家ルネ・ラリックが好きなのですが、理由は、作品の個性や美しさだけではなく、当時の社会の様子もあると思っています。

ラリックは、20世紀初頭は、アクセサリーや香水瓶を製作していました。香水は、かつては貴族が使うものでしたが、彼のデザインする瓶で販売された頃と、女性の社会進出が重なり、香水が市民へと広まったそうです。また、当時のフランスの有名な女優が、彼のデザインをひいきにしたことも、流行を生んだ一因のようでした。

私が好きなのは、このような美しい嗜好品が一般女性の生活に溶け込んだ流れだと思っています。もし、私が、当時、働いていて、素敵な瓶に入った香水を自分で買えたら、きっと嬉しかったでしょう。最低限の衣食住にではなく、自分を、より心地よくしてくれるものに手を伸ばしている自分に、自信をもったかもしれません。

こんな想像もあって、私は、彼の作品を見るたびに、魅力を感じています。

東京都庭園美術館でのラリック作品
東京都庭園美術館でのラリック作品

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