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ハエ叩き選手権

某日未明都内の宿泊施設にてハエ叩き選手権が開催された。
エントリー選手は女将さんとアンドレ氏とわたくしであった。

選手権の始まりは部屋に案内されるとともに告げられた。正式にアナウンスされたわけではない。全員が部屋からハエを駆逐するという共通の目的をもったのである。これが始まりの合図であった。

まずは女将さんとわたくしが初対面とは思えないコンビネーションを発揮し1匹を外に出した。
もう1匹は開けていた扉から出て行き、部屋には平和が訪れた。
と思っていたらどこからともなく3匹のハエたちが入ってきた。わたくしが1匹を圧迫死させ、アンドレ氏が自慢の瞬発力を見せ、1匹をつぶし殺していた。
残るはもう1匹である。この1匹を制したものがこの選手権を優勝することになる。ハリーポッターに出てくるクディッチのように自由に飛び回るハエを見失わないように目で追いかける。

叩きやすいところに止まった。狙いを定め持っていたティッシュ箱を叩きつける。やった。わたくしの優勝だ。

戦いの汗を流そうとシャワーをしに歩いていたら、なにか物音が聞こえてきた。どうやら女将さんが流しのところでなにかしているようだ。
そこへ誰か他にも人が来たようだ。女将さんの声が聞こえる。

ハエを殺してるの。ハエってわかる?

圧倒的大差で優勝していたのは女将さんだった。
僕は叫んだ。
そもそもなんで客室に大量のくそでかいハエがいるんだよ!

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