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生きる

今年になってもう早くも半分になろうとしている。
相変わらずコロナは収束しないし、県外に行くのも憚られる雰囲気が続いている。

自分はというと、息子が大学に入学し、なんだかんだバタバタしているうちに今日まで来たような感覚だ。
頑張って地元の国立大学に入ってくれた息子には本当に感謝しているし、誇らしい気持ちでいっぱいだ。

まだ大学はリモート講義が多くて、実際大学に行く日は数えるほどしかないのだが、息子なりに一生懸命対応しようとしているのを見ると、自分が全力で支えなければと思う。

自分はというと、職場では家族の通っている学校や職場でコロナ感染者が出たといっては職員が1週間程休み、その間は出勤した職員が残業で欠員を補うという状況が常態化していて、疲労感が増していくという、負のスパイラルの中である。

そんな状況ではあるが、息子の事や娘の就職活動のことやら、気忙しい毎日で疲れてなどいられないような気持ちだ。

そんな中、私はあるアーティスト(バンドの人)に影響されて、カセットMTRに興味を持つようになった。
今はデジタル全盛で、音楽を録音するとなると、オーディオインターフェースからPCに音をとりこみ、DAWで編集して簡単に(それすら私はやった事ないが)誰でもできる時代だが、ひと昔前は、カセットテープに例えば、ドラム、ベース、ギター、ボーカルといったように順に録音していき、最終的にミックスして曲を作るというのが主流だったらしい。

らしいというのは、自分が若い時にも、そんな事をした経験が全くなかったからである。

私はギターは大好きで、中学生から弾いているが、ただ好きな音楽をコピーして弾いているだけで、自分の演奏を録音するという事に興味が無かった。
いやむしろ、自分の演奏を録音するなんて、完全にプロ志向の人がデモテープなんかを作製するのにやる事だという思い込みがあり、自分のような素人が音源を残すなんて、という感覚だった。

中学生時代に、初めてアコギを買って、嬉しくて適当なコードを弾き、それをテープレコーダーの吹き込みで録った記憶はあるが、それも完全な遊びモードだった。たしか曲名は「バンブー ウィッチ」だったと思う。

そんな自分だったが、先のアーティストがSNSで昔のカセットMTRを手に入れて、なんとか修理してカセットテープで自分の曲を作製する為に、全てのパートを自分で演奏して録音したというのを観て、自分の中で何か凄く火が付いたのだ。

今時カセットテープか!でも何かでテープコンプという効果があって、テープレコーダーで音を録ると、デジタルではできない独特の良い音で録音できると聞いたことがあるな。このアーティストはそこを狙ったのか?
目の付け所が凄いな!自分でも出来るだろうか?
自分の曲なんて作った事もないし、音楽理論なんて、何にも知らないし、楽譜も全く読めないが…

でも、やりたい!

と強くおもってしまったのだ。思ってしまったからしょうがないのだ。

それから私は
メルカリやヤフオクで売られているカセットmtrを物色し始めた。

言ってもカセットmtrは80〜90年代に売られていた物であり、状態もピンキリである。
色々検討した結果、メルカリで中古のカセットmtrを購入した。
yamahaが作っていたものであり、4チャンネルしか録れない物だ。

購入した物が送られて来て、確認すると、ボタンを押してもなかなか反応が鈍いところなどあったが、それは売主からも聞いていたところであり、大して気にならなかった。
それよりも、自分の演奏を録音できるという事に興奮した。

ドラムは自分のギターのエフェクターに入っていたリズムボックスを使い、ベースは?はてどうしょうか?
これもエフェクターに入っていたピッチシフターという音程を変えられるエフェクトでギターの音を1オクターブ(半音だと12こ下げる)下げると、なんちゃってベースに聴こえたのでそれで弾いてみた。

ドラムとベースを録り聴いてみると、なんとなく曲っぽく聴こえるではないか!
全く演奏はたどたどしいが完全に自分の曲(の一部)である。

調子に乗ってエレキギターも録音して、コードをかぶせるところまでは良かったが、ギターソロを入れようとやってみると、自分の技術ではアドリブでカッコいいソロを弾くのは容易でなく、やっぱりプロは凄いんだと再認識した。

そんなこんなで、まだ完成した曲はひとつも無いのだが、こんなことを試行錯誤しながらやっている時間が自分にとっては何よりも楽しいと感じられた。

ピンポン録音なんて、言葉自体初めて聴いたし、4トラックしか録れなくても、工夫次第で何度も重ね録りできる事もわかった。
これではクイーンもボヘミアンラプソディで多重録音にはまるわけだ。自分が何十人もいて、同時に違う楽器を演奏しているイメージだ。

得体の知れない楽しさに夢中になっている。

思えば、昨年、父を亡くし、半分抜け殻のような気持ちだったが、それからは今自分のしたい事をしよう。人生なんて、あっという間に終わるんだという思いが強くなった。

寂しいようだが、今私のしたいことは、子供たちが一人前になるのを見守る事と、好きな音楽を聴く(作る?)。後は嫁ともう少し仲良く暮らす。

これくらいしかない。後は正直どうでも良いのだ。

今はこうやって生きています。

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