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「ジャケ買い」のススメ

フィギュアを塗るのは苦手。

戦車を作るときも付属のフィギュアは塗らずに完成にしたいほう。ハッチから上半身を出していたりするものなら、わざわざハッチを閉じた形にして完成させたい。それくらいに、

フィギュアを塗るのが苦手。

それなのに、手にとって買ってしまいましたよ。

タミヤの『1/16 WWII ドイツ機関銃チーム装填手(三脚架搬送)』。


なぜか。
ジャケ買いですよ、ジャケ買い。

本や音楽をネットで買うのが主流となりつつある今は死語かもね、ジャケ買い。昔は洒落たジャケットのレコードを持ち歩く、なんてのがファッションだったらしいですよ、今では信じられないけど。

僕が若い頃も、本屋やCDショップで気になる表紙やジャケットがあれば買ってみて冒険したものです。多くはこけ脅しだったりジャケットだけが良かったんだけど、思わぬ収穫があったりしてね。こういう思わぬ発見がその後の自分を豊かにしてくれたりするものだから、ネットでしか買い物をしないということにちょっと危険を感じちゃったりもするよね。


話が逸れちゃったけど、馴染みの模型店でいつものごとくずらっと並んだプラモを眺めていたら目に飛び込んできたのがこのキットのジャケット。

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この疲れというか憂いを含んだ若いドイツ兵の表情になんともいえない魅力を感じてね。どなたが描かれた絵なのか存じませんが、額に入れて飾りたいくらいに気に入ってしまいました。

そんな調子でジャケ買いしたのだけど、買ってきたのはあくまでプラモ。買った以上はプラモなんだから組んで味わうのが筋というものだろうと、早速作ってみた。
箱の裏側には親切に完成見本と色指定が。さすがタミヤ。箱の面を無駄なく使い、組み立て説明書の記載を最小限にしてる。

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ってオイ! 完成見本とジャケットの絵のギャップが大きすぎるじゃないの。

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誰だお前! 僕が惚れ込んで買ったドイツ兵はこれじゃないぞ…。


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妙に尖った鼻と顎…。このキットが発売されたのは2006年というから、そんなに古いキットでもないよね。絵ができたのが先なのか、それとも原型ができたのが先なのか、あるいはまったくすり合わせがなかったのか。その開発経緯が気になって仕方ない。


とはいえ、ここで文句言ったり落胆していても仕方がない。とりあえずやったこともないけれど、顔を削ったりパテを盛って整えたりして修正を試みて、自分好みの顔になるよう工作を施してみた。

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これが整形手術をしているみたいで実に楽しい。ちょっとの加工で表情がコロコロ変わるので病みつきになりそうだ。ジャケ買いの思わぬ発見というのはこういうことか!と感動したり。だが、いや待て、ちょっと意味が違うような気もするぞ。


続いて塗装。1/72フィギュアは小さくて塗るのが大変なようだけど、実はそもそも目を塗れるような大きさじゃないのでテキトーにごまかせて塗りやすかったり、それに対して1/35フィギュアは中途半端に塗れる部分があって難易度が高かったりするものだが、1/16はどうか。これが実にほどよい。いろいろと塗れる大きさなので大変といえば大変だが、楽しんで塗れる大きさとでも言うのだろうか。とにかくほどよく楽しんで塗れるのが1/16フィギュアなんじゃないかと感じた。
フィギュアといえば顔の塗装が最も大事なのだが、このキットの楽しさは装備品の塗装だ。

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ブーツや折りたたみのスコップ、拳銃を収納するホルスターや水筒、そしてこのキットの要であるMG42機関銃用の三脚架。塗り分ける技量があるかは別として布や革、木や鉄など素材の違うものをどうやって塗装で表現するかと考えているだけでワクワクするものだ。

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ヘルメットまで塗ってみて、ふと顎紐が無いことに気づく。
こういうのを自分で作って付け足していくのも楽しい。なにかいい素材がないかなと探しみるとあった。

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数年前のダイワのカタログ。ちょうどいい艶。

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切り取って顎紐にした。ありがとうダイワ。シマノ派でごめん。

完成してみると1/16はそれなりに大きくて見栄えもする。

これに合わせてタミヤが展開する1/16のビッグタンクシリーズのタイガーⅠを作ったら迫力あるだろうなぁと夢が拡がる。

このワクワク感こそ、今回のジャケ買いの効能だろう。ちょっと騙された気もしたけど買って良かった! お金を貯めていつかビッグタンク(3万円以上する…)も買って並べよう。

…どうやって妻に隠れて買うかが大きな問題だけども。

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