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No.5「変化に気づく」

「変化に気づく」というのは、最も難しく、大切なことである。
変化というのは、あるAという状態が、Bという状態に変わることである。この変化に気づくためにはAという状態を熟知し、注意深く観察、Bに変わったことを認識しなければならない。ここに大きな難しさが存在する。Aという状態を知り、観察の上、Bという状態を知らなければならない。つまり、3つのステップが存在するということなのである。Aに関心を持たなければAを知ることはないし、ましてや関心のないことを観察することなどできるわけもない。しかしながら、どのステップが欠けても、変化に気づくということはなし得ない。

そして、この変化、潮の流れが変わる瞬間に数多のチャンスが秘められている。チャンスは一瞬、この潮の流れが変わることを読み切れるかどうかが、人生での成功を大きく左右する。

ここから2つの事例を例に挙げて、考えてみよう。

まずはMさんのことが好きなHくんという身近な題材を例として取り上げよう。
ある日、Mさんがロングヘアーだった髪型をショートヘアーにして会社に出社してきた。Hくんは日ごろからMさんのことを気に掛けており、その変化につぶさに気づくことができた。HくんはすぐにMさんに「髪を切ったね、似合っているよ」と声をかけた。するとHさんから彼氏と別れた話を耳にした。これは潮の流れが変わった瞬間である。Hくんにとっては大きなチャンスだ。これは日頃よりMさんの状態を知り、気に掛けていたことで変化に気づき掴んだチャンスである。HくんはMさんの髪型という僅かな変化に気づくことで、交際関係という大きな変化をキャッチアップすることに成功したのだ。これがまさに変化に気づき、チャンスを掴むということである。このケースではHくんがMさんに関心をいただいていなければ、そもそもロングへアーだったことさえ知らなかったかもしれない。Mさんに注意を払い、ショートカットにしたことにすぐ気づかなければ、チャンスを得ることはできなかったかもしれない。変化を捉えるということがいかに複雑な要素で成り立っているかがお分かりいただけたかと思う。

次に少し堅い内容を題材として取り上げよう。世界的著名人ビルゲイツ氏の話である。2022年の現在、世の中は新型コロナウイルス感染症により、前代未聞の混乱の世となっている。そんな世界となったのが2020年の冬頃からである。その点を踏まえ、その混乱の世となる5年前の2015年頃にビルゲイツ氏がTEDというスピーチ番組でした演説の話を紹介する。当時のTEDでビルゲイツ氏は「世界を今後混乱させるとしたら、ウイルスである」と明確に述べていた。過去のエボラ出血熱などの例を的確に分析し、今後の未来の展望を語っていたのだ。現にそのスピーチの近い将来にウイルスによる混乱の世が訪れた。過去を分析し、現状を正確に捉え、未来を予測する。変化する前に変化に気づく、まさにこれは「変化に気づく」力の真骨頂なのである。変化を予期できれば、それは誰よりもチャンスを手にできることを意味する。世界を救う英雄になるチャンス、ビジネスで儲けるチャンス、様々なチャンスを得ることができるのだ。今回はTEDのスピーチから見るビルゲイツ氏の1事例を紹介したが、ビルゲイツ氏がここまでの成功を収め、巨万の富を築くことができたのはこの「変化に気づく」ことの能力が他者と異なる次元にあったことが大きな要因だと考える。世は今後どう変わるのか、世には今後どのようなものが必要になるのかを的確に捉えて、自らの持つ発想力で解決していく。勿論、ビルゲイツ氏の持つ発想力は驚異的なものであるが、「変化に気づく」ことができたからこそ、その発想力を存分に発揮できたと言える。

物事を好転させるときも悪化させてしまう時も必ず変化が存在する。その変化は前述した例からもわかるように大小様々だが、「変化に気づく」ことの重要性は等しく同じである。小さい変化を軽んじた者に、真の「変化に気づく」力は身につかない。そして、変化は必ず起きると強く意識し、現状を常に把握・観察している姿勢がなければ、変化にいち早く気づき、チャンスを得ることなど決してできない。逆を言えば、変化への備えをして、感度さえ高めておけば、ビルゲイツ氏ほどの成功は収められないかもしれないが、皆に等しくチャンスを得る機会はある。世の中を変革するのは、いつだって人間の気づきである。皆が変化に向けて歩んでいくことが世の中を前進させるのである。それが故に、「変化に気づく」ことはとても重要なことなのだ。

2022年3月30日 記

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