見出し画像

菅野温泉

北海道は名だたる温泉郷が存在する温泉天国です。

「登別温泉」「定山渓温泉」「十勝岳温泉」など一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

その中でも「菅野温泉」をご存じの方はどれ程でしょう。
北海道の人でも、菅野温泉を知っている人は多くないと思います。

しかし、驚かれる方も多いですが、実は菅野温泉は登別温泉と肩を並べる泉質と湯量を持つ温泉郷なのです。

もちろん魅力はたっぷり。
温泉好きであれば、一度は菅野温泉へ訪れてほしいものです。

菅野温泉への行き方

菅野温泉は、日本の食糧庫と言わしめる北海道「十勝」にある、鹿追町の山奥に存在している温泉郷です。

今回の旅のスタートは、十勝の中心地「帯広市」の帯広駅から行います。

菅野温泉までは、帯広駅から車で約1時間です。

帯広駅から車で約1時間

菅野温泉は鹿追町の街中にあるのではなく、鹿追町から更に北に上った大雪山国立公園内にあります。

山間部を進みますので、登別温泉や定山渓温泉などと違い訪れにくいことが難点と言えるでしょう。

冬季間も営業していますが、山間部は道路状況が悪く、菅野温泉近くになると迂曲する山道となります。
細心の注意をしながら運転しなければいけません。

菅野温泉はこんなとこ

菅野温泉入口

菅野温泉は「然別温泉郷」にある施設です。

然別温泉郷は、「地面を掘れば温泉が出る」と言われるほど、無数の野湯を有した地域です。
その中で整備された施設が菅野温泉になります。

つまり、菅野温泉と言われるものはただ一つ、ここだけです。

菅野温泉から山間部を更に進んでいけば、整備された野湯(脱衣所があるもの)も存在しますが、川隣りに石で囲んだだけの完全の野湯もありこれらは温泉上級者向けと言えるでしょう。

菅野温泉は整備された温泉施設ですので、どなたでも安心して利用できますよ。

菅野温泉の歴史

菅野温泉は大雪山国立公園内、標高780メートルの然別峡にある一軒宿です。

その歴史は古く、始めは1912年に陸軍の保養所として開湯されました。

その後1941年に「菅野旅館」として創業を果たし、1965年には「株式会社ホテル菅野」として法人成。
1971年には厚生省告知55号により然別温泉として国民保養温泉地として指定されるまでになりました。

しかし、2008年には当時の経営者の体調不良に起因した経営不振によって株式会社ホテル菅野は廃業。
引継ぎ先もままならなく、菅野温泉は存続に危機に立たされました。

その後が決まらないまま4年経過した、2012年。
閉鎖されていた株式会社ホテル菅野を「株式会社鹿追ホットスプリングス」が破産管財人から買収することが決定し、大規模な改修工事がなされることとなりました。
この会社が今の菅野温泉を経営しています。

2014年には改修工事が終了し経営を再開。
当時は日帰り温泉のみでしたが、同年の11月には宿泊営業も再開し名実ともに菅野温泉が復活することとなりました。

その後も、大規模な水害により一次休業を余儀なくされる等紆余曲折がありましたが、100年にも及ぶ長い菅野温泉の歴史を、今も尚更新し続けているのです。

東の横綱 西の横綱

実は北海道には「温泉番付」なるものが存在します。

北海道温泉番付

平成15年に、温泉教授の異名を持つ松田忠徳氏が制定したもので、温泉が数多く存在する北海道各地の温泉を番付形式でまとめたものになります。


医学博士・文学博士・温泉教授の異名を持ち国際的な温泉学者の松田先生

東の横綱は皆さんご存じの「登別温泉」。
対する西の横綱がどこかと言いますと、実は「菅野温泉」なのです。

菅野温泉の知名度は、登別温泉のみならず定山渓温泉などと比較しても勝っているとは言い難いのに、西の横綱の地位を獲得していることに、正直驚きました。

では、何が菅野温泉を西の横綱と言わしめているのか?それは「泉質」と「湯量」です。

11種類の源泉

菅野温泉の周辺には、相当数の源泉が存在していますが、そのうち「11種類の源泉」(8つの泉質)を利用し、13個の湯舟へとかけ流ししています。

11種類の源泉は旧泉質分類で以下のようになっています。

  • 含芒硝重曹食塩鉄泉

  • 含炭酸重曹食塩泉

  • 重曹食塩泉

  • 含硼酸重曹食塩泉

  • 含石膏食塩泉

  • 含硼酸重曹食塩泉

  • 重曹硼酸食塩泉

  • 含石膏食塩鉄泉

現在の区分では「ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩温泉」とまとめられてしまいますが、実に多くの泉質に恵まれているのが分かります。

宿泊者専用 イコロ・ボッカの湯

こちらは、宿泊者専用のイコロ・ボッカの湯。

宿泊棟である「こもれび荘」の1階部分にある半露天風呂です。

貸切露天風呂 幾稲鳴滝の湯

こちらは予約制の貸切露天風呂「幾稲鳴滝の湯」です。

現在の経営者である、株式会社鹿追ホットスプリングの代表取締役社長「勝海 敏正」氏が手作りで作った湯舟です。

幾稲鳴滝を目の前にした露天風呂で、滝の音に癒されながら温泉を愉しむことができます。

予約制の貸切風呂なので、家族全員で入ることも可能。
最大8名くらいは十分入れる広さがありました。

因みに、現在利用中かどうかは脱衣所前に看板がかかっているかどうかで判断します。
19時以降はスタッフがいなくなるので、自分で確かめなければいけません。

貸切露天風呂の注意書き 手作り感満載なのが良い

その他にも日帰り温泉としても利用されている男女入れ替え制の温泉もあります。

波切(なみきり)の湯
イナンクルアンノーの湯

13もの湯舟があるので、飽きることなく楽しめます。
宿泊の場合は、全ての温泉に入ることができるので、ぜひお時間ある方は宿泊で菅野温泉を訪れることをおすすめします。

質素だが自然の恵みを感じる夕食

大型の温泉施設と違い、夕食にブッフェのようなものはありません。

しかし、質素ではありますが、自然の恵みを感じられる夕食が用意されています。

夕食

地場の食材を中心に利用しているとのことです。

一品一品丁寧な味付けで、温泉だけではなく食事も楽しむことができました。

私は朝夕食プランで宿泊したのですが、朝食も品数が多く大満足だったのですが、写真を撮り忘れてしまったので、、笑
また次回訪問した際には必ず撮影してこようと思います。

温泉だけではなく、食事からも体を癒すことができる。
菅野温泉はそんな大自然を楽しめる温泉でした。


訪問日 2022年12月3日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?