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私は38歳で結婚指輪を外した。

私は、38歳で左手の薬指に光るダイヤ付きのプラチナのリングをそっと外した。

私が結婚したのは、31歳。
32歳で可愛い男の子を出産。
結婚生活は、すごく順調だった。
誰にでも優しく、私には特に優しくしてくれる出来た主人と、
可愛い息子との生活。
34歳で、夢のマイホームの一軒家に住む事ができ、
とても楽しく、幸せに暮らしていた。
35歳になり、
なんだか、モヤモヤしてきて、心の中のザワつきが多くなってきた。
自信もなくなり、
周りの幸せそうな姿を見る度に、羨むことも多くなっていった。
そんな自分に、またうんざりする。
この繰り返しに、限界を感じ、38歳の時、決心したのだ。

これは、人生一大決心であった。

こんなに結婚指輪に対して執着があるとは思っていなかった。

産後の女性にとって、
妊娠前の体重に戻していく事は、
母親となった女性の課題のひとつである。
「え!? 子供さんがいらっしゃる様には見えない!」
めっちゃ嬉しいコメントである。
この言葉だけで、1日、いや1週間ぐらいご機嫌でいれる。
家族にとっては、ラッキーだろう。
普段許されない事が、許される可能性が高くなる! 
というスペシャルな期間だ。

私は産後1ヶ月間、実家にお世話になった。
実家の食事は、私たち子供が成人してから、急に、変わった。
質素という名の健康的な、そう、昭和時代の食事に。
その食事は、里帰りした時にも継続されていた。
そして、おやつも殆どない。
産後間もない私は、外出も控えていたので、買いに行くこともなく、
家の中で過ごしていた。
すると、みるみる体重は、妊娠前に戻り、遂には、
妊娠前より痩せ、スタイルが良くなった! 
なんせ、胸は授乳により、妊娠前の1.5倍になったのだ。
出産後に、スタイル良くなり、勝ち組気分でいた私。
が、いつの間にか、負け組になっていた。

35歳。
「なんかさぁ〜、体重減らんのやけど」
「わかる〜! 暴飲暴食とかしてないのにね〜」
「そうそう! 食事や運動も、大して変わった事してないのに......。
何で太るんやろ〜?」
「やっぱ、年かなぁ。基礎代謝が落ちたんやろか」

何人の友達とこんな会話をしただろう。
時には、お客様にも訴えた事がある。
年上の方には、こんな事あるんですか!? と訴え、
年下の方には、こうなるから気をつけたがいいよ! 
と具体的解決策もなく話す。
基礎代謝量は、14〜15歳をピークに落ちていくというデータを見つけた。
『35歳から急激な低下する』とは、どこにも書いていない。
35歳で痩せなくなるのは、基礎代謝量の急激な低下
......ではないらしい。
勝手に基礎代謝量の低下のせいにしていた。
『老化なら仕方ない』と、楽な選択をしていたんだなぁと、今は思う。
当時は、本当に何が大きな原因かさっぱりわからず、悶々としていた。
食事内容も変わってない。
食事量も増えていない。
運動量も今までと変わらずやっていない。
じゃ、なに?!

私の体格の指標のひとつとなっているもの。
それは、結婚指輪であった。
幸せMAXの結婚式。もちろん、運動と食事で体重を絞った。
そんな時に作った結婚指輪は、当時のイケてる私の指から、
勝手に落ちないけどスルッと抵抗なく付け外しが出来ていた。
が、35歳、何だか付け外しに抵抗を感じ出し......。
38歳、付け外しをする度に、指に食い込み痛い思いをする様になり、
毎回『あ〜、太ってる。嫌だなぁ〜』と憂鬱になり自信を失いかけていた。
スカートの試着をしていて、ウエストのホックが止まらない......
という時と同じ感情である。
幸せの象徴であるはずの結婚指輪が、
まさか、
自信をなくす原因になるとは、これっぽっちも思わなかった。

よし! 指輪を外そう! 

いや、待てよ......。

何度も繰り返した。
そう、結婚指輪を外すのに、中々勇気が出ないのだ。
単なる『指輪を外す』という行為だから、すんなり外して職場にも行けるだろう
と思っていた。
が、思ってた以上に周りからの視線が気になった。

『え!? この歳で独身? 指輪なく、子供いる......、シングル?』

決して、独身もシングルも悪い訳ではない! なのに、何故か気になる世間体。
あ〜、
だいぶ世間体を気にする考え方が取り除けていたと思っていたのに、
まだまだだなぁ......。

と同時に、もう、このマイナスの感情に、私の小さい脳内を占領されたくない!!! 

38歳にして、私は、左手の薬指に光るダイヤ付きのプラチナのリングを
そっと外した。

めっちゃスッキリ!! 
早く外しとけばよかった! 
マイナスの感情から解放された瞬間であった。

結婚したら結婚指輪をつける。つけるのが普通! 
とさえ思い込んでいたことに気付いた。
まさか、こんなに指輪を外すことに勇気がいるとは思わなかった。
そして、意外にも、誰も指輪を外した事に突っ込んでくる人はいなかった。
執着があったのは、私だけであった。

現在41歳。
運動嫌い、キツイの大嫌いな私が、
唯一毎週通えているパーソナルトレーニング。
継続し続けて、現在4年目。
結果、
『え!? Mimosaさんだったんですか!? 
後ろから見て、誰だかわかりませんでした!』
という嬉しいお言葉を、よく会う2人から言ってもらえる程に変化した。

外していた結婚指輪を、そっとつけてみる。

おっ!! 
もうちょっとかな♪
《終わり》

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