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アラフィフ転職 完全ガイド 無料公開⑤転職の決断軸は3つに絞られる!

アラフィフ転職のベターな転職先の条件とは?

アラフィフの転職先として、ベストは自身で決めるしかありませんが、ベターであれば理論的に会社を絞り込めると思います。私が今までの経験則として「普通のサラリーマンが挑む」という条件の下、アラフィフ転職を成功に導く可能性が一番高い条件として、私はこちらの2つを挙げたいと思います。

①これまでと同じ業種である
②会社の規模をダウンさせる

「これまでと同じ業種である」とは、働く会社は変えるが業界は変えないということです。食品小売業であれば食品小売業、営業なら営業、食品メーカーなら食品メーカーに転職する。

その理由としては、アラフィフ転職の場合、転職先が望むのは即戦力です。戦力になるまでに時間が掛かる育成枠ではありません。そしてあなたの強みは業界での「経験」です。当然、中途採用で即戦力として入ると、新入生の様な基礎研修は無いでしょうし、関わる方から細かく教えてもらえない場合が多いです。私の経験としても結構ハードな仕事に臨む時であっても、仕事の重要ポイントを教えてもらえず「当然分かっていますよね、お手並み拝見」と言われました。

今思い出しても、とても意地悪だなと思う事例ですが、それはキャリアで中途入社する転職者の宿命でもあります。受け入れ側にとっては、自分に取って代わるかもしれない人はやはり敬遠される傾向にあります。時には実績を出させないように妨害するバイアスが働きます。

しかし同業の仕事であれば、ある一定の条件が揃えば自分一人でも仕事を進めることができますし、ミスってもリカバリー方法が分かります。すでに業務を熟知していることこそが中途転職者の最大の強みだと思います。

私が経験した中途入社での苦い経験

私はバリバリの30歳の時に業種を変えて転職したことがありました。20代を通して食品小売業で働き、全国上位の販売実績や大人数のチームリーダー、社内でも実績を出し目立つ存在となっていました。若手として名をあげ、違う会社2社で活躍したことで大きな自信を持ったのです。「業種に関係なく、どこの会社でも活躍できる」という手応えを感じていた私は、大きな方向転換であればラストチャンスといわれる30歳の転職に挑戦することにしました。食品小売業から大手の出版社が持つ成長が期待されていたロジスティック会社への転職です(実際にその会社は現在、売上が当時の4倍に成長しています)。

転勤の多い食品小売業から「家族と定住しながら暮らす、ささやかな幸せ」を求めたのです。

その会社の最終役員面接では、上場一部企業のリーダーを担当していたことが評価され、年収も公募の金額より50万程上積みにて契約しました。
それは順風満帆のスタートの様に思えました。

しかし現場に入ると、何をやっているのか理解が追いつきませんでした。初めての業界では、現場で起こっている全ての事象は勿論、社内コミュニケーションの作法、どんな関係部署が存在し、どんな時にそこに連絡するのか、そしてその関連部署でどんな仕事が行われているのか、見るもの聞くもの全てわからない絶望的な状況でした。加えて先輩社員は中途で入ってきた新入生ではない人間に対し、教育するのが面倒くさいという気持ちも抱いていたと思います。自分の仕事に加えてゼロから人を育てていくという重い業務がプラスされるのは確かにハードです。

仕事ができる人の一部にありがちなのは、一度教えたらメモして再現できるようになって欲しい、いや、するべきであるという思いで、できないと「真剣に自分の話を聴いていない」「この人は不真面目である」と不満が溜まり最終的に爆発する現象です。入ってきたばかりで仕事が分からない人の状況がどのようであるか、仕事ができる人は想像できないため、そのような状況に陥ってしまうのです。

実は、新しく入った人が辞めていく原因のほとんどがこれです。それら先輩社員の口癖は「私の入った時は業務を誰も教えてくれなかったが、自分で泣きながら学んで習得し今に至る。同じように自らが学ぶべきだ」という発言です。そんなに嫌な思いをしたのであれば、そんなやり方は変え、優しく教えてあげる職場に自らしたら良いと思うのですが、その様な考え方の持ち主は職場改善の方には目が向かないものです。

職場の上司は選べません。上司も最初はある程度教えてくれますが、だんだんと「それについては教えているので、メモを見て自分で考えてみなさい、自分で考えないと身につかないよ、失敗してもいいから」という発言になってきす。真意は「面倒くさい」です。

未知の仕事の場合、エラーが発生する前に業務を理解している人の最終確認があればミスが防げますが、業務を理解していない人はミスをスルーしてしまいます。結果、起こるべくしてミスが発生し、ミスを報告すると「何故、自分に事前に聴かないのか?」と叱責する。
「失敗してもいいので自分で考えて判断しろと仰いました」と言うと、口答えが多く反省する姿勢がない人と言われる。分からないこと聞いても教えず、間違いが発生すると叱責される状況は理不尽に感じました。

でも今になると分かります。コーチングを学んでいる人や、余程の人格者でない限り、人がひとりの人をじっくりと腰を据え優しく育て上げる、なんてことはなかなかできない所業です。

転職者もトライ&エラーを繰り返しながら経験を積み、3年も経てば、ある程度のレベルで仕事ができるようになるのだと思いますが、私は転職する業界を間違えたと思いました。30歳からゼロから始めることの困難さを身に染みて知ったのです。人生を掛けて取り組むべき「志のある仕事」でない限り、その理不尽が大きな壁となって立ちはだかる可能性が高いです。

私は、入社3か月で退職の決断に至り、各種手続きを踏み、半年後には退職をしました。小さな赤ちゃんを抱えた我が家で妻や親族には不安な思いをさせてしまいましたが、人生には挫折も起こります。順風満帆では見えない学びがあると今では分かります。挫折が自分自身に「人生を賭けて取り組む仕事が何であるか」を教えてくれたのです。

この経験を経て、私は「自分に向いている仕事とは」「人生を掛けるべき仕事とは」を考え、食品小売業界に戻りました。戻った先では、多少なりとも同じ転職者としての苦難はありましたが、基本的なことは教えてもらわなくともできるので、一つ一つの仕事を成し遂げることで会社からも信頼され、新入生と同じ立場である一般職からのスタートでしたが、食品小売業では花形のバイヤーや新規事業の立ち上げなどを担当させていただき10年後には課長へと出世を果たすことができました(かなり早い方)。この実績は人生の挫折を経験し、自分が人生を懸けるべき仕事に死に物狂いで向かい合った結果なのだと思っています。

会社の規模をダウンさせる効果

そして2つ目の「会社の規模をダウンさせる」ですが、これは規模の大きな会社に比べて小さな会社の仕事が簡単であるという意味ではありません。

私は上場一部の大手食品小売業から中堅食品小売業へ転職した経験から分かるのですが、転職時に感じたことは、システム投資や教育投資が遅れているということでした。
例えば、現場で確認できる営業数値が少ない(検索システムが古く使いづらい)、とか、発注機能が自動化されていないとか、教育が現場のOJT(現場教育)頼みで、オフJT(現場を離れての集合研修や専門的な外部研修)を受ける機会がとても少ないということでした。

つまり会社の規模が大きくなると本業以外の未来投資(システム投資や教育投資)が進んでいるケースが多いと思います。会社が成長し売上・利益が上がれば、投資すべきはシステムと人。システム投資や教育投資は不可欠なのだと思います。

そしてそれは、規模の小さな会社がいずれ追いつく未来の姿でもあります。資本の大きな会社が行った投資で成功した事例がパッケージとなり、同業他社に安価に広がっていくイメージです。同じ業界であれば、概ね同じ仕事をしているので、当然と言えば当然です。

働いている職場で未来の姿が見えるということは、転職者は未来人のように働くことができるという、転職者特有のアドバンテージがあるということです。「ブラッシュアップライフ」という人気ドラマがありましたが、何回も同じ人生を生きて、その度に、前回の人生で起こったエラーを改善していき、確か、5回目の人生でハッピーエンドになるというお話でしたが、まさにこれです。前回の大手の会社で問題となったことを事前に知っているので先回りして対策を打つことができたり、社内の風を読み「次の新規事業はこれを提案したい」と手を挙げることもできるのです。

アラフィフ転職者の強い武器のひとつは業界の人と繋がりが広いことです。前社の中で、ある特定のビジネスに詳しい人やそのビジネスが得意な取引先の担当者の連絡先を知っていたりします。相談すると話を聴いてもらうこともできるかもしれません。未来が見えるアラフィフ転職者はある意味未来人で、規模の小さな会社に転職すると有利なことが多いです。

逆(中堅から大手へ転職)になると、今まで手作業でやっていた作業が自動化され便利であるという感動がある反面、もちろん一般論ではありますが、新しい価値提案の面ではプロパー社員の方が有利かと思います。

もう一つは、プロパー社員の人より昇進がしやすいことが挙げられます。大手から来た経験者として入社して仕事を進めていくと、やはり少し注目されています。何か新しいことを始めようとした時、その事業を先行して実施している先進他社から来た人であれば、担当者に抜擢される可能性は他の人より高いはずです。

会社は常に新しい事業に挑戦し変わっていかなくては生き残れないのが世の常です。育成枠からスター選手を育て上げることができれば良いですが、他チームからスター選手をトレードで獲得して一気に事業をジャンプアップしたい時もあるのです。転職者は自社に無い経験を持っている希少な人材として認識されています。新規事業の責任者として声が掛かる可能性も高いのです。

給与について考える

最後にアラフィフ転職を決断する時の判断材料である「給与」についての持論を書きたいと思います。一般的には同じ業界の会社を選ぶことを前提とするのであれば給与水準はあまり変わらないはずですが、通常は前職と同じ役職で転職が成立しないはずなので、最初は下がることを前提としなければならないと思います。

アラフィフで転職してくる、どこの馬の骨とも分からない(詳しく知らないという意味です)人物に自社の上位職をポジショニングする会社は逆に怪しいです。給与が高い重要なポジションが人手不足なのはブラック企業の可能性が高い。

まずは現場を経験し、じっくり現場での活躍や実績を見て信用できる人物か確認した後に出世し少しずつ給与が上がっていく会社の方が健全ではないかと思います。逆も然りで、キャリアを全く評価せず足元を見て、新入社員並みの給与を提示してくるようであれば、その会社もまた入るのを止めた方が良いと思います。

一定給与は下がり、合わせて業務レベルも下がり楽になる、そこでゼロスタートから新しい会社を理解していき、攻略していくことで再度出世のチャンスを窺がえば良いと思います。スタート時点の給与は下がってあたり前と捉えるべきです。

給与はLTV(ライフタイムバリュ)を考える

一般論にはなりますが、最初の給与ダウンは転職コストと考えます。新しい挑戦、新しい人生にチャレンジするコストを払いスタートを切ります。

そこで事前に、ここまでであれば下がっても転職に踏み切る金額ラインの設定をしておく必要があります。月収〇〇万円以下の契約であればしない、以上であればGOです。

面接時に具体的な金額の話は会社側もこちら側もしにくいです。基本的には社内規定に準じて決まり、あなたのキャリアでは〇〇級からスタートという話になるとは思いますが、事前に金額ラインを月収と年収で把握しておくと交渉も容易です。

これまでの社会人生活で得た知見・経験・スキルを面接で十分にアピールしたうえで、「月収であれば〇〇、年収に換算すると〇〇くらいを想定しているのですが」と商談のように自然に自分の価格を出してみるも良いと思います。
逆に希望給与の話を出さないと給与金額があやふやなまま話が進むというふわふわとした状況になってしまいます。先ほども書きましたが、転職を希望しているという足元を見て新入生並みの低い給与を提示するのであれば、あなたはシンプルに評価されなかったことになりますが、それを受け入れるか、冷静に判断し転職を踏み止まる判断材料にもなります。

どんな会社なのか?こちらから会社の査定もする意味でも必要です。また、転職面接とは言え、アラフィフ転職はプロ同士の交渉の場でもあるので、主張、確認すべきことは自然に、当たり前のことのように、控えめにきちんと言うのが良いです。大人のビジネスマンであることの証明にもなります。商談が商品の値段を両者で納得して初めて成立するのと同じです。

今のあなたがアラフィフであれば、キャリアハイのポジションにあるので年収が高いのではないでしょうか。ただし、ここから世代交代による降格、一般的には55歳の役職定年、60歳の定年と2段階から3段階の年収ダウントレンドに入っていくのがサラリーマンの一般的な50代の宿命となります。

ここで確認しておくべき項目は、次の会社では役職定年制度があるのか、無いのか、定年が60歳なのか65歳なのか、という人事制度です。

先ほど、アラフィフ転職であれば会社の規模ダウンが有利という話をしましたが、大手企業は制度が整っており、55歳役職定年や60歳定年がキッチリ制定されている会社が多いですが、地方中堅企業であればどうでしょう?中堅企業は人手不足で役職定年が無い(そんな余裕ない)という会社が多いですし、定年は65歳で70歳まで延長雇用という会社も多いですので、むしろ中堅企業の方が長く働ける可能性は高くなります。そうなると長く働きたいアラフィフにはメリットが高いですすし、会社がアラフィフのあなたに期待するのは、今まであなたが前職で担ってきた業務であるとすれば、数年後に同じプロジェクトを担う責任者に昇格する可能性も高いと思います。同じ業界である事が強みになる時がくるかもしれません。

つまり理論上、最初は年収ダウンからスタートするかもしれませんが、あなたが40代までにコツコツ積み上げてきた業務をもう一度、責任者として担える可能性があるかもしれない。
つまり、転職することで、もう一度キャリアハイの状態に入る状況が生まれるため、年収の山が50代にもうひとつ生まれることで最終的に得られる価値(生涯給与)が増える可能性があります。これがLTV(ライフタイムバリュ)といわれる考え方です

次図は、大手から中堅へ転職した場合のシミュレーションですが、同じ業界ということで同じ賃金テーブルで50歳の人が現在の会社で55歳役職定年&60歳定年で65歳まで再雇用という人生と、50歳で転職した後、52歳までの3年間は低い給与で働き、53歳から再度課長に返り咲き5年間仕事をした後、65歳で定年、70歳まで再雇用があるという人生を比較したら、最終2050万円も給与が多くなります。一般的に安心した老後を送るためには、65歳で2000万円の蓄えが必要だと言われていますが、年収の増加分でそれも賄えるかもしれません。しかも「ブラッシュアップライフ」効果で、2度目のプロジェクトは、1回目よりやり易いはずです。

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