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チームの進捗を確認するのはなぜ?そもそも進捗って?

このnoteは私が開催しているツキイチAsana勉強会で共有したり、参加者の皆さんから共有された内容をもとにしています。


テーマと前提

今回のテーマは「チームの進捗を確認する」です。

ただし、プロジェクトの進捗管理ではなく、日々の仕事の進捗をどう確認していくか、です。プロジェクト管理については、たくさん専門家がいて、有益な情報がいくらでもあるので、ここでは扱いません。

そもそも「進捗」とは?

調べました。

物事が進みはかどること

広辞苑

[仕事などが]はかどること

新明解国語辞典

はい、そのまんまですね。

でも、この意味を見ると、あらためて思うのです。

進捗管理という名の状況把握の価値は低く、進捗すること=仕事がはかどることに価値があるのだと。

私たちはみんな「仕事を進めたい」んですよね。

状況把握のための時間や負荷は極力減らし、仕事を進めたい(または仕事を進めるための時間を生み出したい)。

そうですよね?


進捗確認とは?

では、進捗確認とは何でしょう?

進捗確認は、目標や予定に対する進み具合を確認すること、状況を把握することだと言えます。

進捗を考えるうえでは、この「目標や予定」を分解して考えてみましょう。

目標や予定=〇〇〇〇〇〇+〇〇 



目標や予定は、アウトプット+期限 で構成されます。

アウトプットとは、狭義では成果物ですが、広義では何をするのか、何を生み出すのか、どうなっていたいのか、といった形で表現されます。

アウトプットが決まっていなければ、進み具合は確認できません。

そして、仕事における目標や予定には、必ず期限があるはずです。いつまでに、そのアウトプットが必要なのか、欲しいのか、実現したいのか。

期限が決まっていなければ、現在の進み具合が順調なのか判断できません。


進捗は〇〇〇〇〇と〇〇〇〇で構成される

目標・予定がアウトプット+期限で構成されているならば、進捗もそのふたつで構成されているはずです。そして、進捗確認もそのふたつの観点で確認することになります。

進捗=〇〇〇〇〇+〇〇〇〇


これは「アウトプットと期限」としても良いのですが、かつて私が、おそろしく頭が良いマネージャーから教わったことをご紹介します。

進捗報告ではコンテンツアップデートとプロセスアップデートをしてほしい

かつてのマネージャーのセリフ

進捗=コンテンツ進捗+プロセス進捗


コンテンツ進捗とは、アウトプットの進み具合です。目標や予定で決めていたアウトプットが、どのような形になっているのか、内容はどうなったのか、どこまで完成しているのか。そういったことを共有・報告してほしいと言われました。

皆さんの仕事の多くが単純作業ではなく、なにかを考えたり、新しい工夫を加えたり、調べないとわからなかったり、進めていくうちに具体化していったりすると思います。

大枠のアウトプットはわかっているが、はじめる段階で詳細まではわからない。そういうときには、そのアウトプットの内容を確認しなければ、本当の進捗(進み具合)はわかりません

プロセス進捗とは、やり方や作業手順(プロセス)の進み具合です。目標や予定を達成するためにあらかじめ立てておいたやり方や作業手順に対して、どこまで進んでいるかを共有・確認します。

仕事を進める前には、だれしもやり方や手順を考えているはずです。(まずこれをやろう)と考えなければ、最初の一歩が動き出せませんから。

ただし、多くの人がこれを頭の中だけでやっていることが多いでしょう。また、慣れた仕事であれば意識的に考えずとも、自然と進めているでしょう。つまり、やり方や作業手順が可視化・共有されずに仕事が進んでいきます。

プロジェクト管理の世界では、やり方や作業手順が可視化・共有されることが前提になってると思います。なんなら、それこそがプロジェクト管理の肝だとされてます。前提が全然違いますよね

だから、多くの進捗確認の場では、ついプロセス進捗の話が多くなりがちになるのです。なぜなら、完了にいたるまでの全体のプロセスがどれくらいあるのか、全体の中でいまどれくらい進んでいるのかは、本人に聞かないとわからないから。


一方で、プロセスはだいたいイメージがついているので、中身(コンテンツ)を教えてくれ、という状況もあります。それは検討状況かもしれませんし、調査結果かもしれません。関係者からのフィードバックコメントかもしれませんし、顧客からの回答かもしれません。

コンテンツ進捗とは、これらをやった・できていることではありません。具体的にその中身(コンテンツ)がどうなっているのか。調査の結果、なにがわかったのか。関係者からフィードバックは、ポジティブだったのかネガティブだったのか。検討の結果、どうすることにしたのか。そういう中身(コンテンツ)が確認できなければ、本当の進捗(進み具合)はわかりません。また、内容次第で、その後のプロセスが変わることも多いでしょう。

プロジェクト管理の世界でも「進捗(プロセス進捗度)70%です!」みたいな報告を信じてたけど、蓋開けてみたら中身が全然ダメだった(爆死)みたいな話がありますね。よほど簡単な作業でもないかぎり、中身(コンテンツ)見ずに進捗は語れないですよね


ユースケース①

そんな進捗確認のために、どうすると良いか。Asanaでコンテンツ進捗とプロセス進捗をうまく共有しているユースケースをご紹介します。

ユースケースのフォーマット
① こんな私(たち)が
② こんな会社のこんな仕事(業務)で
③ こんな風に使ってます
④ ここが良い・こんな効果を実感してます

  • こんな私(たち)が:15名ほどのスタートアップ企業のリーダーやメンバーと外部支援者の私(萩原)

  • こんな会社のこんな仕事で:やることや状況が常に変動するなかで、認識を合わせたり、大事なことを議論するための定例会議で

  • こんな風に使ってます:チームのタスク確認、進捗確認にAsanaを利用

  • ここが良い・こんな効果を実感してます:Asanaのタスクを見れば、コンテンツ進捗とプロセス進捗がわかるようになった。

皆さんの状況と似た部分もあれば、違う部分もあると思いますので、こういった状況・前提での内容であることを踏まえて、皆さんなりに捉えてみてください。そうすることで、皆さんのケースに応用できるようになります。

なお、このユースケースは、前回の「1️⃣定例会議を運営する」でご紹介したものと同じです(以下のnoteで詳しくご紹介)。


コンテンツとプロセスの両方を共有する

チームの定例会議では、全員のタスクが入っているプロジェクトを見ながら進捗を確認しますので、タスク内で「コンテンツとプロセス」を共有するようにしています。

コンテンツ進捗、つまりアウトプットは説明欄に書きます。テキストで書き込んだり、リンクを貼ったりすることで、だれが見ても中身の進み具合がわかるようにしています。

プロセス進捗はコメント欄に書きます。例えば、今仕掛かり中のことや今後の予定、関係者とのやり取りの状況などは、コメント欄に書いておきます。


【これが良い】

この使い方が徹底されると、Asanaのタスクを見れば、コンテンツ進捗とプロセス進捗がわかります。リンクからアウトプットを確認してフィードバックしたり、追記・修正することができます。期日とコメント欄の内容からプロセス的な進み具合も確認することができます。

本題からは外れますが、お悩み相談でよく聞く「ツールの使い分け」についても明確です。Office系やGoogle系ドキュメント、最近ではNotionなどはアウトプットをつくる・置く場となります。また、Slackなどのチャットツールは必然的に、タスク関連以外のコミュニケーションで使うことになります。


【これが効いた】

  • タスクの説明欄に何を書くか、コメントはどう使うか、アウトプットはどこに置くか、は早い段階でマネージャーが明確に指示(ルール化)

  • できてない人には何度でも根気よく言い続ける。先週Aさんに言ったのとまったく同じことでも、今週は(できてなかった)Bさんに伝える

これは私が目撃した事実ですが、この2つをリーダー・マネージャーが徹底すれば、使い方はチームに浸透し、タスクの可視化は実現できます。要する期間は会議数にして10回もかかりません。毎日やれば2週間、毎週なら2〜3ヶ月です。

仕事のやり方を決めるのはリーダー、マネージャーの役割です。その後、メンバーからの改善提案によってブラッシュアップしていくにしても、まずはリーダーが方向を示すのが筋でしょう。

また、これも私が目撃して、非常に感銘を受けた点ですが、できていない人、やっていない人がいるとき、リーダーは妥協してはいけません。ご紹介したユースケースの登場人物(リーダー)は、正しい使い方ができていない人には、なんどでも根気よく言い続けていました。先週Aさんに言ったのとまったく同じことを、今週はBさんに伝えていました。

チームミーティングで他の人が指摘されてるときって、だいたいみんな聞いてないんですよね。だから、リーダーはまったく同じことであっても(こないだ言ったじゃん!)と思わずに、ちゃんと伝えないといけない。これ、私はとっても苦手ですが、それをちゃんとやると、チームの仕事はここまで可視化されるんだな、という発見がありました。


ユースケース②

もうひとつ、別のユースケースをご紹介します。


  • こんな会社のこんな私(たち)が:EC(D2C)事業会社の3名チームのリーダーやメンバーが

  • こんな仕事で:売上管理、在庫管理、マーケティング(広告出稿)、原料発注、新規チャネル開拓、新商品開発、採用、総務などあらゆる仕事で

  • こんな風に使ってます:全員のすべての仕事をAsanaで管理することで、あらゆる進捗をAsanaで把握しています

  • ここが良い・こんな効果を実感してます:Asana以外で日報を書いてもらう予定だったが、それは無しに。Asanaで仕事を表現することで、その人の仕事に対する考えやクオリティがわかるようになり、PDCAが回るようになった。


メンバーひとりひとりを見る(日報・週報代わり)

Asanaでメンバーのタスクを確認する方法は、いくつかあります。

①[担当者+完了+完了日=過去X日]の検索結果をお気に入りにする
②メンバーを丸っとお気に入りに入れる

今日とか今週の完了タスクだけを確認するなら①の方法が良いでしょう。特定のメンバーが持ってるタスクを全部見たいなら②の方が便利です。

勉強会の参加者にも、メンバーをお気に入りに入れているという方がいました。少人数チームならおススメのやり方です。


【これが良かった・これが効いた】

Asanaですべての仕事を管理していれば、大量のタスクを少人数でこなすというむずかしい状況でも、日報なしで大丈夫です。

運用の流れはこうです。

  • メンバーはその日のタスクをすべてAsanaへ、やる順番も明示

  • リーダーは毎日始業時に、メンバーの「昨日の完了タスク」と「今日のタスク」を必ず確認

  • 必要に応じてフィードバックや質問・確認


すべてのタスクをAsanaに入れさせ、しかもやる順番まで明示させるのはマイクロマネジメントにならないのか?

もっともな疑問です。勉強会の場でもこの質問が出ました。

それに対する答えとして、このユースケースの登場人物(リーダー)のコメントをご紹介したいと思います。

タスクの分解の仕方、優先順位、見込みと実際の作業時間、アウトプットクオリティから、その人の仕事に対する考えや理解度がよくわかる。理解度が浅そうなら「あ、もっと伝えないといけないんだな」とフォローするようになった。自分の想定と違うときは質問してメンバーの考えを聞いてみると「なるほど、それならそうだ」と納得することもある。

リーダーの発言

ここで起きているのは、仕事に対するリーダーとメンバーの相互理解だと思います。

タスクを分解したり、可視化するから仕事がはかどる(進捗する)のではなく、リーダーがメンバーを理解するから仕事がはかどる。可視化された仕事を通じて、メンバーにとってもリーダーを理解する機会が増える。それにより仕事が進めやすくなる。


私たちはみんな「仕事を進めたい」んですよね。

状況把握のための時間や負荷は極力減らし、仕事を進めたい(または仕事を進めるための時間を生み出したい)。


逆説的ですが、ルールを決め、やり方を徹底することで、タスクの状況だけでなく、メンバーのことを深く理解できるようになる。それが「進捗=仕事がはかどる」秘訣のようです。


当日のQ&Aや懇親会からのハイライト

もっとも意外だったのは、勉強会参加者にも「すべてのタスクをAsanaに入れてる」という方が複数いたこと。さらには「その日のタスクの順番どころか、開始時間と終了時間も入れてる」という方まで!!

仕事をスムーズに進めようとすると、必然的にそうなるんですねぇ。


Q&Aや懇親会では、「上司が『細かいタスクが見たいのではない』『重要な点だけ教えてくれ』と言ってくる」という話や、「Asanaを見ないくせに『進捗見せて』と言ってくる」という話など、まあ、そういうのありますよね、という話がたくさん出ました(苦笑)

上司と進捗確認の話がかみ合ってないと感じる人は、その人が見たがっているのが「コンテンツ」なのか「プロセス」なのかを意識してみるといいかもしれません。

コンテンツ、つまり中身がどう煮詰まっているのかを知りたい人には、いくらプロセス的な進み具合を伝えても、「それじゃわからん」と言われます。

逆に、プロセスを知りたい人にコンテンツを伝えると「そういう細かい話はいいから」と言われます。

コンテンツとプロセスの両方を共有しつつ、重点を置いてほしいのがどっちなのか見極められると、進捗の話が噛み合いやすくなると思います。


さらに、「何を見せてもダメ」な場合もあるという話もありました(苦笑)

そういう人はたぶん、そもそもの「目標や予定」を持ってないんだと思うんですよね。「目標や予定」という照らし合わせるものがなければ、進み具合は確認できません。アウトプットなのか期限なのか(たいていはアウトプットでしょう)。

「何を見せてもダメ」な人には、進捗の話の前にまず「アウトプットは〇〇です。期限は〇〇です」という話をした方がいいでしょうね。まず、そこがOKなのか。ちゃんと考えてる人なら、そこに対してフィードバックがあるでしょうし、考えてない人なら「うむ、わかった」となると思います(笑)

そうしたら、その「アウトプットと期限」に対して、コンテンツとプロセスの進捗を共有していく流れができる(はず)。


まとめとお知らせ

  • 進捗確認は、仕事を進めるため(NOT 状況把握のため)

  • 進捗は、コンテンツとプロセスの両方で確認すると良い

  • マネージャーが (1)ルールを決めて粘り強く、(2)タスクを通じてメンバーを理解することで、仕事がはかどる


最後までお読みいただき、ありがとうございました。対話形式で画面を使いながら説明した内容をテキストにするのはなかなかむずかしく、理解しにくい部分もあったと思います。

もし、学びがあった!という方は、ぜひその学びをアウトプットしてみてください。学習効果を最大限に高めるコツは「人に伝えること」です。心に残ったこと、感想、意見、反論、なんでもOK。今回のイベントのフォーラム投稿への返信でも、ご自身のお好きなSNSやブログでも。ハッシュタグ #AsanaJP をつけていただけると見つけやすいです。


読んでもよくわからなかったという方は、勉強会に参加いただいたり、なんでも質問タイムに疑問を持ち込んでいただくと、理解が深まりますので、よかったらぜひご参加ください。

活用していく中で疑問が出てきた、具体的な質問がある、こういうとき他の人はどうしてるのか聞きたい、という方はなんでも質問タイム=Ask Us Anything! への参加がおススメ!

具体的な活用方法のイメージがわかない、自社の使い方が限定的で他の人はどう使ってるのか知りたい、という方は勉強会への参加がおススメ!


ツキイチAsana勉強会とは

どんなイベント?

Asanaを利用しているユーザー同士で、使いかた(ユースケース)を紹介し合い、引き出しをたくさん仕入れる場です。

どんな人向け?

Asanaを活用したいとは思っているものの、どこでどう使えるかわからないし、なにを質問したらいいかわからない方(初級者レベル)を想定しています🔰

非効率な仕事のやり方を変えたい、会社・チーム・自分の仕事をもっとうまく進めたい、仕事を見える化・型化・マニュアル化したいなど、やりたいことはあるがそれをAsanaでどう実現すればわからない方、ぜひご参加ください。きっとヒントが得られると思います。

この勉強会をはじめたきっかけ

「なんでも気軽に質問できる場」として、Ask Us Anything!(AUA)を開催していますが、よく考えてみると最初のうちは「そもそも何を聞いていいかわからない」ですよね。
それに、活用したいと思っていても「良い例」を見たことがなければ、どこで活用すればいいのか想像もできないし、真似もできないですよね。

そこで、まずは使いかたの例(ユースケース)をたくさん見る、仕入れられる場があった方がいいだろうなと思い、この勉強会を企画しました。勉強会では、ほかの人の使いかた(ユースケース)をたくさん見ることで、
「あ、アレ使えるかも」という自分の引き出しをたくさん持つ
ことを目指します。

どんな風に進めるの?

毎回特定のテーマを決めて、前半はそのテーマに沿った「自分(たち)の使いかた」を紹介します。その後、参加者の方から、質疑応答に加えて「ウチではこうしてる(通称:私の場合)」をお話しいただきます。

特定のテーマについて、だれかの「使いかた」と、参加者からの「私の場合」を聞くことで、「なるほど、こういう使いかたがあるんだな」とか「この使いかたについては〇〇さんのやり方がウチに合ってそうだ」という引き出しを持って帰ることができます。


次回のテーマ(ユースケース)は?

案件を管理する(SFAや問い合わせ受付)」です。

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