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民間発行のデジタル円「DCJPY」その4-共通領域におけるブロックチェーンの活用①-

こんにちは。

このブログでは、ブロックチェーン関連を中心としたテック系の情報の紹介をしております。

デジタル通貨フォーラムが発表した「DCJPY」のホワイトペーパーを題材にシリーズでお届けしております。

今回は、DCJPYにブロックチェーンの技術がどのように利用されているのかについて、お話していこうと思います。

DCJPYの共通領域はブロックチェーンで構成されている

ホワイトペーパーでは、次のように、はっきりとDCJPYはブロックチェーンで構成されていると記載されています。

共通領域はブロックチェーンを活用して構成されており、銀行によるDCJPYの発行、送金、償却が行われます。

また、ブロックチェーンを活用することで、以下の4つの特徴を実現してる、と説明されています。

特徴1.管理と秘匿性の両立
特徴2.ビザンチン障害耐性
特徴3.耐改ざん性
特徴4.取引の透明性

それぞれの特徴でブロックチェーンのどの様な技術的な特性が活用されているのか、今回は「特徴1.管理と秘匿性」について見ていきましょう。

特徴1.管理と秘匿性の両立

DCJPY上の取引はどの様に管理され、その取引の内容が漏洩しないようにどの様に守られているのでしょうか?

まず管理について、ホワイトペーパーではこの様に書かれています。

共通領域は、パーミッション型ブロックチェーンによって構成されています。このため、ブロックチェーン上の処理やデータの参照を行える主体は、特定のノードに限定されます。
DCJPY を取り扱うデジタル通貨プラットフォームでは、共通領域の全てのノードは銀行が管理し、運営することが想定されています。したがって、共通領域における処理やデータの参照は銀行が行うことになります。

DCJPYはパーミッション型のブロックチェーンで構成されているとのことです。

パーミッション型ブロックチェーン

パーミッション型とは、ブロックチェーンのネットワークに加入できるノードが許可制になっており、限られた組織の中で運用される形式です。

ビットコインなどの暗号資産はパブリック型などと呼ばれていて、ネットワークに参加するために誰かの許可を得る必要はありません。

個人がサーバーを立てて、ビットコインのネットワークを構成するノードに参加することもできます。

これは、特定の管理者を持たなくても運用可能な非中央集権型のシステムというブロックチェーンの特徴の一つです。

ですが、逆に言うと管理者がいないので、システムを止めたり、システム上のルールを変える等の変更作業が非常にしにくいものになっています。

また、ノードの参加者はシステムを維持する責任はないので、皆がノードを停止してしまえば、ブロックチェーンは利用者の有無にかかわらず消失してしまいます。

預金保険の対象となるDCJPYでその様な事態を引き起こすことはできません。

DCJPYでは、敢えてパーミッション型のブロックチェーンを使うことで、許可を受けた日本の銀行だけがブロックチェーンを構成するノードを持ち、銀行自身が管理・運営し、DCJPYの仕組み自体を安全・安定させようとしています。

取引情報は秘匿される?

また、取引情報の秘匿化についてですが、ホワイトペーパーではこの様に書かれています。

暗号理論などを活用することで、データの秘匿性確保やプライバシー保護の対応も行われます。

DCJPY上の取引の情報はすべて暗号化された状態でブロックチェーンに記録されます。

ですが、ブロックチェーンには「分散台帳(DLT)」という概念があって、すべてのノード(ここではノード=銀行とします)が同じブロックチェーンの情報を保持しています。

すべてのノードが同じブロックチェーンを保持することで、不正なノードからのブロックチェーンへの書き込みを検証・防ぐことができますが、理屈的には全ての銀行が全ての銀行の取引情報を保持していることになります。

DCJPYはそれを良しとする仕組みなのか、あるいはノードを持つ銀行であっても、参照できる取引情報は自身の銀行内のみに制限されるような仕掛けがあるのでしょうか?

その当たりの詳細も今後明らかになるのかもしれません。

口座は各銀行毎に管理される

また、ユーザーの口座についても次のように記載されています。

また、利用者に紐づく共通領域用口座は、各銀行個別に管理され、DLTで共有されることはありません。したがいまして、例えば、他行の利用者の口座残高などを照会することはできません。

口座は各銀行で個別に管理される、ということなので、口座自体がブロックチェーン上に記録されるというわけではない様です。

各銀行(=ノード)に紐づくウォレットの様な扱いになるのだと思われます。

ウォレットの役割は自分の送金アドレスの管理だと思うので、実際にウォレットの中にコインが保管されているわけではありません。

結局はブロックチェーン上のアドレスの送金履歴から、口座の残高情報を得ることになりますので、ウォレット自体がDLTで共有されていなくても、自分の口座残高の情報はブロックチェーン上にあるようなものです。

DCJPYの全ての取引情報はブロックチェーンに保存され、それは各銀行にDLTとして分散保持されます。

各銀行がどの銀行に関わらず全てのユーザーの取引情報を保持していますので、理論上は各銀行が全ユーザーの口座情報を知りえてしまうと思うのですが、どうやって秘匿化されているんでしょうか。

その辺はDCJPYに限らず、他の暗号資産でも同じだと思いますので、もう少し仕組みの勉強が必要そうです。

次回はビザンチン障害耐性についてお話していこうと思います。

おわり。

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