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現代アート「My fair prisoners!?3」の谷崎潤一郎さんの調書とエッセイ※全文掲載

この方は、日本の作家の先輩の一人です。特に「痴人の愛」、「細雪」で有名です。名前は、谷崎潤一郎さんです。

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                               My Fair Prisoners!?調書

囚人番号:20171013223343

名前:新思潮

懲役:79年

服役した刑務所:東京市日本橋区蛎殻町

音楽:「荒城の月」滝廉太郎

映画:「夫婦善哉(めおとぜんざい)」

本:「人間の条件/五味川純平」

罪:出版社の担当者にとことん嘘を吐いたこと

喜:自分の子供の誕生。自分の本が出版された事。「新思潮」を出せた事。

怒:アメリカの原爆。佐藤春夫。

哀:妻との別れ。

楽:酒を飲みながら読書。芥川龍之介との呑み。

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「新思潮」さんのエッセイ 

 次男だったが、長男が早くして亡くなったために、長男として育てられた。小学校時代は、真面目一辺倒。面白味のない子供だった。読書が好きで、早くから難しい本ばかりを読んでいた。教師からしてみれば、生意気な生徒だったと我ながら思う。 文章を書く事は得意だった。片手間に書いていた。それなのに評価され、世の中を少し舐めていた。その報いが、成人してからあった。なかなか本が売れず、自分に自信を持てなくなった若い頃。だから、自分の評価と、世間の評価の差に、なかなか受け入れ切れなかった。 ノーベル文学賞に七回ノミネートされたが、受賞にはならず、煩悶とした時期が長かった。 文学人との交流は楽しかった。特に、芥川龍之介との交流が最高だった。よく二人で呑みに行き、文学論を戦わせて、その時間は最高だった。これは誰も知らないだろうが、事実と「新思潮」は言う。 オリジナリティの欠片もない作品が多く、それが非常に残念だと思う。もっと、頭で考えるだけでなく、実生活を工夫すれば、もっといい文章になる。これが数多の後輩への言葉。 戦争があったから、御死への恐怖は、今の人達に比べたら、無いに等しいのではないか?そう、「新思潮」は言って、煙草を銜えた。 (了)

※この方も刑期を終えました。

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