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ワークマンの解体新書②<190/1000>

【ラジオ体操493日目】
『ニコチンレス生活214日目』

こんばんは。
価格の高ければ品質が良いというのは昔の常識のような気がしているので、何を信用すればいいのか分からないコマリストです。


今日は『成功の裏にある緻密な計算』というテーマで書いていきたいと思います。


昨日、久々に企業研究のような内容を書いてみました。


普段から、色んな会社がどんな仕掛けをしているのかという視点で物事を見ているので、どんどん素直さから遠ざかっているような気がしています。


いつになったら素直な人間になれることやら。。


今日は、昨日の予告通り、引き続きワークマンにスポットライトを当てて、ヒットの裏側を掘り下げてみようと思います。


安売りだけがヒットの秘密だと思い込んでいる同業者が多い気がするので、別の視点でも1度考えてみて下さい。

そして、新たな市場へ

昨日の記事に書いた手法を活用することで、低価格でありながら高機能という”高コスパ性”を武器に一般アパレル市場に乗り出していったワークマンですが、勝算も無しにチャレンジしたわけではありません。


モノを選んで購入する”モノ消費”から体験を購入する”コト消費”に消費者ウォンツが移行したという話は、多くの方が耳にしたことがあると思います。


今では、さらに進んで誰かと共通の時間を過ごすことや、コミュニティに所属して仲間と時間を過ごすという”トキ消費”に以降しています。
#詳しくは過去記事へ
#博報堂の仕掛け


ワークマンの経営陣は、こういった消費者側の変化によって、どういった服が選択されるのかということも考えていました。


つまり、
”体験することや誰かと時間を過ごすためにお金を使うということになるので、その他にかかる費用はできるだけ抑えたい”という買い手の気持ちに寄り添った商品は何かということを考えたわけです。


それが、『高コスパ』というキーワードにマッチした。


これに気づいたからこそワークマンは、満を持して一般アパレル市場へと足を進めていく決意を固めたということ。


それでも、単純に”今の商品のまま行けるんじゃね?”とは考えなかった。
#慎重派


当時、たまたまワークマンの服をバイク乗りが着用して、『風を全く通さないから快適だった』という投稿がSNSでバズり、商品の売上が伸びていることに気づいたワークマンの担当者。


すぐに、SNSやYoutubeで影響力を持つ人達に積極的にオファーを出して、コラボすることで、アンバサダーマーケティングを仕掛けていきました。


企業側が発信するのではなく、”数字を持っている”一般の人に、ワークマン商品の良さを発信してもらう。


これによって、一般市場へ自然に進出していくことができる体制を構築していきました。

ムリをしないで回す

こうして、新たな市場へ乗り出していったワークマンですが、新たな取り組みをするためには当然ですがお金と人手が必要になります。


お金については、”作業着専門”という絞り込みによってその業界では知らない人はいないという圧倒的ナンバーワンになっていたので、大きな問題ではありません。


けれど、人口減少している日本において、人手不足問題は逃れようがないものです。


この点について、ワークマンはそもそも、圧倒的な省人化を進めています。店に人が少なくても、労働時間が少なくても回るようなしくみづくりを徹底しているんです。
#無理しなくていい
#過重労働になりにくい


坪単位は基本的に100坪、駐車場は10台と店を標準化して全国一律に揃え、人口10万人に1店舗と商圏を策定してフランチャイズ同士で食い合わないように設計。さらに業務のすべてをマニュアル化して、誰でも運営できるシステムを確立しています。


さらに、ワークマンはいつでも最安値価格で値下げをしない価格戦略だから、値引き札に付け替えたりといった面倒な作業が発生しない。


そのうえ在庫管理と発注予測システムを構築しているので、各店舗のオーナーは一括注文ボタンを押せば一瞬で注文が完了する。


これどれぐらいすごいことかというと、
セブンイレブンの1店舗当たりの平均売上高が年間2.3億円程度、ワークマンは1億円台だがコンビニは24時間営業で1店舗20人程度の運営が多いのに対して、ワークマンは1日13時間営業で平均4人程度で店を回しています。


こうして、ワークマンは労働強度を下げて儲かるような仕組みを導入しているからこそ、FCオーナーになりたいという人も集まりやすい。


つまり、売り手にも買い手にも配慮した仕組みを構築できているということです。

躍進はどこまで続くのか

ここまで、過去数年間のワークマンの動きを分析して、新しい市場で活躍した理由について考察してきました。


果たしてワークマンの躍進はどこまで続いていくのか?


実はつい先日、このワークマンに新たな動きがありました。


それは、『ゴルフウェア市場』への参入。


私自身がゴルフをするから分かりますが、確かに通気性が高くて動きやすい服は夏場のゴルフに合うし、雨風をしのいで外作業を行えるけれど軽くて丈夫な服は雨の日のゴルフに最適です。
#すでに使われている
#親和性が高すぎる


もちろん、冬場の現場作業は極寒なので、保温性能に優れているけれど動きやすい服も取り扱っていて、冬のゴルフにもマッチする。


どう考えても、進出しやすい市場だと思います。
#ちょっとずるい
#今まで進出してないのが不思議


さらにすごいなと思うのは、単純に行けそうな気がするからというわけではなく、失敗のリスクを最小限に考えている裏側も理解できるから。


ゴルフ業界への参入を発表したのは”つい先日”です。つまり、夏前の時期。


当然ですが、夏前には梅雨があって、ワークマンの得意分野である雨風をしのぐレインウェアが同時に売れることも期待していることが伺えます。


そして、夏用のウェアは”生地の使用量が少ない”。洋服において生地の使用量が少ないということは、当然ですがコストが割安になります。
#メンズは割高
#他の服も同じ


もしかしたら失敗するかもしれないけれど、失敗しても最小限のマイナスに留めるという強かさが透けています。


思い出してみて下さい。
ワークマンは夏場に1年分を一気に仕上げるんです。


ということは、今店頭に並んでいる新商品(ゴルフウェア)は昨年の夏に生産されているということになります。


だったら、冬に『ゴルフウェア市場へ進出』というプレスリリースもできたはず。


それをしなかったのは、コストを抑えた状態でテストマーケティングを兼ねた商品展開をしたかったからではないでしょうか。


もちろん勝算があってのことだし、そこでゴルフ愛好者に火を付けられれば、次の冬は万全の態勢で販売を行うことができる。
#石橋を叩いて渡る
#丁寧すぎるほど丁寧


夏はもうすぐそこです。
きっと今年の夏の生産には今年の冬のゴルフウェアが大量に入っていることでしょう。


ここまで色々見てきましたが、単に低コストに抑えるための手法だけでなく、超絶優秀(先を読む力がある)なマーケッターの存在と、常に社内外に目を向けて改善を繰り返す文化の形成があって、ワークマンは業界が厳しい中でも伸び続けることができたわけです。


非常に多くの学びを頂けるステキな企業だと思うので、これからの展開も楽しみにしておきたいなと思っています。


マックと同じように、気が向いたらまたいつか、続編でも書こうかなと思いまーす。

じゃ、またね!

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