見出し画像

【第1回】 再生医療安全推進機構セミナー『エクソソーム及び培養上清関連市場の現状と危険性について』レポート

セミナー概要
現在、国内の美容クリニックや医療機関において、研究用ではなく医師の裁量と判断によって使用されている培養上清液やエクソソームについて、それらがどのようなルートで市場に出回り使用されているのか、株式会社シードプランニング社による市場調査結果を基に、その現状と危険性や問題点について提議する目的のセミナーが開催されました。

培養上清関連市場の現状
培養上清関連市場の規模は大きくなっており、その内訳として化粧品、美容、治療の分野に分けられて説明されました。メーカー出荷価格とその詳細が資料に沿って説明され、美容目的の局所投与や点滴など様々な治療目的に使用されている現状が明らかにされました。
治療目的での疾患別投与実績データの集計があれば、メーカーから研究用として出荷されているはずの上清液が多くの治療に使われ、死亡事故も発生しているという現実と法整備の遅れについての問題提起が一層明確になったでしょう。

化粧品用と治療用の上清の価格差
また、最後の質問でも出ましたが、化粧品用と投与用での上清に違いがないとすれば、2,000円~30,000円ものメーカー出荷価格の差は何に由来するのか。それが採取組織由来の違いによるものとしても、同じ脂肪由来で化粧品用と治療用に価格差がある理由について説明が必要です。
メーカーが同じ上清を化粧品ではなく研究用の建前で治療目的に販売することで利益を追求している現実が、法整備の遅れを利用したビジネスの一因となっている可能性があります。これが市場拡大の一因となっているのではないでしょうか。
市場拡大は、エンドユーザーのいるクリニックなどの医療機関にとっても「儲かる商品」であることが大きな要因です。ただし、資本主義社会では、法に罰せられることなく利益を上げるものがあれば企業は「売る」ものであり、法整備を整えていない国の責任も大きいと言えます。
事故が次々と起きている今、薬機法のカテゴリーでの適用を検討している国側の法規制への今後の動向が注目されます。

安全性の確保と今後の展望
安全性の高い施設で作製された上清・エクソソームは決して否定されるものではありません。
法によって定められた基準をクリアし、法の適用範囲内で知識ある医師によって適切に使用されることで、企業や医療機関、そしてユーザーに利益をもたらすことも考えられます。講演後の質問で出た通り、学会ブースや市場に出回る前に、その品質を保証する基準や検査機関の設置、そこに携わる医師や培養士、製造施設への認定制度の必要性が強く求められます。
根本的な問題である【未承認薬が医師の手によって医療行為に用いられて事故が起きている】という事実を直視し、これ以上の犠牲を防ぐためにも早急な法整備に向け、再生医療安全推進機構がその先導となる活動を行っていきたいと考えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?