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さがす ネタバレなしレビュー 【年間ベスト級!】

とんでもなく面白い。
2月でこの話をするのは早すぎるが、年間ベスト級

事前情報ほぼ無しで見て、二転三転するストーリーで驚かされた。それも単純なミスリードとかどんでん返しでは無く、とにかく上手い。
伏線回収という言い方はあまり好きでは無いが、点と点が結びつく快感みたいなものがあった。

エンタメ的な面白さもあり、社会問題提起もあり、演技も演出も素晴らしい。急に観客を襲う強烈な場面があるかと思えば、その直後にコミカルな演出が入ってきたり、感情の振れ幅も半端でない。
映像面では、自然の美しさやどことなく人工感のあるひんやりした映像のコントラストが堪らない。
あとは大阪出身者としては、変な関西弁描写が少ないのもポイント高い。

喜怒哀楽、色んな感情

喜怒哀楽、現実ではグラデーションがあって、同じ瞬間にいろんな感情を感じることが沢山ある。ただ映画は一つの流れがあるためその点どうしても難しく、一つの場面で一つの感情になりがち。

そのため、同じ場面で二つ以上の感情を味わわせてくれる作品は名作だと思う(演出側・役者も凄い技量が必要だし)。
その意味では今作は沢山の名シーンがある。佐藤二郎さん絡みの場面で楽しさと哀しみが強烈に感じられ、やっぱり凄い役者だなーと再認識した(何様)。

佐藤二郎さんのパブリックイメージをうまく利用。


役者陣


佐藤二郎さんの配役があらゆる意味で完璧!普通のお父さん感が絶妙にマッチしている。いつもの福田監督の悪ノリ感では無く、きちんとした演出のもと演技も最高のものを見せている。
ある場面で、やけくそさと哀しみと怒りと、色んな感情がごちゃ混ぜになった演技を見せるんだけど、そこが本当に壮絶すぎる。


伊東蒼さんも演技うますぎる!いい意味で演技感がなく自然で、そんな中ふと見せる様々な表情が素晴らしい。佐藤二郎さんと演技力のぶつけ合いをするような場面が沢山あるのも見どころ。16歳というのが信じられない。並の(と言っては失礼だが)大人の役者よりも断然上手い

清水尋也さんは、長身と鋭い目つきが活かされていた印象。普段無表情なんだけど、ふと見せる表情が恐ろしい。他の作品はあまり見たことなかったのだが、連続殺人鬼としての説得力が凄くある。これはむしろ演出の話になるけど、ある場面での卓球のピンポン玉が潰れる音が耳について離れない

脇役の役者さん達も、実際こういう人いるー!っていう人ばかりでいちいち楽しかった。
小道具使いも本当にうまくて、卓球台やピンポン玉、スマートフォンや白のソックスなど、一時的に印象に残るだけだはなく、テーマに密接に絡み合っている。



上映感少なくて残念だけど、カメラを止めるな!の時みたいにどんどん広がって欲しい、、!
ハードな場面も多いので万人向けではないが、間違いなく傑作。


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