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想像力と体験

Michael Landau氏のトーンを初めてロスのスタジオで聴いた時の衝撃は今でも忘れない。
身震いするくらいの素晴らしい音と演奏だった。

その少し前に自己の1stソロアルバム「Speaks」そして2ndアルバム「Escape 」をリリースしていたのだが、自分の頭の中で勝手に作り上げていた”LA・ギターサウンド”とは天と地程の差だった。
無論、自分のソロの内容は当時の自分の分身だし、あの当時自分が演れる1番のカタチであったのは間違いない。
にしてもトーンとプレイの「深さ」の違いに驚き、同時に目が覚めた。

当時の情報源から想像した「オーディオ的な機材の集合体」ではなく、ギターからエフェクツ〜アンプに至るまでが「楽器の集合体」だと感じた。
当然なんだけど、その一つ一つの選択の結晶があの音に結びついていた。

私に限って言うと、良いプレイ以上に良い音は心に響き、そして残る。勿論演奏とトーン、どちらも良いのがベストなのだけど・・・

想像力は人を豊かにする。
だけど想像だけでは想像出来ない現実がそこに在った。
直に肌で感じる体験は、想像を超えたレベルで脳に刺さった。音色やフレーズの入れ方歌い方、ワールドプレイヤーのMike Landau氏をはじめ多くのアーティスティックなプレイヤーから本当に多くの事を教わった気がする。

こうした体験が出来た私は心底ラッキーだと思う。
所謂ファン目線と仕事が同時に進行するなんて、中々あり得ない話。
音楽に限らず、誰にでも目指す人や憧れてる人はいるよね?
音楽家ならその人のコピーしたりして少しでも近づける様に似せる。機材や弾き方、服装だってそう。
それは決して無駄な事でもなくて、それを持ってるからこそ憧れの人に出会えたりするし成長もする。成長するから頑張れる。

やはり憧れを持ち続けるのはとても大切

その後何年か、自分にとって何が大切なのか…何をやりたいのかを考え始めた。

ギタリストなら誰しも思う「テクニカルな演奏」「高度なテクニックを駆使した音楽」

残念ながら私にはそのような才能は備わっていない。でもそんなギタリストの作品を聴くのは本当に楽しいし好きである。

そんな時、ほぼ偶然的にあるギタリストとのコラボ企画の話が持ち上がった。
とある雑誌でアコースティックギターの付録CDでコンテンポラリーギタリスト・矢堀孝一氏とのコラボ企画。
そう、簡単に言うと試奏企画がたまたま付録CDになりますよ的な話(笑)

取り敢えずミーティングだと言う事で焼き肉会!冗談ぽいけど、こう言うの意外と大事(笑)
じゃあ簡単にやってみますかと都内某所(スタジオでも何でもない地下のフロアで)マイク二本立てて、せーのの同録!(緊張した〜(≧∀≦))

これがなかなかの出来で。
何だか無性に楽しめた。じゃあアルバム作ろうよと割と即決。
テーマ決めてアルバムジャケットもこうでと、完成したのが「月」

2003年の出来事。
全編2人面と向かっての同録。唯一バラで録ったのがラストのカバー曲”Close to you”。唯一のエレキ使用曲。
勿論間違えたらまた頭から。でも殆ど2テイク録る位。
何曲か録って焼き肉屋へ。殆ど焼き肉食べる為?と思える程、肉頻度高かった(笑)

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リリース後、国内ツアーも殆どしないまま韓国公演。しかもEBSホールで2days!何で?
お客さんはパンパン。演奏後スタンディングオベーション!
まるで夢の中にいる様な話(笑)
韓国のラジオ出演や音楽学校の講義… 韓流が流行る前の話だから、今でもちょっと信じられない感じ。本当ラッキーだった。
また行きたいなー。

Winter NAMMにも出させて貰ったし、あのデュオは私にとっては奇跡的。残念ながら2ndを作るには至らなかったけれど、またそんなギタリストアルバム、作ってみたいな。
誰か作りませんか?(笑)

その後、先輩ギタリストの松本氏に声をかけて貰い、ギタリスト4人が集まったアルバム”Theatre Of Strings”に参加させて頂いた。
このコラボアルバムもテーマがハッキリしていて、其々のギタリストの個性と楽曲がテーマにフィットした耳馴染みの良いギターアルバムに仕上がったと思う。
これも打ち合わせ段階で確かおをご馳走になった記憶が…(笑)

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このTheatre Of Stringsがキッカケになって繋がっていったのが”Guitar Summit
毎年夏のツアーをやってたけど今年はツアーは中止。でも東京公演2日間のみの開催だけど(現状では開催予定/8.30&31@Bluenote東京)演れる事に感謝している。

そして月日は流れ、今年に入って5月には是永巧一氏の動画とのコラボが実現した。
是永氏と純粋な共演と言うカタチでは無いにしろ、彼の仲間達と作ったブリリアントな企画は多くの方々に楽しんで貰えた筈。勿論私も十分に楽しませて貰った。ありがとう!

そして6月にはギタリストコラボ第3弾、若手ギタリストの菰口雄矢くんの曲に参加させて貰った。
Intensity

非常にワイルドなんだけど切なさも感じられる曲。この感じ、好きなんだよな〜!
彼のプレイは勿論素晴らしいのだけど、作曲能力の高さにも注目して欲しいし、是非沢山の音楽ファンに聴いて頂きたい。

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今でも多くのギタリストとお付き合いさせて頂いていて、その一人一人に沢山の刺激を受け楽しませて貰っている。先輩後輩関係なく私の周りにいてくれるミュージシャン皆さんが個性的で素晴らしい。ジャンルは多岐にわたるが、いつか皆んなで音楽演れる日を夢見ている。

日々の思いを綴ってます。趣味の事、音楽や楽器の事、そして今までの経験の事。何かの役に立てれば嬉しいです