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高機能が仇となり

以前に高機能が好機能とは限らないという記事を紹介しました。
今回はそれに似たようなお話になります。

毎回お伝えしてますが、私は訪問のリハビリを生業としています。
色々な家庭や家の作りなどがあることも以前に書きました。

家の作りといえば、様々なハウスメーカーが様々な家を販売しています。
そしてマイハウスの憧れの一つとして挙げられるのは、スウェーデンハウスではないでしょうか。
高機能で防音機能も、寒さにも強いですよね。
住宅展示場に行くと必ず行ってしまうくらい憧れますよね。

私が訪問している中で、この誰しもが憧れるスウェーデンハウスの平家に住んでいる男性がいます。
定年退職後に、以前あった住宅を壊し憧れのスウェーデンハウスを建てたと話していました。

男性は60代で独身、パーキンソン病を患っています。
薬を飲んでon-off症状を回避している状態です。
入院しているときには、病棟側で服薬管理をしており普通の年相応のおじさんです。

しかし在宅では、独身であり独居です。
そのため、服薬も時間通りに飲めていないことが多く見られています。

服薬が時間通りに飲めないと体の動きが悪くなることも多々出てきます。
またon-offのoff状態になると、足が出なくなります。
ちょっとした段差でも躓き転んでしまうことも暫し見られていました。

そんなある日のことです。
訪問してインターホン押し、玄関まで行くものの鍵が空いていません。
普段は訪問があることが分かっているので、朝に開けてくれています。
そして、自分で鍵が開けられることや、防犯の面を考えて合鍵をキーボックスに入れておくことも拒否していたため、鍵を開ける手段がないのです。

唯一鍵を開ける方法は、市内に住む姉に連絡をして開けてもらうのみです。
姉に連絡しても中々繋がらない状態。

時間だけがただ過ぎて行きます。
程なくして、姉との連絡がついてすぐにきてくれることとなりました。

姉が到着し鍵を開けてもらい中に入ると…
トイレの前で倒れていました。

そして体の周りには大量の尿があり、顔の方まで達していました。
また数日間そのままの状態だったようで、床に触れている面は褥瘡のような状態にもなっていました。

すぐに救急車にて搬送しました。

後からケアマネからの情報で、約2日間そのままの状態だったということ。
トイレに行こうとして、offになり転倒した状態で2日間。
失禁とずっと同じ姿勢での2日間。
それは褥瘡になります。

本人の状態が落ち着いてから聞いた話ですが、転倒時に助けは呼んだそうです。
携帯電話は寝室にあり取りに戻れないため大きな声を出し助けを呼んだと…。
とても大きな声で助けを呼んだとの事です。
ただ誰も助けてくれなかったとぼやいていました。

お分かりかと思いますが、高級住宅のスウェーデンハウスは高機密、高断熱、高い防音性などが売りの住宅です。
今回はその高い防音機能にて、助けを呼ぶ声が外へ届かなかった。
結果、転倒から2日の間誰にも助けてもらえなかった状態になってしまったわけです。

高機能住宅は素晴らしいですが、今回はその高機能が仇となったお話でした。

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