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読書録2『臆病な僕らは今日も震えながら』/ 汐見夏衛 (実業之日本社文庫GROW)

不定期で読んだ本についてご紹介する読書録シリーズ、前回は複数冊まとめての紹介でした。
2本目となる今回は、一冊の本に限って感想をお伝えするスタイルで参ります。

作品は、汐見夏衛さんの「臆病な僕らは今日も震えながら」です。

巡り会ったきっかけ

実のところ、本作を読む前にちょうど、汐見夏衛さんの別作品「真夜中の底で君を待つ」を読み終えたところでした。物語に惚れ情景描写に惚れ、別の作品も読んでみたいなぁと思っていた最中の新刊でした。

また、カバーイラストの影響もデカいです。ダイスケリチャードさんの絵の感じだったりタッチだったりが好きなので、そこからも興味を唆られました。今思えば、不純な動機かもしれないですね。

あらすじ

またこの夢か――。
疎外感ばかりの灰色の現実世界に、生きる希望を失った女子高生・緒方きらら。
彼女は、不可解な「虹色の世界」の夢を幼い頃から繰り返し見ていた。
自殺を思い訪れた地で彼女は偶然、その「虹色の世界」を描く青年・芳川景と出会う。
彼もまた同じ夢を見続けていた。
これはいったい何を意味するのか!?  
やがて、夢の謎を追うふたりを待っていたのは、想像を絶する過酷な真実と衝撃の運命で……。
裏表紙および実業之日本社文庫商品ページ より

ここから先はネタバレが含まれますので、現在進行系でお読みの方や読んでみたいなと思っている方はご注意ください、、、、、






感想(ネタバレ含む)

それぞれが抱える、他人が感じることはできない「重荷」
期待に応えないといけない、でも何の取り柄もないから応えられない。
そんな自分に生きている価値など無い。面目無い。

母親の命と引換えに産まれてきたのだ、だから周りの人にも母親の分まで頑張れと応援される。
それは分かってるけど、何でも卒なくこなす姉とは違って自分は、、、
それに姉と父はいつも母の話ばかりで、自分のことには興味がないのかと感じる疎外感。
生きる希望を失った緒方きららが繰り返し見る、不思議な「虹色の世界」の夢。

そんな「虹色の世界」を描く青年と偶然出合い、「虹色の世界」を探す中できららはそれぞれが抱え持つ重荷を知り、偶然の積み重ねによって産まれた「虹色の世界」の真実、自分の生きる価値を知ることに。

虹色の世界を探す中で、実は姉も重荷を背負って生きていたことを知る。何なら誰もが重荷を背負って生きていることをきららは知り、1つ成長する場面で一度泣きかけました。
その後、虹色の世界の核心が語られる場面ではもはや泣いていたんじゃないかと。

周りから期待されて、ああ頑張らないといけないなと何かと感じてきたことが多かった人生でしたので、深く感情移入できてしまったのかもしれません。
自分自身、ちょうど大学の卒業を控える変化の時期にあり、これからどう頑張ればいいのかなと悩んでいたりします。そんなところに一筋の希望の光をもたらしてくれたような気がしました。

きっとこの物語も人それぞれ感じ方は違うのだろうし、それが小説の面白みでもあります。
ただ、自分の価値を知り、自分の価値を確かめるために生きていくことの大切さを再確認する、良いきっかけとなってくれたことは確かです。

おわりに

足りない語彙力と拙い文章ですが、ここまでお読み頂いてくださり誠にありがとうございました。
自分の興味のある本からでも読んでみるのはいいですね、、、知らない表現や物語に触れることで、凝り固まった固定観念を解きほぐしてくれる気がします。
こういう体験一つ一つを大切にしていきたいです。

編集履歴

  • 2021/12/11:初版

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