図書館で出会ったこのシリーズ。
やっと予約の順番がまわってきて、読めました。
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既刊は、日本オリジナル短編集シリーズ5巻と長編シリーズ9作目のこの作品。
主人公は、7世紀半ば古代アイルランド五王国時代のうちの一つモアン国の王妹であり、修道女であり、法廷弁護士【ドーリィー】の資格を持つ美貌の持ち主『キャシェルのフィデルマ』。
馴染みの薄い時代の、馴染みの薄い国での物語なので、巻頭に丁寧に歴史的背景の説明がある。
長々と《歴史的背景》を引用してしまったが、この部分に興味を持つかどうかがこのシリーズの肝なので、お許しください。
また翻訳者の方のご苦労として『古代アイルランド』を身近に感じられるように少し古めかしい文体を使用されていらっしゃる。
またラテン語やゲール語の引用などとともに、聖書の引用は「舊新約聖書・文 語譯』(日本聖書協会)に拠り、旧約聖書続篇の引用は、原則として「旧約聖 続篇(アポクリファ)』(旧約聖書続篇翻訳 委員訳、聖公会出版社、一九三四年)に拠り、舞台である修道院の薄暗い石造りの建物が目の前に浮かんでくるような全体の雰囲気を作り上げてくださっている。
シリーズを担当された翻訳家お二人に感謝しかない。
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フィデルマにとっての『ワトソン』的存在【サクソンのエイダルフ】が外交的使者としての旅行中、思いもよらない罪状がかけられたとの知らせに、現スペインへの巡礼から急遽アイルランドに戻ってきたフィデルマ。
彼女はエイダルフを救えるのか?
なぜエイダルフが罪に問われる羽目になったのか?
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推理小説なので、ここまで。
著者は古代アイルランド学の研究者なので、フィデルマという人物は架空だとしても、時代の様相は学術的に正しいそうだ。
となれば、7世紀のアイルランドへの時空旅行ともいえるこの作品。
ぜひ!
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ではまた。