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一人営業通信dgtl_Vol.8「ヒットの要素6/6_特徴」

#6 特徴

さて今回ついにバイヤー目線シリーズも最終回。6個目の要素「特徴」について紹介していきたいと思います。
「特徴」とだけ聞くと、なんだかぼんやりした要素に感じると思いますが、簡単に言い換えると「この商品をひと言でいうなら?」という質問への答えだと思ってください。
「ひと言で」というのはつまり、販売の現場や商談やもしくは広告の紙面やWEBサイトや、あらゆる場面の宣伝において、長々と説明をしないための、ひと言で気を引くためのキーワードという風にご理解いただくと、わかりやすいかと思います。

またコイツはさらっと難しいことを言い出すな、とお思いかもしれませんが、まぁそう早合点をせずに、いつものように例など混ぜながら詳細を説明してみたいと思いますので、とりあえずお聞きいただければと思います。

突然ですが私の職業は営業です。営業職というのはよく人に会う仕事で、数多くある付き合いの中には、何年かに一度しか会わないような取引先もいれば、ものの数分の接触で終わってしまう取引もある。そういった瞬発力なのか持久力なのか、とにかく不定型な関係性のなかで、ただの社交辞令に終始してしまわない会話を成り立たせるには、ちょっとした工夫が必要になってきます。

私の場合は、それほど口の上手いほうではないので、手を変え品を変え何とかかんとか切り抜けているという状況です。相手との共通項を探り、短い会話でも伝わる適度な言葉を選んで相手の懐に潜り込む。
その時に必要なのは、自分の持っている知識や情報を「端的に伝えるためのワード」なんです。
例えば手前味噌で恐縮ですが、私は自転車が好きです。自転車に乗って長距離を走るのが楽しい。しかしこれを、あらゆる説明をそぎ落として「僕は自転車で長距離を走るのが好きなんですよ」とだけ伝えると、これを聞いた大半の人が想像するのは、ピチピチのジャージを身に着けて、猛スピードで走る姿だと思います。しかし私の場合スピードを出すことやタイムを縮めることにはまるで興味がない。ニュアンス的には遠くの町まで自力で行って、何なら途中で美味しい店を探してみたり面白そうな山道に寄り道したり、服装だって普通にTシャツにハーフパンツです。
ここまで説明すると、なるほどなと思っていただけるかもしれませんが、これを営業の場面でいちいち「僕はですね、スピードとか云々・・・」と説明するわけにはいきません。
つまりここでニュアンスを伝えるために有効なワードというのが必要になってくるわけですけども、こんな時私は「自転車で遊ぶのが好きです」と伝えるようにしています。「自転車で遊ぶ」と言えば、単に乗るだけではない何かを想像してくれるはずですし、具体的な想像が及ばなければ、そこに質問を返してくれるはずだからです。

長い例を用いて恐縮ですが、つまりは「特徴」を決めておくというのはこういう作業をすることだと思ってください。私の“自転車”を自社の商品に置き換えて説明すると、どんな言葉が有効でしょうか。

例えば顕著な例として、商談会を想像してみましょう。全国のバイヤーが集まるような商談会でブースを構えたとして、海産品なのか肉製品なのか、菓子なのか飲料なのか自社の商品を並べたときに、あたりを見渡せば同じジャンルの商品は山ほどあると思います。その中で自社の商品を説明するための的確なひと言は何でしょうか。

そのためにヒントらしきものを紹介するならば、例えば自社の商品についての要素をあれこれ分解して書き出してみる、というのはいかがでしょう?
サンプル的な実践として、ここで一つのモノを要素に分解して、そこから特徴を導き出す作業を実際にやってみようと思います。

「コカ・コーラ」
言わずと知れた清涼飲料の王道。これを分解してみるとどうなるでしょう?
・赤い缶
・手ごろな価格帯
・定番から、シュガーレス、フレーバーなど展開
・あらゆる場所で手に入る。
・実は他のジュースでは代用が効かない味
・アメリカ的な文化
・炭酸飲料、炭酸が強い、カフェイン
・・・etc

といったような特徴を羅列していきまして、ここから要素を組み合わせて、いち文にまとめてみようと思います。

 「他では代用の効かない味わいのさわやかな炭酸飲料で、赤い缶が目印のアメリカンな飲み物」

これをもっと短くぎゅっとしてみると、

「唯一無二のアメリカンな炭酸飲料」

といったところでしょうか。

この作業をする場合、全ての要素を反映することは難しいと思います。あれもこれもと欲張ると長くなってしまいますし、強めの特徴が2つも3つもあれば、で、結局どれが特徴なの?となってしまうからです。
ここはひとつ、これは絶対伝えたいというものを選抜して、それを元に組み立てるというのが良いと思います。

これさえ決まってしまえば、あとはひたすらこれを連呼するのみです。
広告を作る時、商談の打診をするとき、対面販売の時、あらゆる場面でこの謳い文句をひたすら発信していくことです。

というところで一つ種明かしなんですが、今回紹介した要素って実は、今まで紹介してきた5つの要素の総まとめ的なところがありまして、「見た目」、「価格」、「品揃え」、「ボリューム」、「差別化」を横断して、あらゆる要素をカバーする言葉の表現ということなのです。
お気づきかもしれません、先ほどコカ・コーラを分解した時に書きだしたワードが、実は今までの5つの要素をカバーしていました。

つまり、ここままでの説明を平たく言うと、これまで紹介してきた5つの要素をまとめると、どんな言葉がいいだろう?という作業になってくるんですね。

例えばどこかのお店に自社の商品を持ち込むとき、
「原材料にこだわって作ってますが、生産から製造まで手掛けているので価格も他社より抑えていまして、もちろん味にもこだわっています。味の展開もたくさんあって、用途に合わせて内容量も変更できますし、原材料の産地を変えて特別感を出すこともできます・・・etc」
みたいなことを言われても、聞く方は頭に入ってきません。

会議やプレゼンなどの場面でも「結論ファースト」という方法がよく言われると思いますが、ニュアンスとしてはそれに近いことです。
上手くまとめた特徴を伝えて、商談のチャンスを得る、お客さんの足を止める、そこまでできてしまえば、こっちのものです。
あとは、商品説明の中でいくらでも思いの丈を語ることができます。

特徴を考える作業って、自社商品やサービスを改めて見つめなおす作業かもしれません。商談の予定は無くても、自社サービスの棚卸的に一度やってみるのもいいかもしれませんね。

自社の魅力を伝えるためのワード。
参考にしてみてはいかがでしょう?


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