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一人営業通信dgtl_Vol.7「ヒットの要素5/6_差別化」

#5差別化

※この記事は、2018年にに営業ツールとして発行したニュースレターを加筆修正してnoteにアップしたものです。

さて、今回第7回目の元バイヤー目線~は、5ツ目の要素である「差別化」について解説いたします。
まぁ、いかにもありがちなテーマなんですけど、しかしこれをきちんと具体的に理解しているかどうかというところは、ちょっと難しいのではないでしょうか。売る側と買う側とその間にいるバイヤー的な立場では、その受け取り方も微妙に違ってきますしね。
はい、というわけで今回も、いつも通りだらだらと解説してまいりたいと思います。

差別化というのは皆様の想像通りで「他社との違いを打ち出すこと」です。思うにこれが6個の中で一番大事な要素で、これができているかどうかで商品の価値(外から見た時の)は格段に違ってきますし、消費者の印象も全然違うと思います。

他社との違いを出すといって、そんなことは当たり前と思うかもしれませんが、じゃあどこでどうやって違いを出すのでしょうか?例えばパっと思いつく差別化のポイントがあるでしょうか?それって本当に差別化のポイントなのでしょうか?
たたみかけるような質問ですね。
と言うのも、差別化のポイントには効果的な物とそうじゃない物があって、僕はその大半のポイントが効果的じゃないと思っているからなんです。
例えばよく目にする宣伝文句に「道産素材使用」とか「契約栽培○○」というものがあります。一見よさそうなポイントだと思いますが、佐藤的にこれは差別化の要因にはならないと思います。

どちらの言葉も、それが暗に示しているのは「安心・安全」であり「質の高さ」であり「製造者のこだわり」であり、いずれも商品の価値を上げるためには良い事実だと思うのですが、しかしこれはもうすでに形骸化してしまった売り文句で、物流の発達した今の時代なら、道産素材を使うことにそれほどの希少性やオリジナリティは感じません。結果あちこちで使われ過ぎて、本来の意味をなさなくなってしまいました。よほど産地や素材にこだわっている消費者以外には、四角いか丸いかの違いくらいにしか響かないと思っていいでしょう。
この理屈にのっとって考えると、「手づくり」や「自家製」なども同様です。

差別化ということを開きなおって考えると、つまりは「ウチは他とは違うんです」と胸を張って言える要素かどうかということで、それを聞いた消費者が「へぇ」と思うかどうかだと思うんです。
こう書くと、逆のパターンで「うちには、そんな気の利いた商品はないや」と諦める方もいるかもしれませんが、差別化のための売り文句なんてそんなに複雑なことはなくて、後付けでいくらでも考えられると思っています。
いや正確にはそれくらい単純なことだという話で、言ってしまえば目の前の事実をどうやって魅力的に伝えるかという、言葉遊び的なことでしかないんだと僕は思っています。
それに灯台下暗しというのは大にしてあるものでして、当事者は気づいていない魅力というのがあるかもしれません。
当然商品そのものの魅力が差別化に繋がる場合もありますし、提供方法でだって差別化は可能です。パッケージやネーミングだってそうですし、販売の口上だって差別化の要因になりえると思います。
と、書くだけではなかなか伝わりにくいと思いますので、手っ取り早くいくつかの事例で解説をしてみたいと思います。

例えば、以前私が一緒にお仕事をしたコーヒー屋さんでは、豆の焙煎において差別化に成功されていました。
深煎りの重たいコーヒーを提供する店が多い札幌で、スタンダード(日本では普通、札幌では浅め)な焙煎で勝負しているお店でしたので、私がバイヤー時代に「これは、札幌では目立つな」と思いお誘いしました。
当然この店だけがそういう焙煎だったわけじゃなく、他にもそういうお店は沢山あったと思います。ましてや今の浅煎りブームならば、尚のことですが、その当時の札幌のカフェ界隈で、深煎りをメインにしていないお店で尚且つブランドとして確立していて、(雑ないい方ですが)オシャレに展開できているお店は多くはなかったです。

また別の事例としては、こんなものもありました。意外とこれが一番多いのですが、見逃されがちな商品をメインに据えて、手間をかけて売り出しているというパターンです。
例えば「マフィン」「ミートパイ」「チリビーンズ」・・・etc
昔から世の中にはあるけれどそれを敢えて前面に押し出すような店はなかなか見なかった、というニュアンスの物です。これをこだわりを持って製造し、宣伝し、売る、という一連の流れをきちんとやっている店は目立ちます。
ただそれは決して、沢山ある商品の一つが気が付いたら売れていたという受け身では意味がないんですよね。「うちはこれに力入れてやってますよ」という攻めの宣伝があって、はじめて成立する差別化です。
まぁ、これに関しては、売り出すジャンルを見つけたもん勝ちみたいなとこ
ろもあるので、冒険的な要素も強いですが、しかしバズった時の威力も大きいと思います。

他には、もっと基本的なことでいえば、敢えて高価格帯だけを揃えているお店というのもあります。
私の覚えている中ではオリーブオイルや出汁パックのお店なんかが成功事例で、きちんと作った物を、きちんとした宣伝方法できちんと売る、というあくまで正攻法なのですが、この攻め方が実はすごく目立ちました。
ただ誤解をしないで頂きたいのは、これがお金をかけることで実現しうる方法でないということです。このコラムの一つ目の要素「見た目」の時にも書いたのですが、手づくりでもきちんとそこに理由があることが大切で、なぜそうしたのかという理由が説明できれば、外から見た時に説得力が出ると思います。

他にも、よそにはない自然条件を売りにしているパターンや、原材料など通常お金をかけない部分を敢えて豪華にして差別化しているパターンもありました。
つまりですね、いろいろ見てたどり着くのは、そのワード・売り出し方を使う先駆者であること、そしてそれが「だから何?」にならないこと、という二点に尽きるのだと思います。
もちろん、世界初とか日本初になるのは相当難しいと思いますし、よほどの情報や知識がない限りは、不可能に近いと思います。
ただ少なくとも、その地域や業界や、もっというとその街やその商店街の中でも良いんだと思うんです。
ある一定の範囲の中であれば、先駆者になる意味があると思います。
そして、先駆者になるにしても、「だから何?」にならないことが必要で、先にも書いたような「手づくり」「自家製」というのもそうでしょうが、それを言われた所で消費者は「まぁ、そうだろうね」と思ってしまうような事実では、意味がありません。
これが達せられていれば、差別化に成功しているといえると思います。

とここまでグダグダと説明をしてきたのですが、まぁ、あまり難しく考えない方が良いのかなと、ここにきてこんなことを言うのも何なんですが、差別化をすることに何の意味があるんだということを改めて考えたんですけど、つまりそれって消費者やバイヤーの判断材料でしかないんだと思うんですよ。
私の場合は元バイヤーということでその目線で書きますが、バイヤーが商品を選ぶ時ってつまりは、催事とかカタログ製作とか、新商品の提案とかテナントの入れ替えとか、そういう何かを新たに取り入れる時なんだと思うんですね。
そういう時にあれこれ考えて、何となく方向性が絞られてきたときに、例えば今回は和食の総菜が欲しいな、というので幾つかの候補が出てきたとします。その中から選ぶ決め手の一つになるのが差別化のポイントだと思います。

以前も書きましたが、バイヤーというのは会社員ですから、企画を興す時には上司への報告が必要になります。「これ良いと思うんですよ」という説明をするためには、何か決め手になるポイントが必要なんです。
つまりはそういう単純なことで「こっちとこっちだったら、とっちが良いかな?」の決め手になる文句が差別化のポイントです。
それは消費者だって同じで、こっちとこっちだと、どっちがいいのかしら、と迷う時決め手になるポイントがあればいいのです。
そう考えると、何となく絞り出せそうな気がしてきませんか?

というところで今回はこまで。
ご参考にされてみてはいかがでしょうか。

つづく

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