荘子 雑篇 除無鬼篇 第二十四上

荘子 雑篇 除無鬼篇 第二十四上

吉成学人(よしなりがくじん)
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この篇のタイトルとなっている「除無鬼」とは、隠士の名前です。 

除無鬼は、ある時、国の大臣のなかだちで、魏の武候に謁見します。
除無鬼をみた武候は、人里離れた山林で暮らす彼をねぎらいます。
しかし、除無鬼は逆に、武候をねぎらいに来た、と云います。
理由を尋ねる武候に、除無鬼は、王さまが欲望を満たそうとすれば、好悪の感情をつのらせ、生まれつき自然なあり方が損なわれるが、逆に、欲望を押さえつけて、好悪の感情を取り除けば、耳目の感覚が狂ってしまう。
それをねぎらっている、と云います。
気分を悪くした武候は、そっぽをむいてしまいます。
除無鬼はやがて、猟犬と馬の見分け方を武候に説きます。
すると、武候は大変喜んで、笑いました。

除無鬼が退出すると、推薦した大臣がやって来ます。
大臣は不思議そうに訊ねます。
今まで、自分たち家臣は王さまに、儒教の書物や兵法書の内容を話し、数々の功績を上げてきた。
しかし、王さまが歯をみせて笑うことはなかった。
一体、何を話したのか。

除無鬼は、猟犬と馬の見分け方を教えただけと述べます。
家臣はなぜそれだけ内容で、といぶかしがります。
除無鬼は、流刑者が人と出会わずにいる時間が長ければながいほど、人と会った時の感動は大きいと述べます。
人里離れた岩窟に暮らす人でも人の足音を聞くだけで、喜ぶ。
まして、兄弟や親戚の人間がそばで咳ばらいすれば、なお喜ばれる。
王さまが喜ばれたのは、理想の人間の言葉で語って咳ばらいする人間が側にいなかったからだ、と述べます。

最近、熱いですね。