図書館は紙のAI(人造知能)

2004年4月、最初の指定管理者制度による公共図書館の管理運営に関わることができてはや満14年がたった。毎年秋に開催される図書館総合展もはやいものですでに第20回目と聞く。今年は開催時期も早めで、他の行事とも重なったこともあって、会場を見学するのも駆け足だったし、フォーラムはひとつも聞いている時間がとれなかった。そのような中でまず感じたのは、「居場所/サードプレイス/まちづくりの拠点」としての図書館に大きく動いているということ。全国津々浦々の図書館で様々なイベント、様々な取り組みが行われている。特に若い図書館員が力をつけてきている感じが心強いかぎり。非正規雇用や所得が増えないなどという逆風もあるが、それでも夢と希望を失わずに地域にとってより良い図書館作りに取り組んでいる姿を知ることができるのは、実に嬉しい限り。

ということもあって、そろそろ還暦の声も聞こえる年齢になったこともあって、次の時代の図書館のためにできることは何だろう?と考えていた。そしてそこにあったのは、2004年にはじめて図書館の仕事に関わった時、そしてその直前まで他のNPO法人で取り組んでいた、インターネットミュージアムや地域のイベント情報サイトづくりから思っていたことでもあり、図書館の書架を見ながら感じていたことでもある『本をバラバラにしたい』という想いだった。

ある意味で…それもとても奢ったタカビーな考え方かもしれないが、あえて言えばこういうことになる。「本という紙の束から、記述されている情報や知識を解放したい」。これにはApple社がはじめた音楽配信サービスiTunesの影響もある。本来EP/SPレコードやCDで販売されていた音楽を一曲一曲バラバラにしてデジタルで配信をはじめた。ある意味で『レコード/CDという媒体から、楽曲を解放した』といってもいい。実はそんなかたちで、本とくに、辞書や図鑑などの図書館でいうレファレンスブックは、解体してこそ価値がある…とすら思っている。ただ実際に紙の本を断裁機で分解し、カッターで記事を切り刻む…なんてことが、図書館でできるはずもなく…そこに登場するのが、デジタル技術なんだろうなぁ〜と、漠然とおもっていた。



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