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140字で映画はどこまでかたれるか。

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タイトルの通り、筆者が観た映画の回想録です。鑑賞環境は映画館の新作を中心にしていますが、基本的にはあまり拘りません。字数制限の都合上、警告なしでネタバレとなる場合もあるので注意。
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#レビュー

「コーダ〜あいのうた」(2021)は、聴覚障害者の家庭に生まれた健常者の家族である少女の独立と自立を描くホームドラマである。オリジナルのフランス映画にあったコメディ要素(!)を排し、家族の絆というお題目で子供を束縛する「毒親」と才能ある娘の対立という感動とは程遠い辛気臭い映画だ。

山本倫生
1年前
7

「劇場版ツルネ〜はじまりの一射」(2022)は、同名テレビシリーズの総集編アニメ映画である。弓道部に集う男女の力関係のさじ加減が見どころの本作の魅力を余すことなく2時間弱に収めた好編だが、キャラ立ちしている女子部員の出番が大幅にカットされているのが残念無念……。

山本倫生
1年前
1

「ロッキーvsドラゴ:ロッキーⅣ」(2021)は「ロッキー4炎の友情」(1985)の改訂版となるスポーツアクション映画である。ロッキーとアポロの関係をBLとして再構築することで、単身ロシアに乗り込んだりソビエト指導者に説教かますロッキーの動機付けに説得力は増したと思うものの……。

山本倫生
1年前
1

「神々の山嶺」(2021)は、夢枕獏原作/谷口ジロー作画の同名漫画を長編アニメ化した山岳サスペンスミステリ映画である。フランス映画でありながら、完璧に作り込まれた「80年代の日本描写」や「山の大きさと人間の矮小さ」を強調する絵作りなど劇場で堪能するしかない贅沢な一作である。

山本倫生
1年前
6

「FLEEフリー」(2021)は、デンマークに亡命したあるアフガニスタン人男性の半生を描くドキュメンタリー“アニメ”映画である。ドキュメンタリーでありながらアニメーションで描かれる理由がわかる時、語り手の壮絶な人生が十二分に察せられる作劇にはただひたすら唸るしかない。必見の一言。

山本倫生
1年前
2

「リコリス・ピザ」(2021)は、1970年代アメリカを生きたひと組の男女の恋の行方を描いたり描かなかったりするコメディ映画である。キャリア志向の歳上女性と子役タレントの生意気な高校生という一筋縄ではいかない曲者カップルが起こす悲喜交々の焦燥感がわりと好き。

山本倫生
1年前
2

「劇場版GのレコンギスタⅣ〜激闘に叫ぶ愛」「同Ⅴ〜死線を越えて」(共に2022)は同名テレビシリーズ(2014)の増補改訂版というべきアニメ映画である。ガンダムには何の感慨もわかないが、富野由悠季の新作ならば見ないという選択肢は存在しない。これで終わりと信じたくはないが果たして?

「ソー:ラブ&サンダー」(2022)はマーベルコミック原作の同シリーズの4作目に当たる映画である。Dr.ストレンジと同じく「アベンジャーズ」の中の一人という雷神ソーだが、本作では主役の座を相棒の「トンカチ」に奪われるというまさかの展開に唖然茫然。これで帰ってくると言われても……。

山本倫生
1年前
1

「バズ・ライトイヤー」(2022)は「トイストーリー4」(2019)以降、劇場公開となったピクサーのアニメ映画である。「トイストーリー」のアンディ少年が見ていた映画という体裁で作られているが、子供騙しなストーリーや表現技術が「1995年の映画」には見えないのが困りものだ。

山本倫生
1年前
1

「ライトスタッフ」(1983)は、アメリカの有人宇宙飛行計画に選ばれた男たち“マーキュリーセブン”と超音速飛行に命を賭ける空軍パイロットの生き様を描く実録映画である。今は見る影もない健全なアメリカンドリームを描く栄光と挫折に満ちた193分は見応えたっぷりだが、さすがにお尻が痛い…

山本倫生
1年前
3

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968)は、現代ゾンビ映画の嚆矢にして原典にあたる人類必須の文化現象である。様々なジャンルで見られるゾンビ文化の遺伝子はここに端を発していることを再確認することは決して無駄なことではない。劇場に日参して死者たちの夜にその身を浸せ。

山本倫生
1年前
1

「トップガン:マーヴェリック」(2022)は同名タイトルの正統な続篇にあたる航空アクション映画である。昨今の行動規制の煽りを受けて3年以上お預けを喰らっていただけに最高のお祭りムードが映画館に漂う幸せな2時間強であった。映画の中身は後から吟味すれば良いし野暮なことは言いっこなしだ

山本倫生
1年前
3

「犬王」(2021)は、室町時代に実在した能楽師・犬王に材を取ったミュージカルアニメーション映画である。この世の不幸を一身に背負って生まれるが如き出自にもめげない主人公の克己心とバイタリティを以てしても浄化できない「呪い」をめぐる物語。その結末は劇場の暗闇で見届けるに相応しい。

山本倫生
1年前
1

「シン・ウルトラマン」(2022)は、1966〜67年放送のテレビシリーズを基にした空想特撮映画である。ウルトラマンへの偏愛が勝りすぎてシリーズの本質を見誤ってしまった脚本とそれを制御できないボンクラ演出。典型的なオタクの内輪受け映画だが、いちおう想定内なのでこれはこれで良い。