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140字で映画はどこまでかたれるか。

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タイトルの通り、筆者が観た映画の回想録です。鑑賞環境は映画館の新作を中心にしていますが、基本的にはあまり拘りません。字数制限の都合上、警告なしでネタバレとなる場合もあるので注意。
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2023年4月の記事一覧

「生きる〜Living」(2022)は、余命宣告を受けた市役所官僚のあがきを描く映画である。黒澤明の代表作(1952)を同時代のイギリスに舞台を移して作られたリメイク作は、寡黙な英国紳士の主人公が何も語らず動きもせずで、何を「生きて」いたのかさっぱり分からない非常に困った感じで…

山本倫生
1年前
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「シン・仮面ライダー」(2023)は、令和の御世にハニメーションを復活させた庵野秀明執念の野心作として評価するべき映画である。「全ての映画はアニメになる」という某鬼才映画監督の名言(迷言?)を体現したビジュアルは○ーベルやインド映画の遥か先をいく偉業と言って差し支えない。

山本倫生
1年前
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「逆転のトライアングル」(2022)は、富裕層やセレブリティがひたすら悲惨な目に遭うところを愛で愉しむブラックコメディ映画である。これみよがしで悪趣味極まりない作劇に眉を顰めつつも快哉を叫ぶ作りはこの制作者ならではであるが、何かが足りないような気もして些か消化不良気味。

山本倫生
1年前
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「アバター2」の不振をもって洋画の低調を嘆く論調には、それだけではないという反論も可能ではないか。「泣ける」「推し」目当てに劇場へ行く観客に多様な価値観を受け入れる土壌が育っているかどうか、そのことを一度真剣に考えてみるべきではないだろうか。

山本倫生
1年前
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「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022年)は、様々な問題を抱えたオバさんが世界を救うミッションを描くいつもの異世界映画である。製作者がマルチバースを全く理解していないなどツッコミどころは山ほどあるが、いちばんの問題は原題そのままの「邦題」だ!

山本倫生
1年前
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「フェイブルマンズ」(2022)は、フィルムの魔力に取り憑かれた青年のモラトリアムを描く映画である。現代アメリカ映画を体現する巨匠の自伝的映画ということで描かれる「彼」の本音が「母親との関係」にある、文字通り赤裸々な告白を聞かされている感じで何となく心穏やかでいられないというか…

山本倫生
1年前