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140字で映画はどこまでかたれるか。

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タイトルの通り、筆者が観た映画の回想録です。鑑賞環境は映画館の新作を中心にしていますが、基本的にはあまり拘りません。字数制限の都合上、警告なしでネタバレとなる場合もあるので注意。
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2021年7月の記事一覧

「Run.(ラン)」(2020)は、郊外の一軒家に軟禁された下半身不随の女子高校生に降りかかる災難を描くサスペンス映画である。主人公がとる最後の行動に「愛」とはなにかということを考えさせられるが、この手の映画でそれを問われてもと思わなくもない。予定調和はものすごく大事なのである。

山本倫生
2年前
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「ゴジラvsコング」(2020)は通称レジェンダリーゴジラシリーズの3作目にあたる怪獣アドベンチャー映画である。「隠し球」にあたるあの怪獣や曰くありげな登場人物など不自然で歪な構成を気合いと怪獣愛?で誤魔化そうとして収拾がつかなくなる、典型的な底抜け超大作にガッカリする。

山本倫生
2年前
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「さよなら私のクラマー First Touch」(2021)は同名テレビシリーズの前日譚にあたるアニメ映画である。「フィジカルで女が男に勝てるはずがない」という「昭和」の精神論そのままの価値観に違う意味でハラハラする。共感できない主人公など、今の時代で語るべき物語だとは思えない。

山本倫生
2年前

「漁港の肉子ちゃん」(2021)は、田舎の漁港で暮らす訳あり母子の日常の機微を描くアニメ映画である。匂いや味まで伝わってくる「肉と脂」の描写など手描きアニメの表現密度は近年公開のアニメ映画でもトップクラスの出来栄え。企画者や製作会社の名前で敬遠するのは早計というべき秀作である。

山本倫生
2年前
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「トゥルーノース」(2020)は政治犯として北朝鮮の強制収容所に収監された帰還在日朝鮮人家族の苦難の歳月を描くアニメ映画である。アニメでしか描けない世界の現実を、ともすれば理想的というかファンタジーのように展開する作劇が奏功しているか賛否の分かれる映画のように思われた。

山本倫生
2年前
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「映画大好きポンポさん」(2021)は業界の頂点を目指す映画監督とプロデューサーの苦闘の日々を追うアニメ映画である。後半のオリジナル展開のおかげで退屈な原作が傑作に見えるという稀有な作品。監督の信念を身を以て体現する「90分」は劇場で見て初めて意味をなす仕掛けなので注意が必要だ。

山本倫生
2年前
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