もしもそれを願うなら

書くことが好きで書くことを仕事にしていると、
時々「本書けばいいじゃん」と言われる。

おまけに観劇が趣味だとなれば「戯曲を書けば?」となる。

トライしたことはないけど、「『創作』したい欲」はほとんどない。
書けたらいいなーと思うけど、それは芸能人かっこいいなーくらいの
ミーハーなもので、そもそも書きたいテーマ自体がない
(正確には1つあるけど、全然自分のキャパでは手に負えない)。

基本的には自分が「いいな!」と思ったものを伝えたい。
その良さが伝わったと感じられたときが幸せ。

ただ、矛盾しているのだけども、
「もし創作を志すのならこの人に師事したい」と思う人がいる。
劇団☆新感線の座付き作家の中島かずきさん。
単純に劇団の、そしてこの人の書くもののファンであることは
もちろんなんだけど、その作品の重厚さはファンであることを超えて、
ただただ圧倒される。

「なんでこんなことが考えつくのだろう?」

髑髏城の七人、蛮幽鬼、SHIROH…

まさかそんな!
そんなに前半で話を膨らませてどう収拾するの!?
そんな連続。マジですか。

トドメが去年のアテルイだった。

強烈に思った。

「もし何かを創作したいなら、無給でいいからこの人に習いたい」

あの頭のなかの一端にでも触れられるなら、
あのなにかを少しでも自分の腕に宿せるなら、
どんなにきつくてもしがみついてついていく。
(資料集めだけでも大変なことは容易に想像がつく)

本当にラストは凄すぎて、泣いた後はボーゼンとしていた。

中島さんの脚本じゃないいのうえさんの演出は見たことがあっても、
いのうえさんの演出じゃない中島さんの脚本は見たことがないから
(いのうえさん=劇団☆新感線の演出家)
一概には言い切れないけど、
中島さんの本にいのうえさんの演出がつくのは最強だと思う。

でも演出を差っ引いても、やっぱり本そのものの凄さは
自立していると思う。
完全な創作もあるけど、史実を曲げることなく
最大限ダイナミックかつドラマチックに解釈を膨らませる妙。

たらればは言ってもしょうもないことだけど、
好きな演出家さんは他にもいるけど、
0から書くことを志すなら、この人についていきたい。


この間中島さんじゃない本の新感線の舞台を見て
内容の良し悪しではなく「中島さんだったらここはこうしないはず」
「中島さんだったら…」といろいろと思ったり。

中島作品を見るたびに心が大きくうずうずする。

#新感線 #中島かずき #演劇 #脚本


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