<免許更新>
*この記事は「脱サラをする前に」というサイトから転載したものです。
いやぁ、大谷選手は本当にすごいです。歴史あるメジャーでも、過去に5人しか記録していないシーズン「40本塁打、40盗塁」を達成しました。しかも、その達成の仕方が尋常ではありません。同日に達成したのも「持っている」ことを感じさせましたが、その場面がすごかった。「9回2アウト満塁」で「さよならホームラン」です。よく大谷選手の活躍について「漫画よりもすごい!」と言われますが、まさにそれを実証した場面でした。
僕が大谷選手で最も好きなのは打席で構えたフォームです。僕の中では今まで見てきた野球選手の中で最もきれいなフォームで構えていると思っています。そして、そのフォームを見ていつも感じるのは「動じない心」です。「不動の心」が伝わってくる打撃フォームで、僕からしますと、まるで禅僧のように見えます。ほんの少しでいいので、「不動の心」を分けてほしいなぁ、と思っています。
そんな僕が今月は免許更新に行ってきました。5年ぶりの更新です。僕は妻に似て性格はよくありませんが、優良ドライバーですので5年ぶりです。とはいいつつ、前回は「ゴールド」から「ブルー」へと格落ちしていました。僕は免許を取得して48年になりますが、その間に違反をしたのは数回しかありません。僕の記憶では、最後に違反をしたのは8年くらい前の「一時停止違反」ですが、ここ15年で一度しか交通違反をしていないことになります。
今回また「ゴールド免許」に復帰したわけですが、なによりうれしいのは自動車保険の10%無事故割引が受けられることです。特別なことをしないで、10%の割引を受けられるのですからこれほどお得なことはありません。安全運転をしていてよかった、と実感する制度です。
無事故無違反でも免許更新のときには緊張します。小心者の僕がなにに緊張するか、といいますと、「視力検査」です。昔と違って今は「自動車運転試験場」だけではなく指定された警察署でも「免許更新手続き」ができます。以前、その警察署での「視力検査」でおかしなと言いますか、不可思議な検査を受けている人を見たことがあります。
警察署での「更新手続き」は「自動車運転免許試験場」と違いとても狭い会場です。そうした狭い場所ですので、ほかの人が受けている「視力検査」も近くで見ることができます。その日は僕の手続きではなく、妻の手続きの付き添いで行っていたのですが、たまたま僕が見かけた人は検査官と幾度も不可思議なやり取りをしていました。ご存じの方も多いでしょうが、視力検査は検査官が指し示した「アルファベットのCのようなマーク」を見て、欠けている個所を答えるやり方です。
検査機は望遠鏡のようなものが中に取り込まれていて、そこに両方の目を合わせ中を覗き込む方式になっています。ところが、その男性はなにを思ったか、両目を合わせるのではなく片方の目だけを望遠鏡の片方にだけ合わせていました。つまり、望遠鏡の片方は空いていることになります。それが僕にわかったのは、その男性の顔が検査機から半分ずれているからです。もっと具体的に説明しますと、自分の左目を検査機の右に合わせ、右目は検査機からはみ出していました。
そうした格好で検査官から「左目だけで見て」と言われたのですが、男性は「黒くてなにも見えません」と答えていました。検査官は「そんなはずはないから、よく見て」と言うのですが、そのたびに男性は「黒くてなにも見えません」と答えていました。斜めうしろから見ていた僕からしますと「黒くてなにも見えなくて」当然です。検査機の閉じている右のほうを左目で見ているのですから…。
そうしたやり取りを幾度か繰り返したあと、検査官は「少し休んで、あとからもう一度やりましょう」と横にあった椅子に座るように促しました。どうして、そんなことが起きるかと言いますと、その50代半ばの男性が緊張していたからにほかなりません。視力検査で「緊張するのは僕だけではないんだ」と思った光景でした。
そんな僕が今月免許更新に行ってきました。今回の免許更新で今までと違うのは「予約制」になっていたことです。1週間ほど前に「更新案内ハガキ」がきていて、予約の方法も説明してあり、わかりやすかったのですが、更新をする人全員が「案内ハガキ」を見ているとは限らないはずです。更新手続き会場に行って初めて知る人はどうなるのか、と余計な心配もしましたが、予約をしていなくても手続きを進められるようでした。
それでも事前に予約の手続きをしていますと、スムーズに手続きが進められるのは間違いなく、これもIT発達のおかげです。結局、会場に着いてからものの数分で書類の手続きを終えることができ、いよいよ視力検査になったのですが、そこで僕は思わぬ躓きをすることになってしまいました。
僕が視力検査で不安に思っていたのは「深視力検査」です。これは二種免許を持っている人が受ける検査なのですが、3本の棒が横に並んでいて真ん中の1本が前後に動き、3本が並列したときにボタンを押す試験です。これが意外に緊張するものでして、緊張すればするほど3本が並列した瞬間がわからなくなります。ですので、「視力検査」の前には気持ち的に構えて臨むことになります。
ところが、どっこい。いざ検査がはじまりますと、「深視力検査」をする前の普通の「視力検査」で引っかかってしまいました。これには驚きました。今まで「視力」はずっとよかったので、ここで引っかかるとは予想もしていませんでした。しかし、検査の人に「これは?」と質問されても、まったく答えられなかったのです。いつの間にか、視力が落ちていたようでした。
実は、前回の視力検査のときに担当した50歳過ぎくらいの女性検査官が感じがよかったので、今回もその女性がいたならその列に並ぼうと考えていました。やはり、試験は感じのいい人のほうが合格しやすい感じがします。今回もその女性のところに並んだのですが、悲しいことに「これでは免許を上げられないので、再検査に行ってください」と言われてしまいました。
これまで「深視力検査」の心配はしてきましたが、「視力検査」の心配はしてきたことはありません。仕方なく、係りの人に促されるまま「再検査の部屋」に向かいました。「再検査の部屋」は「徹子の部屋」のような豪華なセットはなく、簡易な横長のテーブルが幾つかあり、その上にアナログ式の検査機が置かれていました。通常の検査機がボタン一つで作動できることに比べますと、手動で動かすのは貧相な感じはしますが、人間味が感じられることではあります。
「再検査の部屋」には数人の検査官がいましたが、僕の担当になった方は20代後半くらいの女性でした。その方に指示された場所に立ち、その方が指差し棒で指した「アルファベットのCのようなマーク」の欠けた個所を答えるのですですが、悲しいことにそれが見えないのです。大きなスプーンで片方を目を押さえ、もう片方の目で「欠けた個所」をなんとか見つけようと目を凝らすのですが、残念ながら見えないのです。仕方なく自信無げに「み…ぎ…?」とか「ひだ…り…斜めうえ…?」というような答え方をしていたのですが、検査官は業を煮やした感じで、「じゃ、いいです。両目で見てください」と言いました。すると、なんとか合格圏内に入ったようで、「はい。次に深視力検査に行きましょう」と声をかけました。人間味があってよかったぁ。
いよいよ僕が最も緊張する「深視力検査」です。もちろん、すんなりと合格したわけではありません。失敗するたびに検査官の方は、手動でゆっくりと棒の動きを説明し「これがこう動いて、こうなった時点でボタンを押してください」とやさしく話しかけてくれました。若い女性の検査官でよかったぁ。
結局、なんども検査をしてようやっと合格したのですが、僕の印象では「再検査」というのは「合格させるために行う検査」という感じです。実際はどうなのかわかりませんが、少なくとても僕の場合はそう感じました。まぁ、とにかく、よかったぁ。
これで、5年間は検査の緊張をしなくて済みます。うれしい~。5年後までに大谷選手の「不動の心」を身に着けようっと。
じゃ、また。