1^x=aを満たすxは?(解説)

問題はこちら:

答え:以下の通り

a=1の時xは任意の実数、a=0の時は解無し、
a>0且つa≠1の時は、

 aは0以上の任意の実数なので場合分けが必要です。a=1の時は一般にイメージする「1の累乗は1」、つまりxは任意の実数です。a=0の時は解がありません。a>0の時は複素数まで範囲を広げると上のように明確な解がちゃんと存在します。この解をどう導くか解説します。

1を複素数で表現する

 ポイントは1を複素数で表現する所にあります。ちょっと技巧的ではあるのですが、まず以下の公式を持ち出します:

 これは高校の範囲で習いますね。このθに整数nである2nπを代入すると、

このようにあらゆるnに対して右辺が1になります。つまり、1という実数は複素数の世界で表現すると、

と書けるんですね。これを問題の式に代入します:

 xを抽出したいので、両辺のlnを取って整理すると、

このように複素数の範囲で解が求まります。ただしnは0以外です。nが0の時は無限の彼方に飛んでしまうため解が存在できないんですね。これはa=0の時も同様で、ここからa=0の時に解が無いという場合分けが必要なのが分かります。

 ちなみにnは0以外の任意の整数なので、上のマイナスが無くても別に構いません。

深掘:y=1^xのグラフ

 xが複素数の世界にまで広がった1^xが実際どういう値を示しているのか、グラフ化してみましょう。つまり、

をグラフで描いてみます。

 まずxが複素数という事なので、

と表す事にします。pとqは実数です。これをyの右辺に代入しましょう:

1^pは常に1なので、pは実は何でも良くて、xの虚数部しかyに影響しないんですね。ここで右辺の1を複素数で表現して整理すると、

このように右辺で虚数部が相殺して、yは実数になる事が分かります。つまり1^xはxがどんな複素数の範囲でも実数になるという事なんです。ちょっと不思議な感じです。

 上のqを横軸に、yを縦軸にしてグラフを描いてみます:

 nが任意の整数なのでグラフは曲線の集合になります。全てのグラフがy=1の所を通っていますね。ここはq=0つまりxが実数の時です。高校の範囲でイメージする「1の累乗は1」はここです。それ以外の範囲ではあらゆる実数yを満たすq(すなわち複素数x)が無数に存在するのがわかります。例えばy=2を満たすxは、上図の赤丸のようにすべてのnについて交点があるため無数に存在しますよね。

 ぱっと見ただけではグラフ化してもつまらなそうな、

というのが上のような曲線の集合になっている、そしてxが実は無限に存在するというのは何とも不思議です。複素数は普段見えない物を垣間見せてくれる何とも面白い世界ですよねぇ。

ではまた(^-^)/

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