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タメ口と敬語の優劣

敬語で話せる関係性がもっと日本で増えるべきである。何故ならば、今日の日本ではタメ口で話せる関係性が減りつつあり、それは社会の変化ではなく劣化を表しているからだ。ではなぜ敬語でしか話せない関係性よりもタメ口で話せる関係性の方が優れてるのか。その理由を言語化する。

初対面では敬語でも仲良くなるにつれタメ口に変化していくことがあるが、
これは人との関係性を言葉の形式が表している証拠である。普通の人であれば敬語でないと話せない関係性よりもタメ口で話せる関係性の方が良いと感じるはずだ。話し方は親密さを表す。心の距離が離れるほど堅苦しくなり、近くなるほど砕ける。心の距離は近い方が良いに決まっている。現在の日本で敬語の関係が増えている背景には、人々の心の距離が離れてしまっていることがある。平たく言えばあまり仲が良くないわけである。

今年(2021年)の5月にメキシコを二週間一人旅してきたが、コンビニの10代〜20代の男性店員が印象的だった。会計を済ませると彼は最後に無言でサムアップ(親指を立てるジェスチャー)をするのだが、その行為は日本のコンビニでは目にしたことがない。日本では「ありがとうございました〜」とある種Botのように形式的な挨拶を返されるのが一般的だ。そんな日常とは全く違うやりとりにとても新鮮味を感じ驚いた。サムアップも一つのフランクさの象徴であり、メキシコ社会の人々の心の距離の近さを表している。

メキシコのようにサービス業に従事する労働者と消費者の関係性でも、あるいはプライベートで知り合った関係性でも、筆者は進んでタメ口で話していきたい。いや、タメ口で話せる関係性を築いていきたい。それこそが、今日本社会を覆う孤独問題を打破する、小さくて大きなきっかけになると信じているからだ。

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