2019年5月⑧ わぁお~!
私がちょうど、入り口の前に着いたときに、遠くからアドバイザーがやって来るのが見えた。
マ「おはようございます、今日からよろしくお願いします!」
やって来たアドバイザーに気合いを入れて挨拶する。
ア「おお、おはよう、こちらこそよろしく~。ほな、さっそく行こか。」
二人はエレベーターに乗り込んだ。
ア「最初、事務所で挨拶しましょか。んで、着替えは持ってきてるやんな?」
マ「はい、持ってきてます。」
ア「Dの作業服はあるけど、後ほど貸してくれると思うので、それまではウチの作業服着といてくれるか~?」
マ「はい、わかりました。」
(うおぉぉー、緊張してきたなぁ。)
エレベーターが3階についた。
アドバイザーが先に下り、私が続く。
事務所のドアを開けて入っていくと、すぐに受付のカウンターがあり、その奥に男女一人ずつ背中を向けて座っていた。
ア「おはようございます、富山センター長。今日からお世話になります、マルオです。」
(センター長?ふ~ん。)
富「あ、おはようございます、松谷さん。」
と、背中を向けていた男性の方がこちらの方を向いて立ち上がった。
マ「あ、マルオと申します。本日からお世話になります、よろしくお願いいたします。」
警備員時代に培ったピッとしたあいさつをする。
ア「こちらは、富山センター長。」
アドバイザーが私に紹介する。
富「富山です。よろしくお願いします。そして、こちらが・・・」
センター長が隣に座っている女性を紹介する。
女「北町と申します。」
とぺこりと挨拶した。
富「そしたら、他の人も紹介しますね。」
と、センター長は事務所の奥へと行ったので私も続く。
富「専務、すいません、今日からJ(ウチの会社ね)の竹本さんの代わりで来られたマルオさんです。」
と、私を紹介した。
専務「専務の片桐です。竹本さんの代わりということで、大変だとは思いますけど、よろしく。」
マ「マルオと申します、よろしくお願いします。」
キリッと、ピッとあいさつする。
(マジメにさわやかそうにあいさつせんとな。最初が大事。)
専務の年齢は、お爺ちゃん、と呼べるぐらいだろうが、ダンディーな感じだ。さすが専務。
事務所の席は、4ブロックにそれぞれ各部門別に分かれているようだ。
専務の席は、入り口から一番奥で、その4ブロックを見渡せる場所にある。
富「こちらは、経理の仕事をしている部門で・・・」
と、そちらへ案内ないする。私は、くるっと専務に背を向けると・・・。
(うわぁぁお~~!みんな起立してるやん!)
私は思わずのけ反った。
総勢10名ほどの小さい会社(と言っても、母体はデカイ)だが、みんな起立して私の方を向かれていたら、すこしビビる。
(え?え?何でそんなんしてるの?別に俺、偉くないよ。中小企業の昨日今日で無理矢理リーダーさせられてきたおっさんですよ。)
私は急に恐縮モードになった。
富「こちらが、経理の藤田さんです。」
マ「いや~、ドーモすみませんねぇ。よろしくお願いします~。」
申し訳なさそうに猫背であいさつする。
全員に挨拶を終えて、センター長とアドバイザーと一緒に事務所を出ると、私はすでに汗ビッショリだった。
(フー、しんど。今日の仕事はこれで終わりやな。)
事務所の人達の名前は、ほとんど覚えていなかった。
富「そしたら、着替えてきてもらって、
その後ちょっと会社の説明させてもらいますわ。あ、ロッカー案内しますわ。」
マ「あ、はい、わかりました。」
三人はロッカー室へと向かった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?