2019年4月⑯ ああ、無情

もう一度、駅の回りを歩き、それらしき人達がいないのを確認し、改札へ戻る。

時刻は、19時20分ぐらいだろうか?

(う~ん、おかしいなぁ・・・。もうこのまま帰ったろか?そもそもが行きたくない飲み会やったし。あ、でも、谷さん来るもんな。)

色々考えていると、ロータリーの方から谷さんが走って来た。

谷「おー、マルオ君お疲れ~。」

谷さんはニコニコと手をあげてながら言った。

マ「お疲れ様です。今日って、集合時間19時でしたよね?誰もいなさそうなんですが。」

と、私が言うと谷さんは、グッと私の両肩をつかんだ。

(ウワッ!何や、何や、このオッサン!)

谷「今日・・・、なかってん、飲み会。」

マ「はい?今日じゃなかったってことですか?」

(え?え?日にち間違えた?俺。

アチャー、やってもうた?俺。)

谷「いや・・・、飲み会自体がないねん。」

マ「はい?」

谷「いやー、向こうのメンバーに聞いたら誰も行けへんって。」

マ「うん?」

谷「だから無しにしようかぁ、ってなってん、アハハハハ。」

私の両肩が小刻みに震える。

マ「無しになったのはいつですか?」

谷「一昨日。連絡するのん忘れてたわ、ゴメン、ゴメン、アハハハハ。」

マ「・・・」

谷「ハハハ・・・、ゴメン。」


マ「もーーーー!なんなんすかそれ~~~!え~~~っ!『アハハハハ』じゃないっすよ~!」


二時間ぐらいかけて、せっかくここまで来たというのに。

電車の中での、(あ~、嫌だ。)(あ~、嫌だ。)と思っていた気持ち。

2日ぐらい前からの機嫌の悪さ。

それが全て無意味だったのか?


何か脱力感がすごい。


谷「前日ぐらいにもう一回連絡してくれたら・・・、アハハハハ。」

(おい、オッサン、俺のせいでもあるんかーー!?)


一瞬、谷さんを睨んでしまったが、飲み会がなかったことの喜びに、わたしの怒りはぬるま湯になっていた。

谷「ま、ま、焼き鳥でも食べに行こうか?せっかくここまで来たんやし。奢るし。」

(当たり前じゃ!)


二人は飲み屋が並んでいる通りへと消えていった。







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