2019年5月 初

今日は5月最初の土曜日。

初出勤の日だ。

「初出勤」といっても、わたしがリーダーとして赴くD倉庫ではなく、本社である。

D倉庫は土日は休みだが、私の会社は「会社カレンダー」というものがあり、月に一回か二回は出勤日となっており、私は本社に出勤せねばならない。

（あー、『あの顔』とまた会うのか・・・。）

『あの顔』とは、新しく就職する会社の社長だ。

面接で、一目会ったその日から、私を嫌悪感に満たしてくれた、なかなかお目にかかれない『顔』をした社長。

その面接で、雑談など一切しない、愛想の悪い社長。

私と従業員との顔合わせで、従業員にも一切コミュニケーションをとらず、用件が終わるとそそくさと帰る社長。

私の中でのイメージの悪さはうなぎ登りだ。

その登りかたは、「欽ちゃんの仮装大賞」での審査員の満場一致での合格の時の点数の上がりかたに近い。

（まぁ、あんまり会わないからいいけど。）

ジャージを穿きながら、考える。

本当なら、本社に出勤するときはスーツなのだが、今日は何か作業をするので「汚れてもいい服装で」との事だ。

（今日は何するんやろな。井川課長って人から、D倉庫での仕事の内容説明はされる、ってことだけは知ってるが。）

身支度を整えて車に乗り込む。

（『何か作業する』って、しんどいことちゃうんか～？久しぶりに体動かすから、しんどいのはやめてほしいなぁ～・・・。）

嫌な予感を抱いたまま、私は会社へと車を走らせた。