2019年5月⑩ 何をやねん!

富「・・・そしたら、倉庫の方に行きましょか。朝礼しましょう。」

微妙な空気のなか、センター長は立ち上がって、会議室の出入り口の方へ向かった。

私とアドバイザーもその後に続く。

残りのDの人達は、

「私達は、事務所に戻りますので。」

マ「はい、これからよろしくお願いします。」

私は改めてぺこりと挨拶し、会議室を出た。


(あ~、いよいよ始まるか~。緊張すんな~。挨拶せなあかんな~、どうせ気の利いた言葉、何も思いつかんし、さっと終わらそ。)


倉庫に三人が着くと、ホーム(商品の積み降ろしができる広いスペースのことね)上では、前に見たことのある、西さんがリフトに乗って入庫作業をしていた。

ア「西さん、おはよう。」

西「あ、おはようございます。」

西さんは、こちらの方に向かって軽く挨拶をする。


西さん。

パッと見た感じは、優しそうなオジサンだが、ここに来る前に谷さんから聞いた情報では、ひと癖のある、めんどくさい人だそうだ。

(ん~、そんな感じには見えないが、顔だけじゃないからな、人間。)

ア「西さん、朝礼したいんやけどいける?」

西「あ、いけますよ。」

ア「そしたら悪いけど、宮田さんも呼んできてくれるかな?

西「はい、わかりました。」

そう言って西さんは、リフトに乗ったまま、倉庫の奥へ消えた。

(あ、もう一人めんどくさい人おるらしいなぁ。今言ってた『宮田』ではなかったと思うけどな~。)

基本的にリフトに乗って作業をする人(以後リフトマン)は、ひと癖もふた癖もある人が多い。

(まぁ、最初に決めたやり方でいくだけやけどね。)

心の中では、すでに決めていた。








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