【質問】学部・学科と全く関係ない別の業界に進みたいけれど不安です。
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【質問】
私は現在、情報系の学部にいます。ただ、どうしても自分には向いていない分野だという現実に直面して、就職は全く別の業界を考えています。業界研究もまだこれからですが、この挫折したような状態での就活に不安でいっぱいです。
また、今までのことが全く活かされない分野に進むことに、親への申し訳なさもあります。
こんな分野に進んだらどうかなど、何かアドバイスをいただけたら嬉しいです。
あいまいな質問ですみません。
【回答】
学生時代の学部や学科とは全く違う道に進んでいる人は、実際にはかなり多いです。
実は私は芸大卒で、今は人事の仕事をしていますから、まさにその一人です。
なので、単純に目指す道が変わったというだけのことで不安に思うことはないのではないかと思います。
相談者の方は、将来的にIT分野が就職にも良いと思い、情報系の学部に進まれたという経緯がありました。(相談の過程で教えていただきました。)
確かにそうなると、挫折感を感じるのも無理はないかもしれません。
ただ私は、人事として沢山の方と接してきて、異分野から転身した経験のある方や、ジョブチェンジした方の強さや発想力は、会社の財産だと思っています。
会社というのは多様性が力になります。特にこのめまぐるしく変化する時代には、特にそのことが重要です。だからこそ、多くの一流企業が、ダイバーシティに取り組んでいます。
プロティアン・キャリアという考え方
キャリア理論の中で有名な考え方の一つに、アメリカの心理学者ダグラス・ホールが提唱した、プロティアン・キャリアというものがあります。
プロティアンとは、ギリシア神話に出てくる、思いのままに姿を変えられる神プロテウスが語源となっており、「変幻自在な」「多方面の」と訳されます。
自分のキャリアを、自分の思うように、多方面に、主体的に変化させることで、人生が充実したものになることを説いたのです。
特に変化の激しい時代にこの考え方はとても大切です。
あなたは、ある専門分野で学んできましたが、どうもそれは自分の望んでいたものではないのかもしれない、ということに気付いたわけです。
それは、そのことだけでも本当に大きな発見です。
ダグラス・ホールは、「アイデンティティ」と「アダプタビリティ(適応能力)」が大切だと説きました。
相談者の方は、「どうやらITが将来的に良いのではないか」という外からの情報で動いてきたものが、自分にとっての充実感はそこからは得られないという、アイデンティティに関する気づきがあったわけです。それはとてもすごいことです。
あとは、「自分は何をしたいのか」「社会に対し何ができるのか」、このテーマについてじっくりと自分と向き合ってみてください。
本やネット上で探すと、自己理解、自己分析の手法は山ほど出てきますので、自分に合うな、できそうだなと思う方法で大丈夫です。大金を払うようなセミナーにはむしろ注意してください。
アイデンティティ、アダプタビリティを武器に
異分野での学びや経験は必ず活かせる
私は、エディトリアルデザインという、印刷物制作に関わる学科を専攻していました。
ただ私はその過程の中で、少しだけ色覚特性があることを知りました。
普段の生活に支障は無いのですが、納品するような制作物を作ったり、色校正をしたりすることは、正直難しい状態でした。
結局、エディトリアルデザインの道には進まず、全く関係のない業界に就職しました。
やりたかったこともできず、最初はただ仕事をする日々でした。
けれども、そのうちに、学んできたことを役立てる機会を見つけるようになりました。
例えば、採用の場面では、ナビサイトの活用やバナー、就活イベントでのチラシ制作なども必要でしたが、私は率先して制作を行いました。
色覚特性のため、色みについては同僚に意見を求めました。
また、外注する場合でも、こちらに知識があると、取引先のデザイナーへ修正の指示も的確に出すことができました。
そして、就活に関して悩みがある方の質問に、こうして自分の体験をもとにお話をすることができるネタにもなっています。
これは色々な場面で有効で、上司、同僚、取引先、そして就活生、沢山の方との会話の中で、自分から話をしたり、相手から質問されたりして、自分の出身校と今の仕事について話題にすることができています。
みなさん、え?なんで人事の仕事を?と、興味を持って聞いてくれます。
語れることがある人生というのは、長い目で見てとてもお得だと今は思っています(笑)。
自分の経歴を掛け算で考えよう
情報系の学部で学んだことは、全く別の業界に進んだ時にもそれを活かすことができるのではないかと思います。
例えば、アパレル業界に進みたいと思って採用面接を受けたとします。
おそらく、なぜ情報系に進まなかったのか、どうしてアパレルなのか、質問を受けると思います。
情報系の仕事は向いていなかったとあなたが思っているとしても、学んできたことはホンモノですよね。なので、ファッションが好きなことなどをアピールしつつ、情報系領域への知見を活かして、EC市場などの変化の多い分野にも対応していける知識を有していることを示すこともできると思います。
比較的多くの業界で、現場レベルでのIT知識は、たぶん、あなたが思っている以上に少ないことが多いです。
今のあなたの知識だけで、ハッカーなんじゃないかと思われてしまうかもしれません(笑)。
経営陣が、この会社を変革していきたい、変革しなきゃいけないと思っているところなら、そういうアプローチも有効な場合があります。
今、多くの企業は、多様性によって組織を強くしようとしています。
あなたのその経歴に魅力を感じて採用してくれる企業を、こちらで選ぶくらいの気持ちでいきましょう。
何か一つのことがズバ抜けてできる人は凄いのですが、それはほんの一握りの人だけです。ではどうするかというと、二つのことを掛け合わせて、他にないような専門性を身につけることができます。
私が取得している国家資格で、キャリアコンサルタントというものがあります。
実は、キャリアコンサルタントだけで生計を立てることは難しいと言われています。
じゃぁ、どういう人がうまく集客しているかというと、キャリアコンサルタント×医療業界経験などのように、自分の経歴を掛け合わせている人が多いです。
最後に
自分の学んできた学部・学科ではなく、全く別の業界に進むとしても、今はバラバラの「点」のように思っていたものが、実は「線」で繋がる日がくると信じています。
この変化の多い時代は、約束された道というものはほとんどありません。
ギリシャ神話の神プロテウスのように、変幻自在に、自由に、自分の人生を生きてくださいね。
応援しています。
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