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幼児活動研究会(JQ/2152) 株主総会レポート 2020/6/23

 東証JASDAQ上場の幼児活動研究会の株主総会に出席してきました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。なお、当レポートは私の心証に基づき脚色されており、意図せず誤認している可能性もありますのでご容赦頂ければと思います。
 なお、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません。株主総会レポートネタの読み物として何かの参考になればと思いますし、同社の理解に繋がれば幸いです。もし、お気づきの点などあればぜひツイッターブログにてコメント頂ければ幸いです(私自身の勉強にもなりますので)。

1.基礎情報

 まずは当日のタイムテーブルです。手元の時計での測定です。

  10:00 開会 (山下社長)
  10:02 議決権数の確認(山下社長)
  10:03 監査報告
  10:05 事業報告等の報告(ナレーション)
  10:15 議案上程
  10:18 質疑応答
  10:38 議案決議
  10:40 閉会

 記載の通り、粛々と進み、質疑がなければ30分もかからず閉会でした。事業報告は理解促進のためナレーションの会社も多いですが、同社も同じでしたが、ナレーションが明らかに社員さんが読み上げている手作り感があって、親近感が沸きました。但し、対処すべき課題等、今後の経営方針については、強い理念のある会社なので、ぜひ社長の口から直接伺いたかったなと感じました。質疑応答の際もソツのない対応なのですが、少人数の総会でもあり、もう少しゆるりと運営されてもよいのではないかなと感じました。何より、創業され、これだけ会社を成長させたわけですからもう少し自由な運営で様々な側面で生の状況を色々伺いたく、この点ではやや消化不良な総会でした。まぁ、私自身の質疑に当たり傾聴さが足りなかったのかもしれませんので、より今後はいい雰囲気の下で対話をして頂けるよう努めたいと思います。

 会場の様子ですが、まず、小学校の教室位の広さの会議室にソーシャルディスタンスが意識された椅子が20脚程度置かれていましたが、後方の数席は事務局の場所のようで、実質用意されていた席は15席弱といった所です。それに対して、個人株主と思われる方が2、3人、その他関係者と思われる方が2,3人と総じて10人にも満たない会となりました。品川の駅前のTKP会議室という比較的アクセスのよい所ではありますが、今年からお土産がなくなったこととコロナの影響を考慮しても、いやー少ないなと思いました。かつで同会場でエイジアという会社が当時東証マザーズだった頃、お土産に高級オリーブオイルを配布していた時にも個人投資家は2,3人ということがありましたがそのデジャブのようでした(エイジアは今では100人くらい集まる大きな総会になりました)。

 総会が始まるまではスライドに子供たちが体育指導を受けている元気はつらつな写真のスライドショーが流れています。残念ながら総会後のビデオ上映会はコロナの影響もあり中止となってしまいました。まぁオーディエンス少なすぎますので仕方ありませんね(笑)。

2.会社概要

 順番が逆転してしまいましたが、幼児活動研究会という会社。名前がかなり特徴があるわけですが、簡単にどんなビジネスをされているか図解をしてみましたのでご紹介します。

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 主に幼稚園や保育園、こども園などに対して、体育指導の受託を受けて現地で体育の授業を行ったり、保育時間の後にその施設内で体操教室のようなサービスを提供しています。また、幼稚園や保育園では子供へのきめ細かい対応をされているスタッフが経営には疎いというケースもあり、園運営のコンサルサービスを手掛けています。
 同社の特徴は体育指導を通して、幼少期の人格形成など人間力を高める教育を意識して取り組まれている点にあり、このために人材教育は特に力を入れていますし、人間力を社員自身が高めるために社長の強い理念が社内に共有されています。
 足元ではこの幼稚園や保育園そのものがコロナの影響によって保育を停止していた期間が続き、同社にも相応の影響を与えています。実際に4-5月の売上規模のスライドが投影されていましたが、驚愕の水準でした(具体的なことはセンシティブかと思いますのでここへの記載は割愛します)。
 しかしながら、6月以降営業再開に当たり、社員一同がこの期間の空白を取り戻すべく鋭意取り組まれているようですので、業績面の一時的な痛手は不可避ながらも子供たちへの価値提供を続けていって頂きたいと切に願うばかりです。

3.質疑応答

 質疑応答の様子のメモです。なお、繰り返しになりますが、当メモも含めてあくまで私の主観に基づき脚色しておりますので、その点ご了承下さい。
※ ★印は私が質問した内容です。

★Q 従業員数の減少の理由と人材獲得の課題対処について
 当社では、人材育成に理念をもって取り組まれており、この人材が成長をけん引してきたものと認識している。この期間、長い成長に沿って、従業員数も右肩上がりに増加してきたかと思う。しかしながら、今期末においては従業員数が10人減少とこれまでの増加基調が途絶え減少に転じている。今後の領域拡大に向けて人材力は大変重要なものであると認識してるが、減少に転じた理由はどのようなものか。また、人材獲得、育成に向けて課題があるのであれば教えて頂きたい。
A
19年度の新卒採用61人(男性42、女性19)、中途採用2人(女性2)であった。一方、期中の退職は74人(男性59、女性15)であった。この背景には、教育関連の仕事をしている中で、より人間力を高めるために評価基準、採用基準を改めたことに対して十分な理解が得られない部分があった事も事実であり、減少傾向となっている。当然のことながら従来のように体育指導という指導力は測定はしているものの、48年この業界にいるプロとして痛切に感じているのは、指導力も去ることながら、その人それぞれの人間力がとても大事であるということ。今後の育成として指導力という側面は補完しつつもまずは人間力を更に深めるところに注力していきたい。(社長)
■考察
採用基準や評価基準を変えることで従業員数が減っているというのは少し気掛かりです。経営と現場で温度感が一体になっていない可能性もあります。経営、とりわけ社長はカリスマ力でもって、人間力を高める育成へ確固たる自信がありますが、それはうまく社内全体に機能していけるようにあって欲しいですね。平均雇用年数も10年超と安定した在職環境があるものと思いますから、今後の推移を注視したいと思います。何分、労働集約型のビジネスですから、リソースが増えない事には成長が損なわれることにもなります。もちろん、量さえ増えればよいというわけではなく、指摘のあったように質を高めていくことこそが優位性ですから、バランスが大事になるわけですからね。

★Q 正課、課外の中長期的な目標感について
 これまで全国各地に支部を出され全国のエリアカバレッジも一定程度網羅してきたなと感じる一方で各地の状況を見るとまだまだ参入余地があるように思い期待をしている。決算説明資料等でも正課や課外の実施会場数や会員数が緩やかながら着実に増加してきているが、中長期的にどの程度の参入余地があり、どの程度の目標感をもって取り組まれているか。またその際に、他社から当社へシフトを促すためのアプローチはどのように取り組まれているのか。
A
 当社の顧客はまず私立をターゲットにしている(公立は予算的に対応が難しい)という前提で説明する。私立幼稚園は約8,000園、私立保育園が約12,000園となり概ね20,000園という全国の規模数である。一方で当社利用の園は1,200園程度ということで、全国のシェア率は概ね5-6%程度というのが現状である。中長期的な目標ということで大きな目標という数は掲げていないが、シェアを10%とすることを目標感としてまず掲げて取り組んでいる。5-10年後の目標の数がないわけではないが、世の中の変化も激しい中にあって、10年後の目標数を掲げることが必ずしも良い事とも考えておらず1年1年をしっかりと積み上げていくことに意識をもって取り組んでいくこと、その結果としてシェア10%を取れるようになることが大切だと認識している。
 また、当社の優位性という部分では、園の経営に関してコンサルが出来ることによるリレーションの強化という部分が挙げられる。昨今の少子化により園の経営は益々大変になってきており、特に現場の理事長先生などは教育のプロであっても経営は苦手という方も多い。そういう立場の方に寄り添い、提言できる機会があることにより、体育指導のコンテンツ提供の機会にも恵まれてくるというわけである。加えて、このコロナ禍にあっては、多くの同業者も廃業に追い込まれることになっていってしまう事も想定され、顧客側から当社の上場会社としての安心力に期待の声を頂くことも多く、その点からも安心してご選択頂ける機会になるものと考えている。
■考察
シェア率を10%にするということは、概ね現状の2倍程度には目標感を持っているということですね。但し、この数を追うということではなく、1年ずつ、着実に積み上げていくという姿勢に好感が持てます。そして、大風呂敷を広げて、中期目標と掲げるのは様々な変化がある中で適切でないというのもその通りだと思います。ざっくりとしたイメージが共有出来て大変良かったです。また優位性の部分はコンサル力がその根源であるという事であればコンサルの収益がもう少し伸びていって欲しい所なんですよね。確かに説明のあった内容はとてもしっくりくるのですが、それが数字になってみえてくるともう少し安心してその優位性を認識できますからね。

Q コロナ禍による営業自粛期間中の従業員の過ごされ方について
 コロナ禍において、営業自粛を迫られる中で、生徒さん、保護者さんがどうあったか。また、それに対してコスモの先生方はどのように対応してきたか、何かエピソードがあれば聞かせて欲しい。
A
保護者の方にとってもこの自粛は大変な苦労があったものと思う。また、保育園、幼稚園においてもこれまで経験したことのない前代未聞の事態に戸惑いがあり自宅待機等の対応を余儀なくされていた。2か月の教育の空白というものはとても大きな影響があるもので、再開後にこの穴を埋めるべく準備を進めていた。園によっては映像を使って配信し、コスモの先生が元気な姿で呼びかける、簡単な体操を一緒にやろうというコンテンツを配信し、大変喜ばれた。応援メッセージとして社員が語りかけるコンテンツも大変好評だった。家庭での運動の機会をリモートでも提供できたことは新たなチャレンジであったが、成果となり手応えがあった。1年でやってきているコンテンツを10か月で取り組めるよう、どう指導すればよいか今現場は大変燃えている。
■考察
こういう危機的な中でも生徒に寄り添う姿勢は素晴らしいですね。コンテンツ作りなど慣れない中で様々な対応をされた社員の方には感謝です。今後の巻き返しのため、収益は一時的に傷つくと思いますが、ここで得た定性的な価値をより高めていって頂きたいなと思います。

★Q 体育指導から幼児教育への幅出しの拡大戦略方針について
 体育指導から人間力を高めるための幼児教育へ広げた領域にチャレンジされようと標榜されているが、どのようなことを考えられているのか。具体的に幼児教育においては、発達度合いに応じたコンテンツ提供や個性にフィットしたメニューなどより多様化されてきているように感じている。例えば療育分野は幼児教育の中でもより付加価値を出しやすいものでもあるが、このような多様性に基づいた対応をされていくことまでを展望されているのか、あるいはもっと違う拡大戦略を描かれているのか。
A
幼児教育としての幅を広げるとはいえ、特段特別な事をしようとは考えていない。人間の基本である挨拶をする、親孝行をするという人間力を高めることと、体育を皮切りにしたその生徒それぞれのポテンシャルを十分引き出せるような働きかけを行っていく事だと認識している。
■考察
敢えて、療育とか最近新規事業者も多い所に言及したのですが、そこはスルーで当たり前のことを当たり前にやるということで、質実剛健ぶりが良いなと思いました。挨拶をしっかりできる事とか、そういう基本的なことをちゃんとやるということで、この辺りのスタンスってステップ(東1/9795)に通ずるところがありますね。

★Q 自己株買いの意図について
 同社ではこれまで自己株買いはあまりされてこなかったと記憶しているが、前期には2度に渡り実施された。株主還元の意図という事だと理解しているが、従来の方針から何か資本政策などで変化したものがあるのか。
A
あくまで株主還元が主であり、当社では、還元を30%を目標としてやっている中で、配当にプラスして自己株買いを実施したというもの。
■考察
この答弁は杓子定規な回答で質問の意図は不発に終わりました。MAへの活用や光通信などの大株主の意向等も含めて従来のスタンスから何か変化があったのかなという意図で質問をしたのですが・・・。株主還元の意図ということは理解しているよと伝えた上で質問したのですが、還元だよという回答でなんかイマイチでした。私の質問の仕方がよろしくなかったですね。反省です。

4.さいごに

 社長の議事運営はソツがないのですが、ちょっと距離感を感じるものでもありました。カリスマで長年業界にいるプロとして、持論をもっと主張され、我々株主にも共感や子供教育への展望の可能性を示して頂けるものと勝手に期待していたのですが、その点ではやや消化不良な内容でした。株主総会後のビデオ上映会とやらで本領発揮ということだったのかもしれませんが、今年は中止となってしまい、この点がもっとも残念でした。もう少し社長の生の声とか、展望の話をお伺いしたかったです。

 会議室の前の庭園に綺麗な景色があり、思わずスマホで写真を撮りました。新緑が綺麗ですね。

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