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ステップ(東1/9795) 業績予想修正~その1~

 東証1部上場のステップ社より業績予想修正が開示されています。当記事のタイトルに「その1」と付けましたが、通期予想は未定とされており、改めて修正が下期期間に出る事を想定しています。この記事では、当該業績予想修正の内容について簡単に確認をしておきたいと思います。内容があまりに自分の想定と違っており今でも頭の中が若干パニックです(笑)。

■上期修正(開示文書から抜粋)

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■通期修正(開示文書から抜粋)

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 上期は売上▲3.5%、営業利益▲10.9%の下方修正となっています。同社がこのような業績予想を下方修正するのは初めてのこと※かと思います。圧倒的な安定感のある会社ではありますが、新型コロナの影響は不可避という事になります。なお、新型コロナの影響収束時期が見極められないことから、当然の事ながら現時点で通期予想は未定となっています。
 ※2006年に一度軽微な上方修正の実績があります。

 新型コロナの影響による業績面の懸念は3月に小中学校の臨時休校の方針が示されたことを受けて、3月の休講が決定され、当月の授業料を9割返金する対応を発表しておりました。

  当該開示を受け、私は以下の記事をポストしておりました。端的にいうと、1ヶ月の休講による影響は相応な業績低下を招くだろうというものでした。

 記事の中で数値をこねくり回し(というほど精緻にやってませんが)、単月休講で9億程度の売上減の要素となり、固定費が多い中でほぼ営業利益以下に直撃するという感触をもっておりました。
 しかし、前述の通り、3月の休講による下押しは額面でみると計画比で売上▲204百万円となっています。返金した2.8億を割り戻すと、新型コロナなかりせば売上は60億ちょうど位だったはずなので、ざっくり3億程度の影響だったという事になります。
 前述の9億は1ヶ月分の授業料の9割返金を前提としていたため、日割りで計算等をしていたとしてもこの下方修正額は自分の想定よりだいぶ小さいものです。上期は3月分だけの影響で概ね9億円程度というのがもう脳裏に焼き付いて下方修正を待っていたので、開示を開いた瞬間から、今に至るまで頭が大混乱なのです。と同時に、上記の見立てを記事にポストしてフェーク記事を垂れ流したことが恥ずかしいなと(涙)。これをステップ社の内部の方がお読みになっているとして、どれだけいい加減な事を書いてるんだと嘲笑されていたに違いありません(笑)。もう株主総会へのこのこ出掛けていく事も憚られます(絶対に足を運ぶと思いますけど(笑))。
 で、なんでこんな自分の想定とずれたのかは、これを書いている今もよくわかりません。ただ、既に上期の決算月である3月は締まっているのでほぼこれで着地するのでしょう。これが事実なのです。

 繰り返しになりますが2月の見立てでは以下のようにみていました。
過去3年の上下実績を上部に羅列し、中段のシミュレーションが仮定の推計です。1Qの状況を踏まえて、上期着地は6,057百万円程度での着地となっていたことを想定し、この月平均は1,010百万円となります。もちろん冬期講習や受験直前期と3月が同じであるわけはないので、3月の通常売上はこれよりは下だと思いますがそれでも3月の9割返金を考慮すると9億程度は影響があるとみてよさそうと思っていました。
 期初時点の会社開示の上期業績予想についても売上は5,927百万円でこれを単純月平均すると988百万円となります。1Qで生徒数などの指標が絶好調でしたから、上振れしていたことからも上記見立てはそこまで外すとは思っておりませんでした。

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 逆に1Qの生徒数等の好調持続前提で、なかりせば60億の売上があったとなり、そこからの下方幅とみると約3億となります。これが9割返金の幅とすると3月の元々の売上は3.3億程度だったということになります。
 今回の上期修正結果から2Qの3ヶ月の売上は25.7億ですから3月が3.3億とすると1-2月は22.4億となり、1ヶ月平均は11.2憶となります。さすがにこれだけ差がつくとも思えないんですよね。
 3月の返金はざっくり月謝の半分だとすると3月の売上は6.6億あったものと考えると、1-2月は各9.6億となります。中3生が抜ける事を考えるとまぁこんなもんなのかもしれませんが、この減額の期間や規模感がまるで読み切れてなかったのは、別に長期投資の私にとっては単に恥ずかしいだけなのですが、改めて自分の判断を過信してはだめだなと思った次第です。

 とりあえず、ここまでのPLデータをグラフにしたものも貼付しておきます。上段のグラフは売上と粗利率のグラフですが、粗利率は今回の修正では不明のため、粗利率はプロット出来ていません。売上は2Q単でみると17/9期と同水準となり3年前の規模となります。そして驚くのは、こういった影響があったわけですが、2Q累計期間でみるとごく僅かではありますが増収なんですよね。

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 こちらは営業利益のグラフです。こちらも2Q累計期間でみると増益となっています。但し、前期は横浜戦略に基づく特別賞与を含むコスト支出を一気に増やした期であり、2Q単でみるとそこからみて減益となっているため、理由が理由なだけに仕方ないですが、相応に影響は受けたということになります。前述の通り、その規模感がまるで自分の感覚と違っていたわけですが。

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 さて今後ですが、4月に入り、新学期に入りました。ステップでは社会情勢が自粛モード継続ということもあり、学校すら新学期が始められない中で、ライブ授業(校舎での対面授業)の実施が出来ない環境の中、本格的な映像配信を進めています。Zoomを使ったホームルームまでやられているようです。しかしながら、当然アクセスが殺到し、サーバーダウンが断続的に発生しており苦しい船出でもあります。ここ数日はようやく落ち着きましたかね。というわけで、とりあえずなんとか新学期がスタートする形は整ったように思えます。
 しかし、ステップの魅力は対面授業。そこにブランドがありそれが商品であるという誇りをもっておられます。当然のことながら、映像配信での生徒へのフォローは忸怩たる思いで運営されている事が伺えるわけであり、それが授業料は通常時の6-8割引きという案内にもみて取れます。そしてこのライブ授業の休講が続く間は同様の措置を取るそうです。まじっすか。。。そこまでやりますかとは思います。

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 競合の湘南ゼミナールや臨海セミナーは特別値引は特にリリースされていません(そもそもいつも〇〇キャンペーンやってますけど…)。ステップのようにブランド力があり優位なポジションがある中で、特別値引をやるということはどういうことなのかと思ったのですが、こういう対応が出来るからこそなのだろうとも思いました。

 今の情勢からみると現状の緊急事態宣言は延長される情勢です(それ意味あるんだっけ?というのは私見ですが)。となると即座に通常モードでライブ授業が出来る体制への回帰は絶望的と思われます。加えて、サーバ増強などの緊急対策費用など、計画外のコストも支出しているものと思われます。このように考えると3Q期間にも相応の業績影響を与えることになろうかと思います。(もう恥さらしになるのでシミュレーションはしないでおきます(笑))
 私のような投資家はついつい長期的な投資を心がけていても、目先の業績影響に懸念はないか、それは一時的かなどと拙速な皮算用をしがちです。そういった業績期待やいち早い回復が株価への期待値も高めるし、自身の投資の勝ち負けにも作用するから当然なのですが(勝ち負けという表現はそもそも好まないのですが)。
 ただ、会社は生徒のため、全力で対応にあたっています。日々更新される配信コンテンツ数の充実ぶりをみていれば現場の努力を窺い知る事が出来ます。
 そういう姿勢を応援しようという立場をもって投資をしているとしたら、見るべき箇所も変わりますし、距離感も適度なものというのがあるはずです。今回の一連の新型コロナの問題の中で、私は同社IRへも敢えて照会をかけていません。野暮な事を聞きたくもないですし、何より目先のことなど会社も分からない中で、目の前の生徒の対応に当たっています。何を聞いても今は愚問になってしまう自信があります(質問力の低い私自身の問題ではありますが)。

 ステップは県下で高いブランドを構築しており、今春の合格実績も素晴らしい成果を出されています。従来はこの季節に開示されていた満席情報も概ね昨対同時期でも大きな変化はないようにみえます。

■今年4/22(あ-か行)

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■昨年4/18(あ-か行)

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■今年4/22(さーな行)

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■昨年4/18(さーな行)

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■今年4/22(はーら行)

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■昨年4/18(はーや行)

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 学校が休業になっている中で、生徒本人はもちろん、保護者も受験を控えている中にあって、自分だけが乗り遅れることへの大きな警戒感があるとの声もあるようです。ステップでは休会も尊重すると受け付けていますが、実際には休会者は少ないものと推測しています(映像配信がこれだけの値段で受講できるならという思考も働くでしょう)。特に中3生の保護者や生徒さんは不安でいっぱいだと思います。こういった時に、公立志向で堅実に頑張りたいという生徒・保護者に対して寄り添っていってもらいたいと思いますし、そういう取り組みを生徒のためと対応されている会社に対して、業績の下方がけしからんとか、想定よりよかったと株の売買の検討のみに絞った議論というのは違和感を感じるため、少なくても自分はそうではなく、原点の通り、会社に寄り添い応援出来るようにありたいなと改めて反省しました。
 今のステップのポジションからみれば、特別値引をする必要もないようにも思いますし、映像配信の課金体系ももう少しきちんと対価をもらってもいいと個人的には思います。ただ、長らく授業料も値上げすらしてこなかったこれまでの経緯、会社としての継続性に危機があるわけでもないなど様々な観点で顧客のための堅実な経営という事は尊重しなければなりません。それが共有できないのなら、テレワーク関連銘柄など時代を先取りしていける銘柄へ夢を託す方がよいでしょう。私は私でこういう経営を尊重して、色々な意味で覚悟を決めておかないといけないなと感じました。

 株主に対しては配当は据え置きをされています。通期も未定からの当初比での相応の下方修正が出ると思いますが、この事象を考慮すると配当は据え置かれるのではないかと期待していますし、この構造変化でステップの優位性が崩れるとは考えられません。むしろ今日々増強している映像授業をより魅力的なものにして、ライブ授業を基本としつつ、映像コンテンツともコラボした可能性を模索するいい機会かもしれません。不意にBCPを試されることになりましたが、初動も含めてうまく対処出来ていると思いますし、せっかく作った資産でもありますから、あくまでステップの情熱ライブを原点として主軸としながらも、新たな可能性を広げていって頂きたいなと思います。生徒第一、次にこの中で頑張ってくださっている講師陣の皆様へ報いて頂き、株主は劣後でいいと思います(無配とかはやめてもらいたいですけど(笑))。株主はこういった堅実な経営と安定的な還元を期待しているのが主流と思いますから、目の前の顧客と従業員に向けてまずは精一杯頑張って頂きたいなと考えています。

 頑張れ!ステップ。

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