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東鉄工業(東1/1835) 株主総会レポート 2020/6/25

 東証1部上場の東鉄工業の株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。なお、当レポートは私の心証に基づき脚色されており、記載している内容について意図せず誤認している可能性もありますのでご容赦頂ければと思います。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません。株主総会レポートとして何かの参考といなり、同社の理解に繋がれば幸いです。もし、お気づきの点などあればぜひツイッターブログにてコメント頂ければ幸いです(私自身の勉強にもなりますので)。

1.過去の同社関連記事

 過去の同社関連記事をご紹介しておきます。直近の決算を踏まえて決算精査記事をUPしています。

 またこの記事にもあります通り、同社の概要を以下の図の通り纏めています。比較的シンプルな事業モデルとなります。

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2.株主総会の概況

  まずは当日のタイムテーブルです。手元の時計での測定です。

  10:00 開会 (柳下社長)
  10:03 議決権行使数の確認(事務局)
  10:04 事業報告(柳下社長PPTプレゼン)
  10:12 議案上程(柳下社長)
  10:15 質疑応答
  10:28 議案決議
  10:32 閉会
  10:33 新任役員紹介

 議決権の行使数の状況は以下の通りです。
 ・1692人/3,839人
 ・312,232個/344,052個

 冒頭に新型コロナウィルスの対策のため円滑な議事運営を図る旨の案内がございました。監査報告などの朗読は割愛されました。
 事業報告は、新型コロナ影響、前期実績の中での主なトピックス、対処すべき課題の3点についてフォーカスし説明されました。いずれもPPTを使ってサクサク要点を絞り進みます。この辺りは、流石、元JR東日本副社長まで歴任された社長です。優秀さが染み出ている運営です。とはいえ、その話のネタは決算説明動画が配信されており、その内容に沿った内容です。

3.質疑応答

★Q QCDの改善が当社業績に与える影響について
 線路モニタリングシステム等の機械化による品質、コストの改善が進み、ホームドアがスマート化される事で工期短縮などが今後益々進むものと思います。このようにQCDが改善していく中で、能率向上分の価格低減要請や工事ボリュームそのものの収束によりトップライン業績への影響など、改善が業績に逆風になるようなジレンマのようなことは生じてこないのでしょうか。また、こういった改善活動を当社業績にプラス作用出来るようにするための取り組みとしてどのような事を意識されていますか。
A
 当社はこれまでもスマート化への対応、技術革新を通しての生産性の向上に取り組んできている。そしてこの進め方については、JR東日本と密接に連携を取り、またそこで改善されている効果については、適正に評価を頂きながら進めている。従って指摘のあるようなジレンマということはない。(須賀取締役)
 スマートホーム、スマートメンテナンスということで、工事の総量そのものが削減されてくることは想定している。ただ、それにより工期が短く済むことで消化できる仕事量も増えるし、品質が向上すること、それを当社が技術革新の下で支えていくことでJR東日本と共通の価値を創り出していくことが出来るということになる。鉄道の安心安全運行を支えていくという使命感をJR東日本と一致団結して進めていくこと、それをきちんと評価頂く事によりジレンマのようなことにはあたらないと考えている。(柳下社長)
■考察
 JR東日本と足並みをそろえて、きちんと当社改善分を評価頂ける関係にあるというのは良い事だと思いました。役員も社長を始め、多くのJR東OBも多いため、密接な関係があるのだと思います。敢えてジレンマという少し意地悪な表現をしたのですが、的確なご答弁を頂けました。

★Q 新たな生活様式が与える中長期的な当社事業環境への影響について
 足元の影響については、ご説明があった通り理解しているが、鉄道利用そのものの動向を含めて生活様式が変わることにより、当社事業環境において、安全の維持など変わらずにあり続けることと、中長期的に変わっていかねばならないことをどのように認識され対処されていきますか。
A
 中計の最終年度を迎え、次期中計を策定するタイミングでコロナがちょうど感染拡大を見せ、計画が見定められないという状況である。一旦の収束をみて、最新の状況を踏まえて、遠からず計画をお示しする事になろうかと考えている。4-5月の状況をみていても、当社は安全のための維持メンテナンスの比重が高い事もあり、仕事が激減するというような状況は観測していない。但し、中長期的にはどうなっていくのかは未知数の部分が大きい。しかしながら、過去から踏襲してきた3D戦略の骨子は変わることなく、我々の強みである鉄道関連については、堅調に伸ばしていく、それに加えて、新たな領域をどこに見定め、進出拡大を図るのかについては、議論を煮詰めて参りたい。(下村取締役)
■考察
 そろそろガイダンスが出てきそうな様相ですね。第二波がきそうですが、どうでしょうかね。それはそうと、仕事が激減することはないという状況のようで、確かに維持メンテナンスは鉄道運行には欠かせないため減らないですからね。但し、緊急事態でもあるわけで、声の大きいJRからのプレッシャーは相応にはあるのだと思います。そして長い目線となった時に、そもそも鉄道の在り方がどこまで変わってくるのかというのもありますので、そのあたりの動向も踏まえて当社の価値が続くものなのかどうか慎重に見定めていきたいと思います。

★Q 株主還元策について
 当社の還元に関する基本方針は安定的な配当を継続とありますが、現中計では配当性向30%とされています。新型コロナウィルスの影響で一時的な影響は不可避となる中で配当性向では安定的な配当継続に当たらなくなってしまう可能性があるわけですが、どのようなスタンスで考えられていますか。また今後の安定的配当をコミットするためDOE目標を設定されたらどうか。
A
 過去は低位で安定していたものを、ここ数年で増配しているという実感を伴いながら安定的に拠出する事を重視してきた。利益の3割を還元するということでコーポレートガバナンスの対応の点からも明記して対応してきた。今後は利益がどの程度になるのかということを遠からず発表するが、その水準感を見て、率と額をどう維持していくのかということを慎重に考えて検討して参りたい。DOEについては、配当性向とROEの乗算になり、この2つをよくみながら適切に考えていくということを示していきたい。(下村取締役)
■考察
 まぁ普通に考えれば今期は大幅な減配になると覚悟はしています(笑)。ただ、還元の姿勢や考え方についても伺いたく質問しました。下村さんは前問の答弁も含めてなんか雰囲気が良い感じだなと思いました(私、何様なんだって感じですが・・・)。

4.さいごに

 お土産も今年は見合わせられましたが、参加者は多かったです。発表では41人でした。背広をお召しになった方がほぼ全員で私はかなり浮いていました(笑)。恐らく、OBとか関係会社の方、またその奥様と思われる方が多かったです。質問も私が最初に3問用意してきたが、他の方もいらっしゃるのでまずは1問と質問して後、3問同時にどうぞと議長が慮ってくれましたが、そもそも質問する人、いないんですね(笑)。本当は富山のアイドマMCの総会に行きたかったのですが、今年は近場で保有比率も高くなっている東鉄工業さんにお邪魔しましたが、決算説明会の時の様子とはちょっと違い、ぴりっとした印象を受けました。なにせ株主総会ですし、それなりに大きな会社ですからね。

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