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東鉄工業(東1/1835) 2020/3 Q3決算精査

 東証1部(1835)上場の東鉄工業がQ3決算を開示しています。前期Q1に低採算性の案件が発生し、上期の増益率が大きく推移していましたが、下期については増益率は縮小しています。しかしながら進捗率や受注状況、繰越高の状況を見ると順調に事業が進捗しているように思います。当記事では主に決算の内容について簡単に内容を確認していきたいと思います。なお、PPT資料は未作成でありエクセルのみとなります。

① PLの状況について

売上高と粗利の状況です。期末に向けた検収が多いことからQ4偏重ではありますが、Q3までも順調な推移が続いています。QoQで微減収となっておりますが、進行基準案件の影響などもありますし、売上の源泉となる繰越高も堅調な水準を維持しているため特段のリスクはないかと思います。あるとしたら、進捗遅れによるもので、これは後々のコストの上昇に繋がります。現時点でIR照会するまでではないだろうと認識しています。粗利率についてもよい水準を確保出来ているようで何よりです。

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販管費の状況です。販管費率は5.4%となっており、ここ数年ではやや高い水準です。Q3ではだいたい4%台で推移していましたからね。売上がやや抑制されているせいかもしれませんが、YoYでみると販管費の額自体が上昇しています。従業員への処遇改善等の影響もあるかもしれませんね。

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営業利益の状況です。営業利益率は売上が抑制気味だったとはいえ、主に粗利の確保により11.1%を確保できています。前期Q3が11.0%でしたから概ね同水準ということになります。特に大きな変化はありませんが、順調という事かと思います。特に論点はありません。

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② 受注の状況

建設業ということになっており、一応受注高と工事繰越高がKPIになっていますから確認します。

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Q1-Q2でやや低調かなと思った受注高ですが、当時のIR照会の際に聞いていた通り、タイミングの問題でありQ3で回復しています。内訳として建築事業の受注は減っていますが、こちらはマンション等民間工事の有無などで変わるものであり、また同社の強みが活きるメイン部分ではないため、そこまで問題はないだろうと思います。市況は人材不足を背景に需要旺盛と理解しており、その中での選別的な要素もあろうかと思います。

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こちらは繰越高で、今後の売上の源泉となるものです。引き続き堅調な水準を維持できています。但し、繰越高が消化されない、つまり進捗遅れという要素がないわけではないため、この辺りには気を配っておきたいです。まぁ気を配ったところで明るみになる頃には手遅れではありますけどね(笑)。

③ さいごに

 株価推移は結構なヨコヨコ水準となっていますね。今期Q4に必要な業績は逆算すると求まりますね。売上で488.2億、営業利益で47.5億となります。営業利益率は9.7%と想定されます。
 前期のQ4実績は売上で524.4億、営業利益で54.1億となり、その利益率は10.3%です。7%減収12%減益となりますね。まぁ工事進捗の兼ね合いで期末に検収できる部分と進行基準で計上できるものとの関係もあり、このような水準に留まる可能性もあろうかと思いますが、横ばい圏となったとして通期着地は、売上で1406億、営業利益で132.5億程度となります。四季報予想が売上1370億、営業利益130.0億となっており、まぁこの辺りに着地するというのが感覚的に正しい気がします。
 というわけであまり変化がない、つまりサプライズがないと株価形成もこういうことになるという良い例なのかもしれません。そもそも時価総額も1000億を超えているため、いきなり高騰とかあまり考えられませんね。
 一方で安定業績と比較的配当にも恵まれているため(といっても2%台半ばというと平凡かもしれませんが)、引き続き応援したいと思っています。

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ご参考までにQ2より前の分析記事を当方のブログ記事より転載しておきます。Q2、Q1の時にはそれぞれIR照会をかけており、簡単にメモも残しています。


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