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トーカイ(東1/9729) 2020/3 Q3決算精査

 東証1部(9729)上場のトーカイがQ3決算を開示しています。健康生活サービスと調剤事業が共に好調ということで増収増益の決算となっています。特に調剤薬局については上期の強めの数値の貯金もあり全体として累計でも2桁成長となっています。しかしながら、消費増税の影響もあってか、Q3単では減益となっています。今後薬価改定の影響もあってQ4では更に減益幅も広がると思いますが、それにしても全社の業績予想比でみると比較的楽観できる状況ではないでしょうか。というわけで、あまり論点がある決算ではないのですが、簡単に中身を見ていきたいと思います。なお、PPT資料は未作成でありエクセルのみとなります。

① PLの状況

 まず、売上と粗利の状況についてです。Q3でも増収率はQ1から維持しており、むしろ若干ではありますが増収規模も大きくなっています。Q2で四半期としては初めて300億台に乗せましたが、QoQではごく僅かな減収ではありますが、300億台を維持しています。粗利率も前期Q3と同水準の24.2%を維持しており好調な状況が続いているものと思います。

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 セグメントの状況もみておきます。以下は過去のセグメント別の四半期毎の推移です(累計ではなく3か月間毎の推移です)。健康生活サービスについては、Q3で増収率は若干落ちていますがそれでも増収基調を維持しています。セグメント利益率も前期に比べると0.6%と若干収益性が改善しています。調剤薬局については、増収は維持していますが、Q3だけでみると減益となっています。セグメント利益率が5.8%と前期から1.5%のマイナスとなっています。増税影響もあるのかなと思っていたのですが、売上は増収基調を維持していますから、違う要素もあるのかもしれませんね。この辺りは、もう少し短信に言及が欲しいところです。上期が4割近い増益だったこともあり、累計で好調でした、としか表現されていませんからね。環境サービスは短信にも記載がありますが前期の反動もあったようですが、横ばい圏となっています。

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 次に販管費の状況です。今期は56億弱の販管費支出で安定しています。販管費率も前期と同様に18%台で安定しています。特に変化はありません。

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 営業利益の状況です。前期比でみると粗利が増加、販管費も増加ということで、Q3だけでみると1.4%と僅かな増益となっています。調剤では増税影響もあっただろう中でも全体でこの結果はよいのではないでしょうか。

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② 今期の進捗状況の確認

 Q4を皮算用しておきます。特に季節要因があるわけではないですので、Q4もQ3までの推移に沿った売上になるものと思われます。ざっくり300億とみると、通期での着地は1,210億程度となり、1,206億のガイダンスにほぼ肉薄した所になるのではないでしょうか。一方で営業利益については、増税の影響などもあり5.5%-6.0%位のレンジではないでしょうか。これを額にすると16.5-18.0億のレンジとなります。通期にすると73.8-75.3億となり、ガイダンスは75.0億ですから、やはり肉薄したところになると思います。先ほどの営業利益率のレンジ想定を5.5%からとしていますが、実際にはガイダンスに合わせにいくために余程の外部環境の変化などがなければ販管費などをコントロールして着地を合わせにいくことも可能な範疇かと思います。四季報予想も会社予想と合わせてありますし、さほど期待が乗るような会社でもないと思いますので、まったりいくのではないでしょうか。

③ 今後の展望

 調剤薬局や介護向けのレンタル、病院施設管理などを手掛けており、いずれも高齢化社会に向けたポジションとして安定的な業績を期待しています。加えて、ウェアラブルモニタリングシステムなど遠隔監視のツールなども展開しており、このあたりをより広めて欲しいなと思っているのですが、なかなか新規性のあるお話が出てこないのもちょっと残念に思っています。調剤も遠隔処方などが最近では取り上げられているものの、様々な課題がある中でブレークスルー出来るように頑張って欲しいなと思いますし、介護についても遠隔モニタリングは医療や介護の現場負担を軽減させるためのソリューションをぜひ率先して取り組んで欲しいのです。ただ、新規事業を所掌していた役員が退社したりと体制面でも不安もあり、なかなか買い戻しという判断もできず、低位で応援しているに留まっています。株価は自己株買い期間中ということもあり、買い支えられていますが、これが終わるとどうなってしまうでしょうかね、今から怖いです(笑)

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