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海外在住の日本人による親の死にまつわるアレコレまとめ

待ったなし、急に訪れる親の死

12月のクリスマスまであと数日というある日の明け方4時頃、母からFace Time(Apple社のTV電話サービス、両親との連絡手段だった)が入った。

嫌な予感は的中し、父が亡くなったとの知らせだった。詳細は割愛するが、進行性の病を患っていたのでなんとなくの心の覚悟はしていたがコロナに感染して2日目の急死だった(診断書は患っていた病での死去になっていたけども)。

1:まずは帰国のための航空券を取る

母の一報を聞いて電話を切った後にすぐしたのは、帰国のための便の確保。「Googleフライト」で安価・搭乗時間が短時間のフライトを検索し、往復のチケットを購入。料金はクリスマス・イブに日本到着の便&数日前ということで往復で1人30万円ほどのチケットが最安値だった。

ちなみに某北欧の航空会社のチケットだったのだけど、高額にもかかわらず預け荷物は0、乗り継ぎのための短距離飛行(といっても一応は国際線になる)の飲食物も有料という厳しすぎるとしか言いようのないものであった… 動揺していたため細部まで確認できず当日慌てて追加課金することになったのでこの辺りも予約時に確認されることをお勧めする。

2:各方面への連絡・調整

私は仕事をしているため、朝を待って各方面に事情を説明し、帰国日を伝え、それまでは休むことを伝えた。また夫とも話して、夫の勤務を冬休みまでと、年明けの数日の1週間ほどを在宅勤務に切り替えてもらうことに。

最終的に私は17日間も家を明けることになったのだけど、たまたま子供の冬休みがかかっていたので途中で隣国の義実家に1週間ほど滞在してもらったりと夫の負担もかなり軽減できてラッキーだったなと思う。もし長期休みがかからない時期だったらベビーシッターに来てもらう等でやりくりすることを想定しないといけないところであった(私たちはスイスには縁者がおらず一家で外国人として暮らしているため)。

話は脱線するが、私は結婚する時の相手の条件に「正社員として勤務していて(稼ぎが安定している)、家事は一通りできる人」というのを決めていたのだけど子供を持ってみてこの条件は本当に最高だったなと思う。私も夫も家事・料理・育児満遍なくできるので有事の際も揉めることなくお互いフォローし合えるのは大変良い。

3:大使館に在留証明書を取りに行く(要予約)

後で言及するが、これはとても大切なので帰国までタイトなスケジュールだと思うが絶対にやったほうが良い。昨今はフラッと行っても受け付けてもらえないので、大使館の方には申し訳ないが予定をねじ込んで絶対に帰国前に発行してもらおう。予約時に行った当日に発行してもらう約束を取り付けることも忘れずに!

親の死後にまつわる事務事項、便利サイト紹介

こんなことを言うと後ろめたくはあるのだけど、なんとなく親の死が近い気がして関連ツイートをまとめて手元に置いておいたのがとても役に立ったのでこちらでシェアさせていただく(2022年末現在)。

亡くなってからどれくらいの期間に何をしなければいけないかまとめ

親の生命保険が把握できない方はこちら

圧倒的便利!「法定相続一覧図」を作りに行こう

海外在住者は基本的に全員住民票は除籍になっているはずなので、先ほど言及した「在留証明」が必要になる(「申出人(相続人の代表となって,手続を進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類」がそれに該当する)。

実際はどうだったかレポ

帰国前に上記サイトを読み込み、必要資料をプリントアウト等準備しておいたが、結局は色々とやらなくて良いこともあったのでそちらもシェアさせていただく(チート技といえばそれまでだけども…)。

火葬・葬儀

父はクリスチャンだったのでここは一般的な形とは違うかなと思う。母が通っていた教会の牧師先生に頼り、葬儀社を紹介していただき火葬場の手配&教会葬を全てお願いできた(死亡届・火葬許可証の取得・当日の葬儀は全て葬儀社がやってくれた)。

ただ、コロナ禍もあり(父もコロナ感染で亡くなったこともある)、母が社交が極端に苦手なこともあったので「葬儀」というより「密葬」に近いものであった。

火葬場には母と私、父の妹夫婦と牧師先生、葬儀社の方のみが集まってしめやかに行った。

葬儀は次の日、前述の人間と当日に集まってくださった10名ほどの20名以下の小規模の式だった。

伝え聞くところによると、特に宗教等でこだわりがない方はコープの葬祭が良いらしい(良心的だとか…伝聞なので根拠はないけども)。申し込みには葬祭を行う地域の生協に加入が必須という点だけは留意されたし。

お役所参り

先に紹介した「死後7日以内」に済ませるべき死亡届、火葬許可証の取得は葬儀社がやってくれたため割愛。

私が帰国してすぐに、母と共に役所へ行き各部署を回った。健康保険証等の返還(障害者手帳や介護保険の停止手続き等も)が目的だった。昨今のお役所はかなり親切なので、必要であろうもの(保険証や身分証明書等)を持って行ってその場で指示を仰ぐので問題なかった。

また「こちらはそのまま持っていても特に問題ありません」と言っていただいた書類も多かったことを追記しておく。まずは行くことが大切。

「葬祭費用補助」というのも役所で申請できるが、こちらは「喪主の名前が入った領収書」がないと後日になるため注意。

両親とも年金を受給しており、生前は父が会社員で母が専業主婦という形だったので、父の死後は「遺族年金」へ切り返しになるため、年金事務所で手続きが必要となる。

その際に必要なのが「戸籍全部事項証明書(故人の戸籍謄本)」「遺族の住民票(世帯主が変更になったとわかるもの)」

一つ気をつけなければいけないのは「戸籍全部事項証明書」は本籍地でないと取得できない(住んでいた役所で取れると聞いていたが実際に取りに行ったら断られた。。)こと。遠方に住んでいる方は郵送での取得になるだろう。

年末年始の休みは落とし穴だった

慌てていたので航空券を手配した時にすっかり頭から抜け落ちていたが、官公庁は12/29〜1/3は休みだったので、何日も無駄になってしまった(結果的に休めたからよかったけれども)。見落としがちなので気をつけていただきたい。

勤務していた会社への連絡・お香典返し

こちらも特殊な事情になるかもしれないが、父は会社を引退して3年目だった。いわゆる大企業で、上の方の役職だったのもあったのか、辞めた後も勤めていた会社の方や取引先とかなり交流があった。

そういう事情もあったため念のためと私が帰国した後に勤めていた会社に連絡したところ、オオゴトになってしまった。

会社経由で内部関係者への連絡とプレスリリースを出していただくことになり、弔電やお花が山のように届いて申し訳ないやらありがたいやら気持ちが忙しく・・・(父が生きていたらどんなに喜んだことだろう…)。

ちなみに、弔電へのお礼は葬儀が済み、松の内が明けてから「寒中見舞い」と言う形でいただいた方々へハガキを送るというので良いらしく(葬儀社の方にご指導いただいた)、こちらのサイトからそのように手配した。

親戚や特に親しくしていた方々からは別途お花やお香典をいただいたので、こちらはいわゆる「半返し」と言う形でオンラインで手配。

私が使ったところはこちら。 他にも良い会社があるかもしれないが、選んでいる暇もなかったため検索で上位に出てきたこちらで全て済ませた。

遺言信託サービスに加入してくれていた

一人娘(私)が海外に住んでいるということで、両親が生前「遺言信託」というものに加入していてくれたことがわかった(ちなみに両親はこちらのサービスを利用)。

お金はかかるけれども、実際にやらなくてはいけない山のような事務処理を一手に引き受けてくれるため大変便利でありがたいサービスであることを実感した。

遺言の内容は、両親のどちらかが死亡した場合、まずは遺産の全てが配偶者にわたるようになっているというものだった。個人的にこちらには異論はない(両親のお金は私のものではないので)。

私が帰国している間に、ということで実家まで4人の方が来てくださり遺言の開示をしていただいたので後の事務処理はこれから先方がやってくださる手筈になっている(現在進行形)。

ここでもやはり「在留証明書の原本」をお渡しする必要があったため、帰国前の大使館予約は必須であった。

おわりに

親の死の報告を受けてから自宅に帰ってくるまでの17日間つねに冷静にいることを心がけて、一度も泣かずに全て淡々とこなした(親や親戚は相当冷淡な娘だと思ったことだろう)。

本当だったら泣いて悲しんでぐずぐずになってやることもできないような状態になった方が良かったのかもしれない(周りの心情的に)。でもできなかった。

3年ほど帰国してないこともあって私の中で「父は一人で旅に出ていていつか帰ってくる」という設定にして乗り切った。

いろんな家庭の事情があるのでここでは語らないが、いいか悪いかは別として、この設定のおかげで冷静にこなすことができた。

次回半年以内にまた一時帰国して、今度は「成年後見人制度」の「任意後見人制度」というものを利用して母の後見人になることを検討している。追ってレポートしたいと思う。

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