「ふりだしに戻る」


初めて描いた絵、絵を描きはじめたきっかけ、描くことを好きになったきっかけなんて知らない。

気づいたら描いてて、気づいたら好きだった。


父が色を扱う仕事だったので、自分も色を扱うのが得意だという根拠も何もない自信があった。

学校の廊下の窓から風景画を描いていた時(多分授業か何かで)、友達に「○○色と○○色を混ぜたら何になる?」みたいなことを聞かれて「○○色だよ」と得意げに答えた。

『私はお父さんの遺伝子を継いでるからな!』と、自信満々だった。

大人になって父に混色の質問をしたとき、
「いっつもカラー見本使ってるから急に聞かれてもわからん」と言われた時のショックは学校の廊下の記憶とセットで強く覚えてる。

高校では授業中、半透明のペンケースにツムツムのキャラをひたすら模写してデコレーション、シャーペンで机に推しを1人、2人、3人と描き足していくのが楽しかった。

テスト前にはそれを消さないといけないんだけど、有難いことに先生や友達みんなそれを惜しんでくれて嬉しかった。 絵しりとりしたり、友達の誕生日には推しキャラ描いてプレゼントしあったり、楽しかった。


高校生の自分がその後、絵を描いた記憶はない。



大学は絵を捨てて英語関係に進んだ。 『同じものを指しているのに表現方法(呼び方)が違う』ってところで外国語は好きだったし、英会話のおかげで人より少し得意だったから、英語を身につければ仕事に困らないだろうし話せる自分かっこいいと思って進路を選んだ。

でもそんなモチベーションは4年も持たず、すっかり消えた。

憧れだったイギリスも1ヶ月の留学で大大大満足。 本っ当に素晴らしいところだったし、毎日ワクワクしてた。 ホストもいい人で、お別れの時はしゃっくりが止まらなくなるほどに号泣した。そして燃え尽きた。

結局、中途退学。


フリーターの私、ある日突然 絵を描いた。
再開したきっかけはこれまた覚えていない。本当に記憶力の無さに呆れる。

ipadを買い、成長記録として作ったアカウントに投稿して、同じ作品が好きで絵を描いている友達を作った。みんなの絵を見るのも、自分の絵を見せるのも楽しかった。

絵に関係する学校へ進まなかったことを心底心底心底後悔した。

けど後悔しても何も変わらないし始まらない。そこから今日まで独学で絵と向き合っている。


そして、『なんで絵を描いてるんだろう、自分』に戻る。

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