堕落というても、自信はない。

夜が深まる頃に、ホトトギスの鳴き声が聞こえる。
だいたい、夜更かしをするとき、これからのことを考えてしまう。自分は、どうやって生きるのだろうか、と。

兄弟は、社会人となり一人は海外へと行くらしい。少しずつ疎遠になり、今じゃお互いに何をやってるのか全く分からなくなっている。
それが、成長の証であると感じるとともに、強烈な焦燥感に駆られてしまう。

今の自分を俯瞰してみると、かなり体たらくに生きていて、そろそろツケが来てしまう頃なのに、一生懸命に就活をしない。

  「何か、うまい話はないものか、宝島の地図が最後の望み。」

このまま、大学を卒業すれば確実に実家に引き返し、部屋にこもるのだろう。
 「やばい、やばい、やばい、やばい」、その気持ちだけで動けなくなってしまう。

 私の親友は、私の就活に対する態度を改めるようにと、叱ってくれたのだが、そんな信頼における親友とも、既に連絡を絶ってしまっている。
 私はどうしようもない人間なのだ。

 坂口安吾の「堕落論」を読んではみたが、本当に私が堕落をすれば、底を打って上へと上がる自身もなければ、底に落ちる勇気というか感情が湧かないのだ。そういうことを書いている本ではないと思うが、一度堕落することで、私の望むべき欲求というのが明らかになるということを筆者は説いていたはずだ。

 頭の良い振りをしてみるが、やはり、私は馬鹿なのだ。
メメクラゲに刺されれば、焦って就活でもするのだろうか。

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