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タバコが違法になる日 5(完)

 結局冷凍もののJTは件の社長に譲ることになり、キャバクラの社長=子泣きジジイは、嬉しいことに即金で550万を払ってくれると言ってるから、ヒロは須佐美に連絡を入れた。
 かけずり回って用意した虎の子の250万をヒロが須佐美の目の前に置くと、『おう』とだけ言って須佐美は冷蔵庫から冷凍物のタバコを10箱渡しながら『早かったな』と薄笑いを浮かべた。

 その日のうちにキャバクラの2階にJTの冷凍物を運んだヒロは、社長から現金で550万を受け取った。そこでも社長は『なぁヒロユキ、もうちょっとマカらんか?』とお約束のように聞いてきたが、『それはルール違反じゃないですか?』とマジ顔のヒロに『冗談やがな、また頼むわ』と茶化す子泣きジジイだった。

 ヒロは一日で300万の利益を得た。そう思うとヒロはハンドルを握りながら自然に頬も緩み、内から湧き出してくる多幸感に包まれるのだった。

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 第二次世界大戦中、兵士の疲労回復と戦意の亢進のため、内服薬として また注射によって覚醒剤が使用された証言や記録が残る。それは我が国においても同様であるが、そればかりか 戦後の日本では『ヒロポン』という名称で覚醒剤が薬局で買えのだ。当時は毒性や習慣性も問題にはならなかったのである。しかし法によって急激に『ダメなもの』になった訳だ。タバコだっていつそうなる運命なのかはわからないではないか。

 古くはアヘン戦争も イギリス側の勝手で人種差別的な施策によって、清国は蹂躙された。世界の領主たる自分たちの利益のためには、アジア人の健康や不幸など意に介さない。絶対権力を持つ者は正義なのであり、それは今も本質的な意味では変わっていない。

 日本人のように大きな流れには逆らわず乗りやすい民族は、価値や仕組みがガラッと変わったとしても順応しやすい。はじめは『エ〜!!』といっていたことだって、すぐに日常になり結局は従うのが日本人である。

 タバコを違法化するなら今だ(笑)

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