浩司と敬子の婚活日記(13)
浩司
敬子は自由奔放、めくるめく夜の天女。
ではなく、ただの一人の繊細な女の子だったのだ。
私はこの女の子を一生、守っていく。
私と敬子は交際0日で結婚した。
あれから10年。
イオンモールのフードコートで、家族3人、仲良くラーメンを食べている。
どこにでもいる、家族。
どこにでもある、光景。
娘の真実は、3歳になる。
あれから時間はかかったが、念願の子供を授かった。
養子縁組をして。
結婚5年目に、敬子が女性特有の病気になり、子供が望めない身体になってしまったのだ。
「5年も子供ができなかったし、これを機に別れよう」
と離縁の申し出を受けたが、断固拒否した。
最初から言っているではないか。
最終的には、養子縁組をすると。
敬子に出会えたから、真実にも出会えたのだ。
真実は私たちの子供だ。
モールをプラプラしていると、家族の幸せを想う、歌が聞こえてきた。
いい歌だなあと思って、思わず足を止める。
「なんか、あの人、見たことあるなあ」
と、敬子がブツブツ言っている。
「あ!私たちが出会ったバスツアーで一緒だった人だよ!韓流スター風のイケメン!そうだったそうだった。音楽やってるって言ってたわ。10年も続けているんだね。」
歌が終わり、家族全員で拍手した。
私は幸福感でいっぱいになった。
敬子
グリスターのボーカルと目が合うと、私は不覚にもときめいた。
ときめきは麻薬。
隣にいる浩司を見てため息が出そうになるが、それはお互い様。
私は真実の手をギュッと握り、歩き出した。
みやび
最初の子は浩司の子。
私はこの真実を墓場まで持って行くつもりだ。
-完-
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