習志野ブルース(9)

いずみちゃんが亡くなったことを久からのメールで知った。
私に連絡してお葬式に出席して欲しいと、メモに残されていたそうだ。

2人だけの秘密って言ったのに。
いずみちゃんの嘘つき。

散り始めた桜のピンク色と、喪服の黒色のコントラストが、悲しいほど綺麗だ。

たった3か月だけのメル友。
たった3か月だけの親友。

遺影を見て、はじめていずみちゃんの顔を知った。

花のように可愛らしい人だった。

泣きじゃくっていると、小さな子供が、背中をさすってくれた。

顔を見なくても、誰なのかぬくもりで分かった。

佐々木いずみさん。

私にとっては…生まれてはじめて自分自身でいられた人。
それを受け入れてくれた人。

自分の半身を失ったかのような喪失感と闘った。

近所の中華料理屋でアルバイトをしながら、料理の勉強もした。

前を向いて生きていくのに、必死だった。



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