浩司と敬子の婚活日記(7)

浩司

婚活バスツアーで奇跡的にマッチングをし、ライン交換をしたからといって、私不呂浩司は油断してはいなかった。
これからが勝負だ。

初めてのデートは月島のもんじゃ焼きだった。
敬子はもんじゃ焼きを食べたことがないらしく、もの珍しそうに私が焼くのを見ている。
敬子は梅酒ソーダを飲んでいる。
私はカシスオレンジにした。

恐る恐るもんじゃ焼きを口に入れる敬子。

「おいしい!」

良かった。

ほうとうといい、もりもり食べる女性というのは気持ちがいい。

酒が回ってきた敬子は、自分がいかに結婚したいかを、熱く語り始めた。

負けじと、私がいかに結婚して子供が欲しいかを熱く語り返した。

さながら、ミーティングのようだった。

「男の私には妊娠出産は出来ないため、育児は全部自分がやるくらいの心つもりでいる。」

と土下座をしそうな勢いで語ったら、敬子は目を丸くしていた。

「もし、妊娠しなかったらどうするの?」

「不妊治療をして、それでも出来なかったら、養子縁組をしてでも子供が欲しい。」

まだ、子供を作る行為どころか、キスもしていないのに、熱く子作りについて語る。
というか、交際に発展すらしていない。

敬子は引くどころか、

「なんか、胸を打たれたわ。」

と言った。


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