浩司と敬子の婚活日記(6)
敬子
次の目的地はワインのお店。
ここでは5種類のワインを試飲することができる。
体調の良くない浩司はもちろん飲めない。
「浩司さんは普段はお酒を飲んだりするの?」
「付き合い程度には飲めます。」
「今日は飲めなくて残念だね」
「敬子さんは私に遠慮しないで飲んでくださいね。」
「ありがとう。じゃあ、ちょっとだけ」
ちょっとだけのつもりが、しっかり全種類制覇してしまった。
浩司退屈してるかなと、ちらっと目をやると、ぽっりゃり系女子とお話していた。
やるな、あいつ…。
そう油断していると、なんと、なんとなんと、韓流スター17番が声をかけてきてくれた。
うっかりときめいてしまう。
だけど、ときめきは今日で終わりだ。
誘惑をやっとのことで振り切った。
東京に戻る最後のパーキングエリアに立ち寄った後、カップル発表が行われた。
私はもちろん、お菓子大好き男子不呂浩司13番。
浩司の方は、もしかしたらぽっちゃり女子かもしれないという懸念もあったが、しっかり、堅実にマッチングが成立した。
心の中でガッツポーズをした。
これからがスタートだ。
私が結婚したい理由、それは正直な話、就職活動だ。
派遣で事務など転々としてきたが、一人でこの東京で生きていくのは心もとない。
もともとは高校卒業してすぐにでも恋愛結婚したかったのだ。
そんなにお金がなくても楽しく暮らしたかった。
恋愛はそれなりにしてきたからもういい。
お金だって高望みはしない。
真面目に働いていればOKである。
浩司はときめかないけど、楽しいとか安らげる。
友達夫婦みたいになれるかなと思った。
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