浩司と敬子の婚活日記(4)

敬子

洋服は、そうだな、とにかく普段着。
富士山に行くんだし、歩きやすい格好。
体温調節しやすいように、Tシャツの上にパーカーを羽織る。
コイツ気合い入れてきたと思われたくない。

集合場所に着き、周りを見渡すと、女性陣がけっこう美人なことに驚いた。
お年を召しても綺麗な人はいる。
20代だからといって高望みできないことは自覚している。
女性陣を見てたら、男性陣を見るのを忘れてしまった。

バスの中で男性が席を移動し、変わる変わるお話をする。
基本的なプロフィールをお話しているだけで、あっという間に時間が経ってしまう。
けっこうおじさんもいたし、イケメンもいた。
イケメンは韓流アイドルのような端正な顔立ち。
イケメンはないと思った。
まず、すでにちょっとときめいてしまっている。
イケメンが私とマッチングするとは思えないけど、万が一そうなったとして、そこからはもう、引き算の世界だ。
「ときめかない恋」を探してここに参加している。
おじさんにはときめかなすぎる。
話が合わなかった。

お菓子大好き男子は面白かった。
めちゃくちゃ早口で、プロフィールを話した後は、ひたすら、好きなお菓子の話で盛り上がった。
きのこたけのこ論争や、カールの発売中止の無念さなどを語り合った。

あとの男性は、印象に残っていない。

ランチタイムの席は自由だ。
自由とは時に残酷で、どこに座ったらいいか、分からない。
とりあえず、適当に座ってみた。
女性はどうしても、受け身になってしまう。
誰も来なかったら来なかったでいいやと思っていた。

すると、あまり顔色の良くないお菓子大好き男子が目の前にやって来た。

私のこと、目当てなのかな?

なんて思わず、ただ空いてたから座ったんだろう。
女性一番人気はぱっと見40代の3番さんだ。
向こうの方で賑やかにやっている。
男性一番人気は、やっぱりイケメン韓流スター17番さんだ。
名前は忘れた。
とにかく、今はほうとうだ。

「私、ほうとう大好きなんです」

そうしたら、お菓子大好き男子が、自分の分のほうとうもくれるという。

ラッキー。

体調悪そうなのが少しだけ心配だけど、今はほうとうだ。

食べ終わったら、付き添っていてあげよう。

ほうとうもらったし。


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