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CapitaLand India Trust、過大投資を敢行

上場ビジネストラストであるCapitaLand India Trust(CLINT)は、チェンナイのアンバター(あんバター?)で土地を取得し、総額S$329(約330億円)かけて巨大なデータセンター(DC)を開発するリリースを出しました。

CLINTは、もともとAscendas India Trustという名前で、CapitaLandと合併したAscendasが運営していたBTですが、2022年9月にひっそりと名称変更していました。インドに特化してITパークや物流施設に投資しています。

https://investor.clint.com.sg/newsroom/20221213_061445_CY6U_JUYEEP4UHQB6KNTU.3.pdf

CLINTはインドの成長性にbetする銘柄ともいえると思いますが、株式市場・S-REIT市場全体のトレンドには逆らえず、またインドルピーも下落しているのも影響があると思いますが、2022年は株価下落が続いています。

https://finance.yahoo.com/quote/CY6U.SI?p=CY6U.SI

現在のAUMがS$2.5Bなので、本件土地建物を追加後の本物件のシェアは12%程度になります。S-REITでは開発物件を投資物件(Deposited Property)の10%以上投資することが禁じられていますが、BTはそのような制限がありません。参考まで、J-REITでは、当局側は「REITは開発リスクは取るべきではない」との立場ですが、日本ロジは建て替えによる収益増を主要戦略とし、他のREITでも開発SPCにマイナー出資して「完成後に建物を取得」する優先交渉権を獲得する例が多数あり、曖昧になっています。但し、AUMにおける開発物件の比率は微小です。

データセンターは将来有望な分野だと思いますが、ロシアのウクライナ侵攻を契機とするエネルギーコストの急上昇と、Digital Coreのテナント破綻によるテナントリスクの見える化により、手放しでは期待できなくなりました。

不思議なのは、投資額に対する想定利回りや、テナントの当てについて開示されていないことです。CLINTの上期の配当利回りは7.3%(年換算)程度ですが、Keppel DCの利回りは5.5%程度です。EquinixをはじめとするNAREITのデータセンターREITは自らデータセンター業を行っているため、利用者への課金アップ等を享受できる一方、CapitaLandは大家業なので、賃料ステップアップ条項を入れるにしても大きなNOI増加は期待できないので、ある程度の利回りは必要だと思います。そもそも建設の3年間は収入ゼロでも金利は発生しますが、他の物件でカバーできるのでしょうか?稼働が6割を切っているBuilding Q1(下記Page 9参照)のリースアップが進展することを祈っています。

https://investor.clint.com.sg/newsroom/20221129_052414_CY6U_06GTGPD52SU2GBG3.1.pdf

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