見出し画像

ぽんちゃんのお話

ぽんちゃんの話をする前にトンコとねねの話をしましょう。

私が小学生の時、母が近所で仔猫をもらって来ました。
夏も近づく八十八夜トントン♪
母は子どもの頃、「トントン」の部分、手で振り付けるところを口で「トントン」と言ったものだから、それ以来、母のニックネームはトンコになりました。
猫はその母のニックネームをもらってトンコ。
きじしろで賢くて、鼻の下にお醤油のシミのような茶色い毛が生えていてそれが可愛かったのを覚えています。
近所にお買い物に行く時はよく後ろからついて来て、買い物が終わるまで店の前で待っていました。寄り添って歩くんじゃ無くて一定の距離を取って付かず離れずついて来るところが猫らしいような、でもちょっと犬のようだなぁと思っていました。


「姫」と友だちが名付けた三毛猫は松江城三の丸で拾われた仔猫。
当時高校の寮に住んでいた友人は猫が飼えなかったため、私がもらって飼うことになりました。

その頃私はバス通学だったので、どうやってお家まで連れて帰ろうか迷いました。友だちと相談して、赤いデニム地のボストンバッグを用意して、その中にまだ小さかった姫を入れることにしました。

運転手さんに見つからないようにドキドキしながら整理券を取りバスの一番後ろに立ちました。

でも、時々「ニャ〜」と泣くんです、姫が。

私が困っているのを察したのか、(当時は不良っぽい人が座る席とされていた) 一番後ろの窓側の席に座っていた1年歳上の工業高校の先輩から「見つからないように持っててやるよ。」と言われ、恐る恐るバッグを渡しました。
先輩はバス停に着くまで姫の入ったボストンバッグを膝に置いてくれました。
ところが、なんと、バスから降りる時に気がついたのだけれど、仔猫はバッグの中でおしっこをして、先輩の当時のボンタン(この名前で合ってるかな)が濡れてしまっているではありませんか!
謝りながらバス停で降り、家に帰ってからお断りの電話をしました。
そうしたら「それより、今度街で会わない?」と誘われたのです。
それまでそんな風に誘われた経験など全く無い私はドギマギして、訳の分からない言葉を並べながら、結局、誘いを断ってしまいました。
バスケットが上手くて面白くて優しくて中学の頃の憧れの先輩だったけど、当時の私はなんだか怖くなって断っちゃったんですよねー。

あ。
それでバスの中でおしっこをした姫の話。
当時、大河ドラマで秀吉とねねというのがやっていて、姫→ねねと改名しました。
近所には茶トラの茶々もいて三毛猫だったねねとよく遊んでいました。

ねねは、私が短大に行った最初の冬、大雪が積もった日に、出かけたまま帰らなくなったと母に電話で聞きました。雪が溶けてから、春休みに家に帰ったけれど、ねねのいない家はとても寂しく感じました。

あれから30年。

色々あったけれど、私は島にいて、願いだった古民家に住むことになりました。古民家に住む願いが叶ったことで、私は、なーんだ、夢は案外簡単に、しかも突然に叶ったりするものなんだなと実感しました。

大人になってからの私は「猫は汚い」とか「猫を飼うなんてとんでもない」という人々の中で暮らすようになり、猫と暮らしたいという気持ちをいつのまにかどこかに隠し、そしてそのまますっかり忘れていました。

でも、古民家に住むという夢がひとつ叶った時、何かに縛られていた気持ちが軽くなって、なぁーんだ!今の私は自由じゃん!自分が嬉しいと思うことをしよっ!と目が覚めるような気持ちになったのです。

そう思ったら、そうだ!私は猫と暮らしたいと思っていたんだったという気持ちが溢れて来ました。

それからの私の行動は早かった。
猫好きの友だちに保護猫を紹介してもらいました。

それがぽんたとの出会いの始まりです。(続く)

#猫と暮らす幸せ +#エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?